強欲の機械娘
箱イベ楽しい
「師匠、どう思います?」
「うんっとね、変態」
「それは知ってます」
一晩明けて、リデラント二日目の昼。
レイはヤンの情報を知る限り話して、ヴァイオレットに意見を求めた。
しかし、出てくる言葉は全て知っている。
いかんせん、情報が少ないのだ。
「取り敢えず殺人との関連性は高いと見て良いと思うよ」
「まあ、俺を誘い出す陽動が爆発だったし。関連ってか犯人な気しかしませんよ」
「まあ、一番その説が濃厚かな」
新たな情報を得ることは出来ずに、少し落ち込むが、今日は今日で予定があるのでとっとと意識を切り替える。
軽く頬を両手で叩いてから、深呼吸。
「それじゃあ師匠、予定あるのでそろそろ行きますね」
「おや? 今日は何か、予定でもあるのかい?」
「まあ、はい。この国って商店多いじゃないですか。だからアリスの武器でも探そうかと」
「アリスちゃんのかい? 彼女ならレーザーとかあるだろうに」
「俺もそう思ったんですけど、師匠とか敵に何度か負けて、自分の戦い方は今の時代の相手には会っていないと判断したらしいです」
そう言うと、ヴァイオレットは少し悩むような素振りを。
数秒経ってから、ぴかりと瞳を輝かせて、何かを閃く。
「愛弟子、ちょっとこの部屋で待ってなさい」
「待つって、アリスとの約束が…………」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから―――もしかして愛弟子は、お師匠様の言葉が信用出来ないのかな?」
「はあ、分かりました、待ってます」
「それでこそ愛弟子! 待っててね〜!」
そう言い残して、ヴァイオレットは部屋を出て行った。
それから十分、二十分。
余りにも遅いので迎えに来たアリスに事情を伝えると、共に待つと言われ更に十分。
そこから飛ばして一時間、二時間、三時間。
共に十分待った時点でレイは出ようと言ったが、アリスが待ちたいと主張。
四時間、五時間。
空が赤くなり始めた頃に、部屋の扉が勢いよく開いた。
「お待たせ愛弟子!」
「ええ本当に」
凄く楽しそうな、ほっこりした顔でヴァイオレットが現れた。
顔に青筋立てながら、ヴァイオレットを迎えた。
ヴァイオレットは満面の笑みだ。
「ど、どうしたのかな愛弟子。そんな怖い顔をして」
「いえ、怖い顔など何も。それで師匠、何をしてたんですか?」
「え、えっとねえ…………ちょっと訓練所について来て欲しくってね、ちょっと準備に時間がかかっちゃって…………ってへ」
「行きましょう。アリスも行こう」
「っ! ごめん愛弟子! てへは流石にキツかったよね!」
「そんな、気にして無いですよ」
「愛弟子ってばあ!」
ヴァイオレットはアリスを前に、取り繕うことを諦めた様だった。
●●●●●●
「なんですかこれ、鉄のブーツ…………?」
「他にも沢山ありますよ、マスター。目と羽、これは………ボディースーツですか?」
「魔力…………まさかこれら、全部が魔道具?!」
魔道具とは、簡単に言ってしまえば魔法を封じられた道具。
昔は作れる者が居たらしいが、今は噂もない。
現在入手するには、ダンジョンの探索などによって手に入れるか、既存の物を高値で買い取るかの二択といわれている。
よくある物だと、昔は量産されていた、簡単な魔法を閉じ込めるナイフ。
レイが炎の魔法を使えない期間、使っていた物が主流だ。
「ちょっと持ってくるのに時間がかかっちゃってね。ガルレナの家まで走って取りに行って、往復五時間!」
「歩行速度とち狂ってますね」
魔力を感じ取る限り、どれも一級品。
通常の魔道具は魔道具に閉じ込められた魔法は一つだが、物によっては二つや三つまで使える物もある。
「さあアリスちゃん、好きな物を選ぶと良い」
「好きな物、ですか…………それぞれの効果をお聞きしても?」
「ああ、そうだね。それぞれ有用な物ではあるからどれを選んでも損はしないけど、吟味する必要はある」
そう言って、ヴァイオレットは魔道具の解説を一つ一つ行う。
まず一つ目―――黒光する金属のブーツ。
黒鍵。
閉じ込められた魔法は風の魔法による加速と、もう一つ自由枠。
好きな魔法をストック出来る。
二人―――赤い瞳の義眼。
千里眼。
千里、三千九百九十キロメートルまでの距離を自由に見渡す事が出来る。
アリスのレーザーと連動させれば、完全な不意からの超長距離攻撃が可能だ。
三つ目―――黒鍵と同じく黒光する金属で出来た片翼の羽。
完全に不完全なる世界軸。
機械仕掛けの羽が五枚別々に作動して広がり、それぞれ魔法をストック出来る。
四つ目―――薄く滑らかな生地で出来た白のボディースーツ。
鎧裸。
着ていれば裸同然の動きやすさと通気性が常に保たれている上に、斬れず焼けず電気は通らず。
ボディースーツの面は濡れる事も無い。
「さて、これで全部かな。物足りないようならもう一走りして来るのだけれど」
「その…………決めきれなくて」
「んーそれは困ったね…………じゃあ、全部あげよう」
「全部ですか! それはなんとも贅沢な」
「元々どれでも上げる予定だったんだ、どれも残さずあげちゃっても問題無いのさ」
「それは、素晴らしいですね…………!」
表情が明るくなる。
アリスに新たに、強欲の要素が追加された。
World full of Defects




