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おじいちゃんのラジオ

作者: シロネル
掲載日:2022/08/01


毎年恒例の里帰り。

土地持ちだった母方の曾祖父が建てた、そこそこ大きな、でも田舎ではよくある蔵つきの家。

今では祖母が一人で住んでるような寂しい家。

まぁ近場に親戚達もいるから、そこそこ人の出入りはあるようだけど…


去年までは新型の感染症の影響でお袋が頑なに県外へ出るのを拒否っていたため、実に三年ぶりの帰省になる。

『こんな山奥の片田舎に感染症なんて…あ、うちらが持ち込むことを懸念してたのかな…まぁなんでもいいけど…』

なんてことをぼんやりと考えていたことを思いだす。

自分にとって帰省するかしないかなんて、たいした出来事でもないし。

街はなんでも揃っていて不自由ないし楽だけど、田舎には田舎の良い所もある。


今年は久しぶりということもあり、親戚で集まって片付け(という名目で祖母の終活)をするとのことで、頭数に入れられてしまっている。が、性格的にたいした戦力にならない事を両親は知っている。

『家に一人で残すのも色々と面倒ってことだろうな。親子似た者同士のめんどくさがりだな…』


そんなこんなで親戚集まってお決まりの宴会を開いて泊まった翌日、暑くなる前に片付けちゃおうと再集合して片付けが始まる。

やる気はないけど、堂々とサボる胆力もない自分はフラフラと蔵の中を物色していた。

親戚の叔父さんは、コレはあれでアレはこれで!と独り言ちながら片しているのか散らしているのか、よくわからない状況である。


ふと、目についた。


ホントにそんな表現としか言えない感覚で古びた木箱?のようなものを手に取った。

大きめのダイアル、小さなダイアル、縦長の膜が貼った筋。

うん、これは俗にいうレトロラジ「おー!それはオヤジが使ってたラジオだな!」

叔父さんにカットインされた…わかってたよ。一目でわかるよ…


「まだ動くかな!?アンティーク好きな人もいるかもしれんからメルカ「これ、貰っていいかな?」…んー、まぁゴミみたいなもんだし…いいよ!」

現金な叔父からおじいちゃんの思い出を守った!

叔父にそこまでの権限はあるかわからないけど、自分的には合法的に時間つぶしのオモチャを得た。

さっそく昨夜泊まった部屋に戻って電源コードをコンセントに繋いで色々いじってみた…


結果、ダメだった。うんともすんとも言わなかった。

『壊れてる?基盤かな?詳しいヤツに聞いてみるか』

そんな軽い気持ちで旅行鞄に押し込んで街に帰ったら考えることにした。



それからしばらく存在を忘れていた。



夏も終わり、すっかり秋めいてきたある日の晩の事。


ふと、思い出した。

『あ、おじいちゃんのラジオ』


すっかり興味を無くして旅行鞄ごと押し入れにしまいこんであったラジオを取り出してみた。

『電気系統に詳しい友人に見せてみて、動いたらメルカ「…ガ、……zが」』


音が鳴った!!


なんで!?!?


あ、コンセントに繋いだ時の電気がバッテリーに少し蓄積されてたのかな?

急に冷静になって自分の納得できる結論を導き出す。これが自分の処世術であり、なんか冷めた性格してるね。と言われるゆえんである。


とりあえず自分的に納得できたので、勉強机に置いて気にしないフリをした。


その日の夢の中で…



なんて事は何も起きずに普通に朝を迎えた。

『夢の中にでもおじいちゃんが出て来たりしたらネタになったのにな…』

なんて不謹慎な事を思いながら、そのまま放置した。



「…ガ、……が…っ…て」


!?!?

飛び起きた!

鳴った!絶対鳴った!


さすがに恐怖心が沸いてきて、親に報告!

は?何言ってんの?みたいな予想通りのリアクション…

一度目で報告したなら自分もスンッ…ってなるんだけど、さすがに二度目だったので食い下がる。

「オヤジは野球をラジオで聞くの好きだったからな~。シーズン終盤で気になるんじゃね?」

と、父親がかなり適当な事を言ってくる。


…でも確かに野球中継のような音だったな…

…おじいちゃんがラジオ聞きながら応援してるのかな…

…おじいちゃん、野球の事が一ミリもわからない自分に選手の名前とか熱弁してたもんな…

…日本一が決まれば収まるか…


と、妙に納得してきた自分がいて、段々おじいちゃんの背中姿を思い出してきた。


ふいに、懐かしさがこみ上げる。


おじいちゃん、自分は背が低くてプロになれなかった。って言ってたもんな…

父親や他の息子にも熱心に野球やらせようとしてた。って前に聞いたことあるし…


『「…ガ、……が…っ…て」』


『お前が代わって応援して』


って言いたかったのかな。野球なんも知らんけど。


「お父さん、野球のルールとか教えて~」

は?何言ってんの?みたいな予想通りのリアクション。

「投げたら打って走って取ったら投げる」

投げやりな説明。


『今度、ネットでルールとか調べてみるか。いや、実際に見てみたらいいのかな?』

次の帰省の時には墓参りしながら野球の話でもしてやるか。

『おじいちゃんのチームは日本一にはならなかったよ』

なんて報告したら祟られるかな?

お盆には親戚の集まりの時に野球中継でも流してやろう。


おじいちゃんのラジオ


今日も鳴るかな~?

来年の集まりに持っていって皆に話そう。

親戚の子供とかはビビるかな?

夜は怖い話大会になるな。


おじいちゃんのラジオ


メルカリで売らなくてよかったな…




























…ガ、……が…っ…て

…えが、…kわって、s…で























おまえが、かわってしんで

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