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偉業を遂げる

「お師匠様方は、大丈夫でしょうか…………」


「不味い。師匠が足止めってのは、考えうる最悪の選択肢なんだよ」



 魔力が尽きて、天馬での移動。

 未だ戦闘中、いつマティアスが追って来るか分からないと、今は魔法も使えないレイだがなんとか起きて居る。


 鞄を枕にして、辛うじてなんとか。



「こんな状況だし師匠は怒らないと思うけど…………師匠は、ただの人じゃない」


「私の様に、機械なのですか?」


「いや、歴とした生物ではあるけど、位が違うんだよ」



 話をしようとレイは起き上がる。

 山野もそれを支えた。



「多分ニーライナさんと、他三人を含めて………師匠達は昔パーティーを組んでた。メンバーは全員、長寿種族だけでね」



 それを聞いた山野は、何かを思い出した様な顔。

 ニーライナから弟子として、既に一部の話を聞いたのだ。



「当然、師匠も人なんかの短い寿命じゃない。師匠は、ただの人じゃないから…………人間の上位種、ハイヒューマン。五十年前に、アルマーニ教国によって殲滅された種族なんだよ」


「アルマーニとは、あのアルマーニですか、マスター!」


「そう、あのアルマーニ。丁度前にロムニスが教皇に就任すると同時だった。ハイヒューマンは神の模造、紛い物だと大義名分を立てて、元々少ないハイヒューマン全員を客として呼んだら、ぼかん」


「そんな…………その時お師匠様は」


「師匠は行かなかったって。教皇は何か胡散臭いって、一人で残ったって聞いてる」



 アリスは怒りに震えていた。

 行為に怒って居るのか、その怒りの矛先が既に死んでいる事にどうしようもない無力さを感じて震えているのか、それはアリスにしか分からなかった。



「そんなハイヒューマンは、まあ上位種っていうぐらいなんだから体の作りが違う。肉も骨も、どこからどこまで、圧縮された魔力で体が構成されてるんだよ」



 だから、人の様に細胞が死ぬ事は無く、老けず死なず。

 この世から魔力が消えない限り、ほぼ不死身だ。



「戦闘では主に魔法を。普通に戦う程度ならただの猛者集団だけど、あまりにも長い戦いになれば体を構成する魔力も消費して、消滅するんだよ」


「それってまさか…………」


「ん? アリス心当たりある?」


「…………はい」



 アリスは応えた。

 長寿のハイヒューマンと、千年前に作られたアリス。

 出会った事があるのかとレイも山野も話を聞く。



「恐らく…………いえ、紛れもなく。私の前マスターが、その起こり、原種であり、初代であり、ヴァイオレット様の祖先なのです……!」




 ●●●●●●




 前マスター、名をアステラ。

 アリスの話が真実だとすれば、彼は一人で全人類と戦い、勝利出来る程度の戦力を持っていたらしい。


 その保有する魔力は、他生物対アステラでバランスが取れる程度。


 同時世界戦争が行われていた所に突如として現れて、一ヶ月で終戦へ。

 それから自ら小さな国を立ち上げると、世界中の技術を瞬く間に発展。


 ドラゴンとの戦争が起きるまで、二年程度だったという。


 戦争で戦い過ぎれば、攻撃しかしていないのに大きく怪我をしている事もあったと。 


 確かに、ハイヒューマンの特徴と一致している。


 ひとまず三人で情報の開示、共有を済ませると、後は静かに移動。

 一晩で多少魔力が回復した頃、アリスが天馬を止めた。



「到着しました、マスター」


「了解、急ごう」



 アリスが天馬を仕舞うのを待たずにレイは馬車から降りて街へと向かう。

 足場は既に砂では無く、ただの野原だ。


 馬車を仕舞ったアリスに、山野も続いてレイを追う。

 戦闘後の衣服から着替えもせずに来たので、驚いた門番が医療班を手配しようとする。


 レイはそれを丁重に断り、急いで街へと入った。


 ヴァイオレットが英雄と呼んだ男、以前ヴァイオレット達が在籍していたパーティーのリーダー。


 彼の家は、既に知っている。

 場所では無く、探し方を。



「真っ白の壁で、茶色の屋根。どこにでもありそうだけど、何故かこの街にはそんな家が、一つしかないんだよ。それぞれ探すとして、取り敢えず解散を――――――」



 言い終えようとした瞬間、レイは黙る。

 突然、黙らなければいけない気がして。

 喋っては、何かに不敬な気がして。



「マスター、マスター! どうか致しましたか?」


「…………ん、大丈夫。いや、大丈夫じゃないかも知らないけど…………取り敢えず危険はない。そうですよね? 英雄の、ルークさん」



 その言葉を聞いて、レイの正面に立っていた二人は振り返る。


 そこには、一人の男が。

 見て、ただの冒険者とそう違いない男は何故か、彼こそが英雄だと感じる、何かがあった。


 気づけば先ほどまで賑わっていた道通りに、レイ達と男以外の生き物はいなくなっていた。



「何をしに来た、誰の遣いだ」


「師匠…………メイス・フォン・ヴァイオレットと、ニーライナ・アグリチャスの遣いです!」


「あの二人揃って…………何かあったのか?」


「世界樹の守護神を自称する、マティアスって奴が来たんです。街はほぼ崩壊―――現在師匠とニーライナさんが足止め中ですが、状況は芳しくなく、英雄を呼ぶ様にと」


「英雄を…………」


「はい―――英雄である貴方、ルーク・アルベスタを連れて来るんだと、師匠が言いました……!」


「了解した。ヴァイオレットの弟子―――俺が救おう。偉業をなそう」

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