幕開け
「僕はこの街のギルド長を務めるロッソ・ベリーニだ―――まず、これ程の人数集まってくれた事に礼を言いたい。そして、この戦いが終わった後は、必ず少し多めにの報酬を払うと約束しよう」
ギルド内に集まった冒険者達の前に、一つ木箱を置いてその上に立つロッソが言った。
言葉自体は軽いが、いつもと違い軽薄ではないロッソを見て、冒険者達も気を引き締める。
「魔物の数は、最低でも五千。その中には確実に、巨大種族も―――そして、飛竜の群も確認した。調査して発見しただけでも、二十は居る」
飛竜の名に、冒険者達が騒めきだす。
飛竜とは小型ドラゴンの様なものであり、攻撃も硬さもドラゴンには劣るものの、飛行速度はドラゴンのソレを遥かに超える。
そんな飛竜が居るとなっては、冒険者達は少しずつ逃げ腰に。
それを事前に察知していたが如く、ロッソは鶴の一声と言わんばかりに次の希望をチラつかせる。
「でも、こっちにも希望はある。先日起きた暴風のお陰で到着が遅れてはいるものの、こちらも助っ人を呼んでるよ。それも、とびっきり強力なね」
今回の魔物大量発生については、この街にとどまらず、国自体が問題視している。
それ故に、国王自らが魔導国家メルヘイルへと出向き、協力を依頼。
世界最強の魔導士を挙げろと言われれば、必ず名前の出る男の出陣を約束させたのだ。
「魔導王との呼び声も名高いかのお方、アルブレヒト王が、この地にやって来る………!」
瞬間―――不安の声は歓喜へと変わった。
少し恥ずかしながらも街から出ようなどと呟いていた声は、大きな歓声へと姿を変えたのだ。
「魔導王って、あの魔導王か!」「もうこれ勝っただろ! 負ける要素ねえだろ!」「もう良い祝杯だ、先に酒飲むべ!」「馬鹿、到着遅れてるんだろ、じゃあ参戦は少し後だ馬鹿!」「死ななけりゃ負けねえだろ!」「魔導王に会えるなんて、夢みたいだ……」
誰もが騒ぐ中、ロムニスは生唾を飲み込み、レイもただ唖然とした。
同じ魔導士として、魔導王の伝説はいくつも覚えがあるのだ。
魔法一つで大地を砕き、雲を切り裂き、強敵を薙ぎ倒す。
そのような男が来るとあっては、冷静ではいられなかった。
二人で目を合わせて、何度も幻聴じゃない事を確認する様うなずき合う。
「どうだ皆! 五千の魔物に怖気付くかい! それとも、飛竜なんかに屈して街を放り出すかい! 確かに敵は強いし、死ぬかも知れないが、そんなの普段のダンジョンも同じだろ?! だったら、せっかくなら魔導王と共闘して死んでやろうじゃないか! あわよくば生き残って、街の奴らに自慢してやろうじゃないか!」
より一層、歓声は大きなものに。
もはや大喝采の域へと至ろうとしていた。
「舞台は三日後、この地にて! 伝説の生き証人へと―――いや、伝説になってやろうじゃないか!」
ダメ押しとでも言わんばかりのロッソの声で、場の空気はこれ以上ないものへと。
一つの神話の幕開けが、すぐ側へと迫っていた。
学業が忙しくなりますので、不定期更新にして、中身を多くするor毎日更新を続けるけど少し中身少なめ。
しばらくはこのどちらかになると思います。
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