花の園
眠る寸前、部屋の扉が叩かれた。
重くなり始めた瞼を擦りながらベッドから出て、扉を開く。
「あい…………って、嘘だろ……」
「話に来た、着替えて外に来い」
ロムニス・ロッチェロ―――レイの宿敵。
ロムニスが宿から外に出るまで唖然としていたレイは、急いで着替える。
腰に剣をかけて外に出ると、ロムニスは静かに待っていた。
「話って、何だよ」
「我が王の戦いが、もう時期終わる。貴様を殺すのは己だ―――一度だけ慈悲をやる、逃げろ」
「逃げる? 俺がか?」
「…………だろうな」
レイは既に、大体の事情を理解した。
このタイミングで現れて、王という言葉を持ち出した。
それ即ち――――――。
「お前の王、アステラがどうしたいかは知らねえよ。俺を殺したい、アリスを殺したい、どっちにしろ、襲われるなら敵だ。昔のお前と、同じでな」
「ならば…………仕方あるまい。己は己で動く。貴様は貴様の理念に従え」
「ああ、せっかく忠告貰ったのに悪かったな」
「気にするな―――己が少しは時間を作ろう。それまでに、王と戦える力を付けよ。己は貴様と戦いたい、如何に相手が我が王とはいえ、その相手は譲らぬぞ」
「俺も、最後に殺し合うならお前だと思ってるよ」
「そうか、ではさらばだ。精々励め」
●●●●●●
「マスター、如何しましたか? 寝不足の様ですが」
「いや、あの後中々寝れなくてさ…………」
「それは…………今日はもう帰った方がよろしいのでは?」
「少しは寝れたからね、大丈夫だよ」
前日の約束通り、二人はダンジョンへとやって来た。
ある程度魔物を蹴散らしながら奥へと進むと、少しおかしな事に気がつく。
「マスター、何かおかしな香りが」
「ああ、嗅ぎ慣れない匂いだけど、嗅いだことはある様な…………」
香りは、臭いわけでは無い。
どちらかといえば、良い香りの部類だ。
「どこか…………覚えのある…………ずっと包まれていた様な…………」
そう言って歩き続けていたとき、突然足元で音が鳴った。
石の床を踏む音では無く、草を、花を踏み躙る様な。
「…………この花は」
「そっか、この匂いか」
花の花粉による幻覚か、意識が朦朧としていたのか、気づけばレイ達が立っていたのは花畑。
気が狂ってしまいそうな程の、純白の空間。
咲き乱れる花の中心には、昔と変わらず十字架が立っていた。
「何故突然、この場所が…………」
アリスが呟く。
レイも同じ理由で困惑するも、驚きで目が覚めたので即座に敵襲を警戒した。
剣の柄に手を乗せていつでも抜ける様にして辺りを見渡す。
しかし、誰も居ない。
「少し進んでみようか―――奥に何かあるかも」
「そうですね、それが良いと思います」
花を十本ほど摘み取って、アリスが収納。
粒子化した状態で、花粉などについて詳しく調べる。
花を踏んで歩き出す。
十字架と花以外何も無い場所だなと思いながら歩を進めいるが、進めど進めど景色は変わらない。
今日は一日時間が空いていたから歩き続けるが、先に見える壁が歩くたびに遠のいて感じる。
そして、少し空きを感じ始めたとき―――またもや、地面を踏む感覚が変わった。
花を踏み躙る感覚ではなく、石タイルを踏む感覚に、元通り。
またもや気付かぬ間に、空間を移動していた。
冷や汗が溢れ出す。
二人は目を合わせて、静かにダンジョンを飛び出した。
学業が忙しくなりますので、不定期更新にして、中身を多くするor毎日更新を続けるけど少し中身少なめ。
しばらくはこのどちらかになると思います。
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