リーン
白い花の正体は分からず。
あれから二日、レイ達は街から少し離れた森で野営けん修行をしていた。
山野は高火力の魔法を支える筋力の為に、アルスは基礎体力向上の為に森を駆け回り、アリスは対人型の修行で二人をを追い回す。
ヴァイオレットは滋養中であり、魔力タンク。
そしてレイは、神力の操作を試行錯誤している。
自身の保有する魔力の中から神力を探すのは、広大な砂漠に落とされた針を探し出す様な作業。
皆が走り回る中、一人座禅を組む様に座り込んで、ひたすら魔力の中を探り続ける。
「愛弟子、それ飽きないのかい?」
「飽きてる時間は無いので」
ロムニスから手渡された時間は、想像するに余りにも短い。
急を感じながらも、レイは神力の完全習得を進めた。
「三人とも、少し離れて!」
ヴァイオレットが言うと、森の中で駆け回って、外へと出てきてしまったアリス達が、はいと返事する。
奥へと戻ると、再度全力で追いかけっこ。
黒鍵を解放して木々を蹴り、立体的に移動するアリス目掛けて山野は発砲。
自分に対する最速の、直線的なルートを潰して、アリスが自分に近づけないよう仕込む。
アルスが魔月を振るい、木を一本切り倒す。
アリスは蹴って跳ぶつもりだった足場を失い、空中で体制を崩した。
アルスは紐を一本取り出す、ヴァイオレットから渡されたものだ。
アルスは、これをアリスに結べば勝ち。
十分の休憩が、休憩時間とは関係なく与えられる。
落下するアリス目掛けて木を蹴り跳ね上がり、首元に紐を掛ける。
後方で結ぼうと先端を交差させた瞬間、アルスは黒鍵による腹への一撃で蹴り飛ばされた。
腹の傷を治して、空中で体制を整え、巨大な木の、枝に掴まる。
片手で枝を掴んで、着地したアリスを見下ろす。
そして木を蹴り、飛び出した。
魔月と、魔道具のナイフを構えて突進。
地面に激突して体を砕くつもりはない。
途中、魔道具のナイフを別の木へと差し込んで、刃を伸ばし、何本もの木を貫いて突進を停止。
意表を突かれたアリスが一瞬の膠着をした瞬間、するりと足元に紐が結ばれた。
気配を隠して山野が、静かにアリスへと忍び寄っていたのだ。
こんな事を、延々と続ける。
技術も体力もつくが、未だはっきりとした結果が見えるものは誰も居ない。
●●●●●●
「やあ、調子はどうだい? リーン」
「先の二人の被検体は中々に興味深いぞ。今は魔水液に浸しておるが、神力持ちの方は後で出すのでな、少し外に馴染ませておるよ」
いくつも人が頭まで浸かった水槽が並ぶ空間に、アステラと、リーンと呼ばれた老人が二人だけ。
リーン・エルメアース―――アリスの製造者。
体の所々、心臓、脳に至るまでを機械化して生きながらえる、生粋の人間。
昔は顔が良いなんだと騒がれたが、今となってはただのシワだらけの爺。
かつての栄光など、見る影もない。
「もう一体のドワーフは、更に面白い。魔力回路も魔法の痕跡も残っているにも関わらず、魔法が備わっていないんじゃ。まるで、お前が取った様にのお」
「僕が見た時から、もう魔法はなかったよ。同じような魔法を使うやつがいるのか、何か特殊な魔法なのか。なんにせよ、面白い…………!」
「喜んでくれたならよかったよ。それじゃあ―――僕は少し眠るから。良いようにしておいてくれよ」
「任せろ―――あの男の調整もあと数日で終わるでな、起きた頃には準備を終えておるよ」
言うと―――部屋の扉が開いた。
そして、一人の男が、一つの兵器が入室。
一言簡潔に、言葉を伝えた。
「リーン・ロムニス・ロッチェロ―――最終調整の準備完了しました」
学業が忙しくなりますので、不定期更新にして、中身を多くするor毎日更新を続けるけど少し中身少なめ。
しばらくはこのどちらかになると思います。
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