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悪酔い

ほろよい

「戻りました、ニーライナ様!」


「あ? もうか。早かったな」



 ニーライナの元へと戻ると、ヴァイオレットと二人で酒盛り中であった。



「いやーやっぱドワーフの酒は美味いねっ……て、どうしたのさ? ニーナ…………あ、愛弟子〜帰って来たのかい!」


「師匠、酒はせめて夜にと…………」



 レイが眉を顰める中、山野がダンジョンのボスだった巨大なゴーレムの核をニーライナへと手渡す。


 ボスのゴーレムは、余りにも脆弱であった。

 一歩歩くだけで、自分の体重によって軸がブレて転倒。

 その衝撃で体は砕け散って、核は剥き出しに。


 少し重い程度の核を持てるならば、子供でも回収可能だ。



「よし、三日待て。俺がお前の腕を、最高の物を作ってやる!」




 ●●●●●●




 暇な時間が出来た。

 義手が出来上がるまで数日、特にやる事が無いのだ。


 図書館にでも行こうかと考えたが、ニーライナに場所を尋ねると、この街にそんな場所は王の書物庫以外無いと言われた。


 余りにも暇なので、地下で空いている場所を借りてひたすら訓練。

 時々炉に火を焚べるようニーライナに言われるので、火を貸したりする。



「この街、職人御用達過ぎるな…………」


「その通りだよ、愛弟子。だから私は酒に溺れるのさ」


「いや、それは体に悪いからやめましょうよ師匠。ほら、服着てくださいよ」


「酒は体が熱くなるんだよ愛弟子! 知らないのかい!」



 真っ昼間から、完全なる泥酔。

 レイの訓練を妨害しながらもら体が火照るだなんのと言って脱衣を進めるヴァイオレットに無理矢理服を着せる。


 すると突然、部屋の外から足音が聞こえた。


 二人のいる部屋に向けて、明確に進むように。



「師匠、誰か来るから早く服を!」


「いーじゃん愛弟子〜ね? 愛弟子も飲んじゃお〜」


「し、師匠! 人来るんでっ…………!」



 瞬間、力尽くで服を着せようとするレイの服の襟を、ヴァイオレットが酔っ払いとは思えないような力で引っ張った。


 まさかの力に体制を崩したレイは、自然とヴァイオレットに覆い被さるような体制に。

 それと同時に、部屋の扉が開かれた。


 山野の手によって。



「レイさん! もしよければ…………っと、お楽しみ中か。僕は戻るので、どうかお許しを」



 言って、即座に退室しようとする。

 ほんの少しだけゆっくり動いて、慌てて目を覆った指の隙間から、乱れた服装のヴァイオレットを覗きながら。



「いや、違うから! 脱ごうとするから、着せようとしてるの! ほら酒、見て!」


「ん……ああ、なんだ………僕の世界と貞操観念とか違うのかと思いましたよ」



 焦って退室を止めて、なんとか理由を乱暴に察させる。



「えっと、何かな…………?」


「あ、そうだ。今お時間空いてますか?」



 なんとか状況が収まったことに安心して、訪問内容。

 質問に頷いて応えると、山野は嬉しそうに頭を下げた。



「それじゃあ、僕に修行つけてくれませんか!」


「修行? なんでまた」


「いやですね、僕が別のところから来たってのは言ったじゃないですか」


「ああ、言ってたね」


「元々居た環境って、本当に危険がなくって。剣とか誰も持ってないみたいな。だから今の環境って、一人で街から出たらあっさり死にかねないんですよ」


「何その、平和な環境…………修行なら俺より、そこに居る師匠に…………師匠に…………」



 ヴァイオレットは、疲れて大の字になって寝てしまっていた。

 それを見てレイはため息を溢す。



「教えるの下手だけど、俺でよければ」




 ●●●●●●




 ヴァイオレットを部屋の隅に運んでから、一休み。

 小一時間程経ってから、山野を鍛え始める。


 武器だと言って山野が取り出したのは、くの字型の黒い物体だった。





「これが僕の武器、銃っていいます」



 ひとまず、実力を知る為に簡単な手合わせ。

 戦い方などを口から聞く暇があれば肉体言語だ。



「銃……前に見たことあるよ」


「え! この世界って銃あるんですか!?」


「うん。でも、それより大きいし、一撃毎に金がかかるし威力は簡単な魔法とトントンだからって、すぐに消えたけど」


「そっか……魔法があると銃って要らないんですね」



 そう言いながら、山野は銃のマガジン部分に触れる。

 そして、集中して魔力を込めた。



「魔力、使えるんだ」


「はい。これだけはやり方を、なぜか知ってたんです。僕の魔法は銃の出現と弾の補充。結構魔力持ってかれてるらしいんですけど、僕は魔力が多いらしくて」



 魔力で銃弾の装填を終えた山野は、少しレイから離れて銃を構える。


 それが剣の(きっさき)を向けられているのと同じだと理解したレイも剣を抜いて、炎を纏わせた。


 お互いに十メートル離れて、銭湯準備完了。



「えっと、開始とかって何かあります?」


「考えてなかったな……コインでも投げようか」


「それなら、僕が用意しますよ」



 言って、山野は手の中に銃弾を作り出して放った。

 それが床に落ちて甲高い音を鳴らした瞬間、それを掻き消すような発砲音が部屋に広がった。

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