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まるでそれは地獄のような

100話が、近い。

「そんな………確かに多い気はしましたが………」


「だからこそ、君達には最前線でとにかく派手に暴れて欲しい」



 一通りスタンピードを聞いたレイとロムニス

 キルケーは、何度聞いても顔が青ざめたままだ。



「無論、報酬は他より出そう。なんせ救国だ―――好きな額を言えばそれが出ると思えば良い」


「随分と、気前が良いのだな」


「言っただろう、ロムニス君。これは救国―――魔物に金は使えないからね、対処出来るなら出費なんて惜しみやしないのさ」



 納得する二人と、国の金庫の事を一切考えずに発言するロッソを睨みつけるキルケー。

 王族であり、騎士団長でありながら、なかなかの苦労人だ。




 ●●●●●●




 レイ達は最前線で暴れるも、魔物の数は減るどころか増加。

 戦いは激化の一途を辿っている。



「…………いい加減、消えろッ!」


「レイ、少し落ち着け。魔力が尽きるぞ」



 頭に青筋を立てて苛立ちながらも、炎で敵を蹴散らす。

 確実に敵を倒すよりも、派手さを。

 熱量よりも、炎の量を優先した。


 魔物が吹き飛べばなお良い。



「でも落ち着くって言ったって、この数は冷静じゃ対応無理だろッ!」


「確かに、これは少し目が回るなっ!」



 ロムニスは通常の攻撃が既に派手。

 人々の隙間を駆け抜ける一閃の雷は、無数の魔物を貫き、地面を砕き、人々の心を惹きつける。



「八星(はっせい)―――炎の領域踏めば前進。後去る者は救われよう!」



 レイが両拳に炎を纏わせ叫んだ。

 攻撃範囲に冒険者の仲間がロムニスしかおらず、そのロムニスも詠唱開始と同時に退避したのを確認した。



「超越魔法―――領界炎海( りょうかいえんか)!」



 拳を地面へと叩きつけて、炎が地面へと広がり、円を描く。

 円は壁となり、内の敵を焼き尽くす。


 敵を焼いた炎は無駄な熱として、十字架の形で放出された。



「調子が良い様だな」


「いや、全然! だからもう少し減らしたら一度下がりたい!」 


「そうか、ならば己も一つやろうか」



 ロムニスの言葉を聞き、振り上げた手を見て、レイも一度下がる。



「雷鳴轟き―――我が名を冠する王よ。摂理と倫理、臨界を統べるかの夢に捧げる御業を今響かせんとしよう! 超級魔法―――下り龍!」



 百の雷の熱のみを天より放つ魔法。

 領界炎海( りょうかいえんか)の様に相手が骨まで焼けることはないが、熱は確かに内臓まで届き、焼き焦す。



「さて一度下がるか」


「っし、やっと一休み――――――」



 少し喜んで、辺りに警戒しながらもテントの方角へと視線を向けた。


 そしてその瞬間―――視線の先に、巨大な岩がいくつも降り注いだ。

 食料、武器、夜の部隊、寝床、それ等全てが一斉に、壊滅したのだ。



「おい、ロムニス…………あれは、なんだ」


「己に、わかると思うか…………」



 勿論、魔法でバリアーは貼ってあった。

 しかし、降り注いだ岩の質量を支えきれずに崩壊。


 レイ達の魔法で一時的に魔物が減った戦場一部では、誰かの魔法だろうとテントの壊滅に気づかない者や、絶望の表情を浮かべる者等が。


 気づいてしまった者等は、それでも諦めない者、膝をつく者、武器を落とす者。


 諦めない者等も、もうダメかもしれないと、突然の絶望的な思いが芽生え始めた。


 レイ達は間を開けずに走り出す。

 撤退に向かうはずだった場所へ、救護の為に。

 至急駆けつけた。


 そして阿鼻叫喚―――足が潰れて動けない、胸が潰れて息が出来ない、気づいたら腕がない、親友が死んだ、敵が次の岩を、投げようとしている。



「また来るぞ、逃げろぉぉぉぉ!」



 冒険者が一人叫んだ。

 戦場の最奥―――魔物の本拠地と思われる位置から岩を持ち上げる人型の姿が。


 知能が低く、姿に反して魔物扱いされる生物、巨人だ。



「なんだよこれ…………地獄じゃないか…………」



 レイが呟く―――普段は戦闘で滅多に表情を崩さないロムニスも、流石に眉を顰めた。



「君達、来たんだね! どうだい、アレへの対処、一人一つ行けるかい?」


「はい…………! というか、無理でもやるしかないでしょう」


「無論、己もできる限りは尽くそう」



 巨人は四体―――ロッソは自分が二体を受け持つと言い、氷で巨大なバリスタを作り出す。


 巨人達が岩を投擲すると同時に、それを射出。

 レイは一点集中砲火の炎を、ロムニスも同様に点の威力を高めた雷を放った。


 岩は砕けるも、勢いは衰えず。

 砕けた岩は地面にめり込み、土埃を立て。


 直撃よりはマシなものの地形は崩れ、地獄は更には悪化した。


 巨人は一度行動を停止したが―――ただ二度の投擲にて皆に、確かな絶望を植え付けた。

読んでくださりありがとうございます!

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