偽造
問題は、炎の消費量。
サクミアの木を燃やすには高温かつ、高火力の炎が必要だが、攻撃される度にそんなものを出していれば魔力が尽きてしまう。
「………………正解はこれか」
剣を抜いて、炎を纏わせる。
放射するのではなく纏わせ続けるのなら、魔力の消費は少ない。
片手で剣を構えて、もう片手には炎を纏わせる。
「ドラゴンの剣か―――骨なら個体差も少ないし、僕は良い判断だと思うよ?」
「俺は、意見を求めてらっしゃらねえよっ!」
斬りかかろうとするが、木に防がれる。
一気に奥まで転移する事も考えたが、転移は魔力消費が激しく、更に計算の為の時間が必要。
戦闘中の連続使用が難しい事は、炎の魔法を預けていた数年でよく知っている。
「信者の為だ、消えてもらいたいねえ」
「信者の為? 世界を一度ぶっ壊すってのは聞いたが、何がしたい?」
「森を壊し、生きる為に必要な量以上に生き物を殺す人間こそ、世界なとっての膿だ。僕はただ、それを削除する」
「その手の神話、出尽くしてるんだよ!」
邪魔をきって進み、アルマーニの手前に飛び出る。
「近づけば斬れると、思ったのかい?」
「――――――ッ!?」
地面から生えた鋭い杭を手元に留めていたアルマーニは、勢いよくそれを突き出し、レイの腹部へと突き刺さる。
即座に杭の体に突き刺さった部分より先を切断して、切断面からの再生がない様に着火。
一度アルマーニから離れる。
「もっと太くしとくんだったな…………それなら、死んでた」
「ご忠告痛みいる。次からも、この太さで行こうか」
「嬲ってるつもりか…………」
内臓には運良く負傷なく、これ以上傷口を痛めない為に、敢えて杭はそのまま放置する。
引き抜けば断面が傷つく上に、今以上に血が流れる。
血が足りなくなれば頭は回らなくなるし、身体の機能は低下。
これが得策と判断した。
運が良いことに杭は体を貫通しており、走っても杭が変に動く事も無い。
そう判断してレイは、再度全力疾走した。
「君は、頭が悪いのかい」
アルマーニは呆れて苦笑いしながらも、次の攻撃の準備を進めながら、レイの攻撃を大量の太い木で抑え続ける。
「天譴―――木魚」
木で魚を作り出す。
その姿は魚にされたイルマーニに酷使している。
イルマーニをこの姿に似せたのか、イルマーニにこの姿を似せたのか。
「この力は奇跡、人間でいうところの魔法であり、完全なる上位互換さ」
魚は宙を泳ぐ様に移動。
鋭い牙で、レイへと襲いかかる。
「痛っ! 腹に穴空いてんだ、少しは労れ!」
魚を斬ると、少し腹の傷は痛むが、動けなくはない事が分かる。
走る速度も変わりなく、通常時と近い戦闘が可能だ。
「六道―――モデル・アサシン」
剣を鞘へと戻してから、見に纏う炎を右手へと集め固める。
一度深呼吸してから力み、その力を全開放する様に駆け出した。
襲い掛かる気を回避しながらの疾走。
今度は真っ直ぐではなく、辺りの木を蹴って立体的に、縦横無尽に飛び回る。
背後へと回ってから、アルマーニに向かい右腕を向けた。
「モデル・アサシン、開放」
一気に炎を放出。
炎はアルマーニを包み込んだ後、レイの体へと再度戻り、背後の炎とそれに繋がる火球を作り出す。
「防御壁まで、完璧かよ…………」
炎が消えた後に見えたアルマーニは、何層にも連なる木の壁で炎を防いでいた。
七層目までは焼き貫いたが、残り三層は無事。
それを見たレイは、即座に退避。
木の邪魔が多い位置まで逃げ込んでから、親指で狙いを定めて、人差し指をアルマーニへと向けるろ
背後の火球六つの内二つから炎の細い線が現れて、模様を描きながら指先へ。
「六道―――モデル・ガンナー」
線を伝って二つの火球が指先へと移動し固まり、弾丸を作り出した。
レイがばんっと呟くと同時に、発射。
弾丸は回転しながらアルマーニへと進む。
防御のためと出された木の壁を貫き、撃ち落としながら。
「――――――湾曲。止まらないならば、曲げればいい」
「俺、お前嫌いだ」
木の壁が更に出現。
しかし今度は一枚のみ、湾曲、弓形で弾丸の進行経路に並ぶ様に。
それ沿って進む弾丸は少しずつ進行経路を曲げて、軈て完全にアルマーニを射程から外した。
「天譴、木忌華憎」
アルマーニが言った瞬間―――空間に広がる木全てに、黒い線が入る
線は次第に伸びて行き、レイの足元に達した途端、強い魔力を放った。
「っ、一か八か!」
他の木に体がめり込み融合、同一化してしまう可能性のある危険を孕んだ、緊急の転移。
レイが木の中から転移した瞬間、今まで位地から巨大な杭が飛び出した。
もし少しでも退避が遅れていれば、貫かれて死んでいただろう。
冷や汗が噴き出すような一瞬だったが、気づいた事もある。
とても重大な気づきを、今の一瞬で得た。
「おい、アルマーニ!」
「ん、なんだい? 命乞いならば、二十四時間受け付けているよ」
アルマーニはレイを苛つかせようと言った。
少しでも冷静さを失わせて、この戦いを短期で終わらせようとしているのだ。
今からレイの言う、秘密に気づかれない為に。
「お前は神なんかじゃない。東の大陸のみに存在する長寿の種族、エルフだな?」
エルフ、長寿種は前にぼいん師匠が言ってましたね。




