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VS知り合い

 冒険者内での、パーティー離脱や移動はよくある。

 渡鳥のように、ある日突然パーティーを止める者もざらだ。

 レイ達の様に、戦い方が合わないから解散なども多い。


 レイとランズは特別仲が良かったので別れ際は悲壮なものとなったが、別の者ならばパーティーを抜けた後に交友関係が続く事も少なくない。

 仕事仲間がただの友達になるような感覚に近いだろう。


 その為現在、二人の間に険悪な雰囲気はない。

 最近の話に、昔の話。

 友達のような会話が続いていた。



「ところでレイ、お前何か変わっただろ?」


「変わった? 俺は何も変わってないよ」



 突如として、ランズが切り出す。

 レイは冷静に答えた。



「そうか、じゃあ肩の荷が降りたってところか。昔よか力抜けてるぜ」


「…………お見通し?」


「まあな。二年もあれば何となく、気負いがあるのは察する」


「目がいいのな、相変わらず」



 アリスは愛も変わらず話について来れていないので、静かに黙々と、届いた料理を食べていた。

 レイは若干の申し訳なさを感じてはいたが、店の味に幸せそうな表情をしているので大丈夫そうだと判断した。



「なあランズ、この後暇か?」


「あ? まあ、予定はねえよ」


「じゃあ少し、ついてきてもらって良いか?」


「別に悪がねえよ。俺はどこまで着いてきゃ良い」


「遠くはない。ちょっと、王宮まで」




 ●●●●●●




「マジで入れるのな」


「師匠の(つて )で。俺だけなら無理だよ」


「そうか」



 アリスは部屋へと戻り、二人は訓練場へ。

 ちょうど昼食時なので、人はいない。


 事前に見張りの兵に尋ねると、訓練場は自由に使って良いらしい。



「ここなら、どう変わったか見せてくれんだな?」


「ああ、話すと長いし、こっちの方が伝わる」



 ランズは店を出てから持ってきた戦斧を握り、レイも剣を握る。


 ヴァイオレットは剣の腕はからっきしなので、レイの剣の師匠はランズだ。

 そんな相手に今、刃を向けた。



「それじゃあ、行くよ」


「おう、受けて立つ」



 瞬間、レイは飛び出した。

 一歩駆け出した直後、足元からの炎噴射で加速しながら。



「なっ!」


「導火線、ボム!」



 床を炎が走り抜いて、爆発範囲内にランズが入る直前、炎の先が戦斧の刃によって叩き潰された。



「お前、二つ持ちだったのか!」


「あの時は違う、預けてた!」



 剣先に炎を纏わせて、飛ばす。

 戦斧でそれを払ってから、ランズが攻撃に転ずる。


 ランズは戦斧を振るって風を起こし、これ以上炎での攻撃が真っ直ぐ飛んでくる事がない様にする。

 一振りで暴風を引き起こす魔道具、風障( ふうしょう)

 風に(さわ )ると書いて風障だ。


 意識して振るえば戦斧の刃は空間に障り、大気に障り。

 その大気が戦斧から逃れる様に風となり動き出す。



「俺らを軽視して、隠してたのか」


「違う―――ランズも覚えてると思うが、あの突然の戦争、俺はアレに参加してた。そのとき自分ので焼けて大怪我負って、死にかけて。しばらく預けて転移一つに絞らなきゃまともに戦えないぐらい弱ってたんだよ」



 レイが炎を放つが、当然風によって散らされる。



「じゃあ何故今になって戻した」


「ドラゴンに出くわして、今後も同等かそれ以上の危険と遭遇する確率が高かった。戻した負荷で死ぬか、その危険と遭遇して死ぬか、二つに一つだった」



 ランズが飛び上がって、落下の勢いも乗せて戦斧を振り下ろす。

 後方に跳ねて回避した後、更に足元からの炎噴射で離れた。

 次の瞬間、振り下ろした際の風が衝撃となって、地面から一定範囲に一斉に放たれる。

 ランズの得意技だ。



「これが最後の質問だ。これ以上、何も聞かねえ。俺達とパーティーを組んでる間、その炎を戻す可能性はあったのか?」


「もし使わなきゃ、誰かの命に関わるなら」


「分かった…………それじゃあ後は、ただ戦うぞ!」


「おうっ!」



 そう応えた次の瞬間、レイ目掛けて突風が放たれた。


 足元の火力を上げて飛行を維持して、なんとか落下は阻止。

 しかし即座に、飛び上がったランズの、戦斧が襲いかかる。



「俺は飛べねえからよ、落ちろッ!」



 防御は間に合ったが、勢いは止まらず。

 身に戦斧を当てぬまま、レイは墜落した。



「七つ横には()を添えた!」


「っ、技のバリエーションが多くて羨ましいぞ」


「猿も登らにゃ木偶(でく )の某など、三途の三毛( みけ)は知るよし無し! 僧の文言聞き流せ、小僧の戯言(たわごと)しかと聞き届けよ!」



 ランズは敢えて詠唱の終わりを待った。

 発動の直後、ほんの一瞬。

 魔法が発動する為に魔力を放出する際起こる一瞬の硬直を知っているからだ。


 その隙を突けば並の魔術師との戦いにおける勝利など、容易だからだ。



「超越魔法、狒火(ひひ)―――群傷華( ぐんしょうか)――――――」


「ぬかったなッ!」



 地面に叩き落とされ、砕けた床による土煙が晴れた。

 ランズの戦斧から巻き起こる、風によってだ。


 今この瞬間、ほんの一瞬だけ硬直するレイ目掛けて振われた、戦斧によって――――――。



「つってね」


「お前、性格悪いぞ…………!」



 炎など無い、魔力など込めない、言うだけの詠唱。

 土煙が晴れた先には、ランズを待ち構えていたかの様に剣を振るうレイの姿が。



「軽いッ!」


「んなわけっ!」



 ランズは戦斧の柄で剣を止めるが、レイはより一層力を込めて、更に勢いを後押しする様に炎を噴射。

 レイの筋力ではあり得ない力が剣にかかった。



「お前相手だ、軽い剣振るうわけが、ないだろッ!」



 戦斧ごと、ランズを弾き飛ばした。

 勢いよく壁まで飛んで、激突。


 この一撃で、勝負は決した。


今後の貴殿の活躍に期待する。

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