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師弟関係

手の傷が大きすぎて、合う絆創膏が無かったので買いに出てました。


 ミノタウロスの猛攻は続く。

 レイが注意を自分へと向けて回避を続ける中、レオンは部屋中を走り回って、仲間の遺体の元へ。


 全員の武器を一つずつ、回収して行く。


 ミノタウロスの攻撃の中、全員の遺体を運び出すのは不可能と判断したのだ。



「レオン下がれ!」


「了解大将ッ!」



 レオンは指示に従いながら走り回り、未だ無傷。

 レイも擦り傷が一つ二つある程度で、戦いに支障をきたすものは皆無だ。



「俺が頭を下げる、そこを叩け!」


「おうよッ!」



 レイは飛び回りながらもミノタウロスの足を狙い攻撃し続ける。


 八メートルを悠に超える巨体だ、攻撃を外しようがない。

 また、その巨体を常支え続ける足は、特別発達しているわけでもない―――未だ発展途上なのだ。


 暴れ、攻撃のダメージが蓄積され続けて、次第に限界が近づいて行く。


 仕留めようと思えば容易だが、レイが仕留めてしまっては意味がない。


 レイはあくまで手助け。

 最後は、レオンが倒さねば意味がないのだ。


 指先に火を凝縮して、発射。

 膝の骨を砕かれたミノタウロスは、壁を背もたれしにて倒れ込んだ。



「行くぜ、大将ォ!」



 ミノタウロスの腕を駆け上り、顔近くで飛び上がる。

 装備は盾のみ。

 鎧も兜も、何もない。



「この、牛公がああああああッ!」



 (しばら)く続いたレイの攻撃に加えて、通常の人間からは大きくかけ離れた筋力のレオンによる頭部に対しての盾での殴打。


 その一撃が、ミノタウロスを死に至らしめた。



「リーダー、やりやした。これで少しは恩を………………」


「レオン、何かおかしい」


「なにか? 俺にはさっぱりですが」



 ミノタウロスの身に宿る、魔力の変化。

 魔法の才能が無いレオンには気づけない現象だった。



「不味い、逃げろ!」



 瞬間―――どろんとミノタウロスの皮が剥がれ落ちて、代わりにその内側の、ゲル状の物体が現れる。


 剥がれた皮と共に溢れ出した血がゲル状の物体の表面を流れ、次第にその全貌が明かされる。



「大将、俺の目に狂いがなけりゃよォ、あの中に居るのは全裸の女で間違いねえな?」


「ああ、だからアルスの目を抑えろ」



 ミノタウロス同様、牛のようなツノが生えた、乳の大きな筋肉質な女。

 肌は褐色であり、身長はレオンの様に高い。



「アイツが起きる前に逃げるぞ。俺はアイツに、心当たりがある…………!」




 ●●●●●●




 褐色の肌、体に魔物の特徴。

 これは魔導王、アルブレヒトを殺害した女の特徴と一致している。


 部屋を出て、ダンジョを出て。

 ようやく安心したレイ達は、馬車へと乗り込んでさらにダンジョンから離れる。



「マスター、あの女性はお知り合いですか………?」


「違うよ。ただ、似た様なやつと戦った。ほら、マリッサムでの」


「ああ、あの話での………………」



 この話については、アリスとアルスもレイの話伝いに心当たりがある。


 もしあの女と同種だというのならば、アルスを護りながらの戦闘は困難となっただろう。



「さてレオン、俺達はリデラントに向かうけど、これからどうする?」


「俺もリデラントからやって来た。大将さえ良けりゃあ一緒に向かいてえが…………」


「分かった、食料にも余裕はあるし、一緒に行こう」


「そりゃあ助かるぜ大将! 仲間の武器を持って帰りたかったが、歩いて持って帰るのは流石にちと骨が折れるからなァ」



 そんなこんなで、新たに旅仲間一人参入。


 夜の焚き火見張り番などの人数が増えるので、少し楽になるなと考えながら、馬車を走らせる。


 しかし、ダンジョンを出た頃には少し日が沈み始めていたので、少しの移動をしたら直ぐに夜の支度を始める。


 馬車を止めて馬を木に繋いだら、アリスの収納技術に驚くレオンを見て笑いながら簡単な夕飯を。


 その後クジで最初の見張り番となったレオンの元に、アルスが一人尋ねた。



「どうした、嬢ちゃん。嬢ちゃん朝方の当番だろ? 朝早いんだ、とっとと寝た方がいいぜ」


「いえ、夜更かしとかでは無く。レオンさん、恐らく貴方が使う武器は、盾のみではないですよね?」 


「おうよ! 牛公に壊されっちまったが、元々は槍を使うな」


「それを見込んで、一つ、私に武器を教えていただきたいのです!」


「嬢ちゃんに槍をか? そのタッパで槍はちと難しいと思うが…………」


「その、槍を選ぶまでに、他の武器を使ってみたりなどあったと思うのですが、その中で私でも出来そうなものがあれば、いいな〜と…………」


「成る程なあ…………それならまあ、筋肉がついてるわけじゃ無さそうだから重い武器はダメ。嬢ちゃん、目は良いか?」


「いえ、小さな頃から本ばかり読んでいたもので…………」


「それじゃあ弓矢もダメだな。本ばっかってえと、体力もねえな?」


「街の子供の方があるかなという程度には」


「まあそれは無理矢理にでも鍛えるしかねえな。そしたら、手先は器用だろ。医者なんだろ?」


「はい! これでも世界の名医を調べればら上から数えた方が早いと王に褒められるぐらいには!」


「そうか、じゃあ手出せ」


「手ですか? はい」



 差し出された手を掴んで、捻る。

 百八十度程回転させたところでアルスが痛みを訴えると、即座に手を離した。



「よし、ナイフだ。手首が柔らかければ扱いも上手くなるだろうし、器用さもあると来た。背があれば槍も使えたが、残念だな」 


「ナイフですか! それなら護身用に持っています! 使った事はないですが」


「そりゃあ勿体ねえ。折角だ、これから見張り番の間教えてやるよ」



 こうして旅途中参加の二人の、師弟関係が始まった。

ケンタウロス→ミノタウロス


修正しました。

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