逸れ人形
戦いは、壮絶を極める。
互いに互いのみを目標にして攻撃しようとも、その威力は易々と周りを巻き込んだ。
「心地よいな、レイ!」
「そうかよッ!」
レイは自身の纏う炎に自らが焼かれながらも、必死の猛攻を続ける。
一撃二撃と小さな太陽を投じる様な攻撃を放り、互いに攻撃弾幕の間を飛行し回避しながら更に攻撃を。
息を吸う間も惜しいほどの戦いは、地上の人々の目を惹きつけた。
二人の防御など意味を成さない程の攻撃は、惜しげなく放たれ続け。
やがて、一度だけ―――笑いながら攻撃を放つロムニスに、炎が命中。
それの爆発にてロムニスの姿は完全に消え失せた。
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ロムニスが姿を消すと、魔物は一斉に撤退を開始した。
味方の死者は決して少なくなかったが、今回の戦いでは最悪国が滅びかねなかった。
それを考えれば、被害は未だマシな部類だ。
魔法国家メルヘイルの者達は、結局到着しなかった。
レイングの国王曰く、逸れた魔物達との応戦に手こずっていたらしいが、後にレイは、魔導王の口から直接、弱っていたところを侵略するつもりであったと聞くことになる。
ロッソは戦いの事後処理に奮闘していたが、途中とある公爵家から協力の申請があり、想定よりも終わりが早かった。
レイはというと、ロムニスを倒した後に、自分の炎に魔力切れまで焼かれ続け、最終的には以前の二割程度しか実力を発揮できない程の、大怪我を負った。
これは後に、侵略を目論んでいた罪悪感や信仰に近い精神に芽生えた魔導王より魔力回路を譲り受けるという、なんとも縁を感じざるを得ない方法で解決する。
そんなこんなで、戦争は完全に幕を下ろした。
第二次への、遺恨を残して。
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「目が覚めたかい?」
「…………王よ、何故ここに………」
「僕の駒は、まだ少ないからね。今君を失っちゃあ、また準備に百年かかる」
ロムニスが目を覚ましたのは、戦場となった土地近くに作られた、地下の施設。
時折りロムニスが街から抜け出し、定期報告などを行なっていた場所だ。
そこに、アステラがロムニスを運び込んだのだ。
「いやあ、彼凄いね。千年前にも、準備中にも、彼程の炎魔法の使い手は居なかった。僕の助けがあとコンマ遅れてたら、百年やり直しコースだった」
「はい…………レイは奴は強かったです」
「ん? 嬉しそうだね。よほど彼が気に入ったかい?」
「その様なことは…………」
その様子を見たロムニスは、大声を上げて腹を抑え笑った。
自身の足を叩きながら、ゲラゲラと。
「……王よ、何か己はおかしな事を…………」
「いやあ、ごめんごめん。人形が人を気に入って、一喜一憂。あんまりにも、滑稽だったものだから」
「一喜一憂など………………」
それでも尚、アステラは笑い続ける。
目の端から涙をこぼすほど、容赦なく。
「いやあ、笑った笑った。勘違いするなよロムニス。君は所詮、人形なんだ。君が人間と、彼と対等になれる日なんて、生涯訪れない」
「承知しております、王よ――――――」
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