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火の鳥

家に黒い蜚蠊が現れました。

嫌なので、難しい方の字にします。

 深夜に突然の爆発。

 それによって目が覚め、様子を見に出た市民は多く、皆口を合わせて、人は居たと言う。


 その人物の姿形、容姿は、記憶に穴が空いた様に、ぽっかりと抜け落ちている。


 不自然に、抜き取られているのだ。


 そんな珍事件が起きると同時、王宮でも異常事態が起きていた。

 レイとアリスの二人がそれぞれ別の位置で、自分の影に落ちたのだ。

 水に落ちる様に突然、どぽんと。



「っ…………突然なんだこれ」


「マスター、いるのですが?!」


「アリス! これ何か分かる?」


「いえ、さっぱりです」



 あたりは謎の液体で満ちていた。

 水というにも泥水というにも黒く、墨汁というにはとろみがあり過ぎる。


 強いていうならば、流動体の影。

 足元もそれで満ちており、少し歩きにくい。



「息災か…………」


「誰だ!」



 低い声が空間中に響いた瞬間、両手に炎をつけて戦闘体制となった。



「貴様が今のマスターか、変わらんな。それよりもアリス、お前だ」


「ん? もしかして影ちゃんですか?」



 声をかけられたアリスが言った。

 影さんと、かつて無いほど親しげに。



「大きくなりましたね、そっか、千年も…………」


「ああ、我々成長の遅い種族だが、これだけ月日が流れよう物なら老けもする」



 そう聞こえて、人型の影が現れた。

 顔は見えない。


 ボロボロの外套や顔を隠す布の様な影のせいで、人型であるということしか分からないのだ。



「向かしはちっちゃくてお母さんに甘えていたのに、私をお前と呼ぶ事以外は変わってしまって」


「っ………………我が其方らを読んだのには理由がある」



 声を一度詰まらせてから、何事もなかったかの様に話を切り替え。

 威厳は、もう低い声にしか残っていない。



「試練…………今の其方らには、紛いもない、正真正銘の苦難となり得る、試練が必要なのだ」


「試練?」


「四日後、海の魔物が王への反乱として暴れ出す。其方らはそれに備え、撃破。少しの敵も逃さずにだ」



 そう言った次の瞬間―――レイ達の見える景色が切り替わった。



「――――――へ?」


「ここは………おかしいです」


「アリス、やばいかも」



 二人が影から放り出された場所。

 酷い、酷い距離だ。


 なんせ二人は、ヴァイオレットの家、ガルレナの街まで飛ばされたのだから。



「不味いだろ!」



 慌てて家から飛び出した。

 全力で街を駆け抜けて、止めようとする門番を薙ぎ倒し街を出る。



「炎とは再生の( きざ)し! 炎とは繁栄の証、炎とは希望の(とも )し! (くら )がり暴くは我が( はて)御手( みて)! 聖火、百景、獄炎―――千の伊吹( いぶき)()いては身を焦がし、(れん )の合間に静閉ざす! (さい )は投じられた―――我が身投じ、熱筋を導こう! 超越魔法、天天羅蘇(アマテラス )!」



 即座に天天羅蘇を発動して、アリスへと手を伸ばす。

 手を掴んだ瞬間、体ごと引き寄せて抱き上げ、俗に言うお姫様抱っこの状態へと。



「急ぐから、捕まってて」


「マスター、急ぐというと…………!」


「六道―――モデル・ウィング!」



 走って既に加速がついている状態から、モデル・ウィングを発動。

 背から炎の羽が生え、その位置にあった輪は頭上へと移動。

 下唇を噛んで、眉の隙間に皺を寄せ、全力で羽ばく。



「――――――きゃぁ!」



 千年前にも無かった急加速に、思わずアリスは叫び声を上げた。


 しかしレイは止まらない。



「アリス、風防ぐのお願い!」



 道の探知器による空気の振動を最も強い力で放ち、風の進行方向を歪め、抵抗を減らす。

 それに連れて、更に加速。


 道中その姿を見た旅人達は皆、赤い線を見たと言った。


 レイ単体での最高速度は時速八百キロメートルを超え、亜音速と言われる速度に。

 しかし、それでは止まらない。

 アリスが完全に不完全ワールド・フル・オブ なる世界軸(・ディーフェクツ)を発動。

 うち二枚の羽から、とある魔法を発動。


 六道―――モデル・ウィングだ。


 黒鍵による風噴射にとどまらず、更なる高速戦闘を実現するためにレイに頼んだのだ。


 レイの背に羽が更に二枚生えた事によって、加速。


 完全に不完全ワールド・フル・オブ なる世界軸(・ディーフェクツ)の動力にする為大量に溜め込まれたヴァイオレットの魔力をレイへと移し続け、それが切れる寸前、ガルレナに放り出された八時間後の昼には、二人はリデラントへ高速の帰還を果たした。

読んでくださりありがとうございます!

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