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相性問題

みなさん雷大丈夫ですか?

「真下ですね…………」


「ああ―――あと、そこに居る」



 教会内部、広い広い空間の奥に、一人小さい男児、十歳ほどの男が座っていた。

 ステントグラスで絵が描かれた神に背を向けて、テーブルに腰掛ける罰当たりな位置で。


 なんとも、背信的だ。



「マスター、先に行かれますか?」


「アリスはどうすんの」


「私は、礼拝の作法をあの子に叩き込んでから向かいます」


「任せたよ」



 言って、レイは拳に炎を纏わせて、床を殴り割った。

 すると下には、広い空洞が広がっている。



「じゃあ、先行ってるから!」


「あーあ、ちゃんと開くギミックがあるのに」



 空洞に落ちて行くレイを見ながら、少年―――聖人、フランツ・シュルノルは言った。



「君がここに残るなんて、意外だね」


「私は従者です。マスターの進む道を切り開く事こそ、私の役目」


「よく分っかんない。君の方が強いなら、君が行けば良いのに。アレ? 君の方が強いから、長い足止め要因なのかな?」



 それを聞いたアリスは、小さく笑った。

 そして、それを隠す様にてでくちをおさえる。



「僕を笑ったのか? この国唯一の聖人のこの僕を、嘲笑ったって言うのかい?」


「いえ、すみません――――――勘違い、甚だしかったもので」


「かっちーんだよ、僕」  



 瞬間―――ステントグラス含めた窓が全て割れる。



「君の体、鈍感みたいだね」



 フランツが言うと、今度は空気が震えた。

 アリスは少し嫌な顔をして、突如湧き上がった吐き気を飲み込む。



「機械の君にも吐き気はあるんだねえ。製作者の性癖か、細かく人体を模倣し過ぎている」


「子供の言葉遣いではありませんね」


「今度は子供…………やはり馬鹿にしている。聖人である僕を、舐め腐っているんだ!」



 次は衝撃波。

 床を削りながらやってくる攻撃を、アリスは飛んで回避する。



「理解しました―――正体は空気の振動、子供の遊びです」


「分かったよ。畢竟(ひっきょう)…………僕を煽って怒らせたいんだ。残念だね、僕が冷静でえ!」



 アリスは、二度目は笑わなかった。

 代わりにため息を一つ。


 いつの時代も子供は変わらないなと、呆れているのだ。



「子供は昔から、無力を隠すために貴族の人の様な難しい言葉を使いますね。私には理解出来ません」



 言って、四つの玉を出現させる。

 レーザーの発射口とは違う、完全な球体だ。



「こんなに早く使うつもりはなかったのですが…………丁度良いので仕方ありませんね」



 玉はぴんぴんと、高い音を一定の間隔で放ちながら光っている。



「君、何だそれは…………」


「魔法は発動しています。魔力阻害などではありませんよ。これ探知器。一定の周期で細かな振動を放ち、それの反響で曲がり道の先などを調べるのです」


「じゃあ、もっと強い力で――――――っあ」



 探知器に気を取られた瞬間、背後からレーザー二本の攻撃が飛び、両肩を貫いた。



「貴方は子供です…………殺しはしません。でも、後遺症は御覚悟してくださいね?」




 ●●●●●●




「長いな…………」


 長い螺旋階段をレイは階段を使わずに降りていた。

 中心の穴で足の炎の火力調整で下がるが、一向に最下層へと辿り着く気配がない。


 石造の螺旋階段は暗く、光もレイの炎以外無い。

 何処はかとなく不気味なのだ。


 炎噴射の音だけが響く中、いい加減退屈していると、突然別の音が耳の奥を突く。


 何かが押し合う様な、(うごめ)く様な、潰し合う様な。


 天天羅蘇は発動済み、戦闘態勢は整っているが。



「木の神、アルマーニ…………!」


「来たのかい? やあ、待ってたよ! やっぱりここに来るのは君だったか!」


「大層な喜び様じゃないか。意外だな」



 階段の果てには、広い部屋が広がっていた。

 只々広く、果てしない。

 中の一部には、太い木が捻れ、押し合い、角に詰まっている。


 レイは六道によってセットされた火球を一つ手に取って、増幅。

 巨大な火球に変えて、攻撃準備を整えた。



「物騒だ! 僕はそれを仕舞って欲しいんだけどね…………頼めるかな?」


「神に祈れ」


「分かった、何とかしよう!」



 火球を一つ飛ばすと、部屋の角に詰まっていた木の塊が分解。

 太い木が火球を防ぐ触手のように動いて、燃えた部分は別の木が叩いて消火する。



「木なら燃やせると思ったかい? 愚かだねえ。これはサクミアの木。この国にだけ生息する、僕から生み出された、燃えにくく、水をスポンジの様に吸収する木だよ」


「ああ、それか…………それ持ってると胃の中まで謁見されるからな、あんま見せないでくれよ」


「嫌と言う程見せてあげよう」



 木の波。

 先程以上の火力で燃やした。



「伐採の時間だ」

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