羽虫よ
マジの脱水症状でお風呂で倒れてたので投稿遅れました。
レイとロムニスの共同生活は、アリスの不安の種であった。
しかし、実際は違う。
長年の友のように語らい、言い合いの一つも無い。
普段は立場、行動理念で敵対しているが、敵同士だろうと長年の知り合い、昔の戦地からどうだ、少し変わっただ、くだらない雑談をしている。
二日などあっという間に過ぎて、ピルグリム突入日。
完全に魔力は回復して、二日も休んだので体力も有り余っている。
「ロムニス、しくじるなよ?」
「誰にものを言う。貴様こそ、己に泣きつくような状況にならぬよう気を付けるのだな」
今回もアルスは留守番。
もし重傷者が出れば、その者の元に直送される。
アリスは一緒に出るが、何故か上機嫌。
不安や緊張というよりは、ソワソワしている。
「マスター、早く行きましょう!」
「う、うん……どうしたのアリス」
「イルマーニ様に戦闘機能を一部修復して頂きました! 早く使いたいのです!」
「なにそれ、見たい」
納得しながらも、装備の確認をする。
今回は短期決戦を目指すため、バッグなどは持たずに、必要最低限の戦闘装備のみ。
「さて、送るぞ。我が兄弟の躾、どうか頼んだ」
「おう、任された」
そう言って次の瞬間、景色か切り替わった。
突然上空に放り出されるも、各々別の対応をする。
レイは炎の噴射で飛んで、ロムニスは電気の足場を。
アリスはレーザーの発射口を足場にしている。
「なあロムニス、前から思ってたんだけど、それどうやって立ってんの?」
「足元に磁力を作り出しているだけのこと。難しい話しじゃない」
「そう、長年の謎がようやく解けた」
今の所気楽に。
そう思っていた次の瞬間、三人に向かい槍が投擲された。
真っ先に気づいたロムニスが電気を発すると、それに気づいた二人もそれぞれ槍を落とす。
「自動人形、教皇オスカーだ。ここは己が相手する。先にゆけ」
「おう、任せた」
「よろしくお願いします!」
ロムニスに相手を任せて、二人で先へと進む。
「さて、姿を表せ」
市民の姿はなく、聖騎士で埋め尽くされた地上へと声をかけた。
すると、聖騎士が左右へと分かれて一本道を作り出し、その奥から一人の老男が現れる。
「しばらく前からこの街で鍵まわっていた羽虫はお主じゃな?」
「悪いが羽虫には、心当たりがない」
「とぼけおって」
「貴様こそ年老いてボケたのではないか」
「ぬかせ、小童がっ!」
瞬間―――二人の魔法が同時に放たれ、衝突する。
「我が聖なる魔法を防ぐとは、小癪よのお」
凄まじい風の魔法を放ったオスカーは言う。
既に指先には新たな風を圧縮して留めており、それぞれ指五本からそれを放つ。
「そよ風は間に合っている」
ロムニスも引かずに、雷を飛ばして応戦。
魔法の撃ち合いが始まる。
「槌の雷帝!」
「遅いわッ!」
雷で形成された巨大なハンターを一点集中の風で破壊してから、獣の爪の様な風の攻撃を放つ。
風自体はただの風だが、途中破壊して巻き込んだ建造物の瓦礫などもあり、当たれば大ダメージ。
ロムニスは回避しようとするが、風に寄せられて、少し動きが遅くなる。
「雷槍!」
電気で形成された槍を雷の速度で飛ばす、早過ぎるため当てるのも難しい魔法だが、風が自ら槍を吸い寄せるため、その点は安心。
雷槍は風の爪へと直撃して、内側からの衝撃で風を拡散させた。
「五世八極、七代一条の理り。矢筈に掛けるは敵の首―――討ち取る奏者は右の果て。超級魔法、電虞!」
図太い雷が真っ直ぐオスカーへと飛ぶ。
風の防御はあるが、力強く、愚かに直進する。
「聖騎士よ、盾となれ!」
鉄の鎧を通して電気は地面へと流れ、無効化。
電気と鉄、最悪の組み合わせだ。
「あの火吹き男ならば溶けせただろうに、そんな役を選んだのう。まるで役不足じゃ」
オスカーは言うが、ロムニスは動じない。
間も開けずに次の詠唱を開始する。
「雷鳴轟き―――我が名を冠する王よ。摂理と倫理、臨界を統べるかの夢に捧げる御業を今響かせんとしよう! 超級魔法―――下り龍!」
「聖騎士、もう一度防げ!」
天から落ちる光を浴びた聖騎士。
鉄の体は電気を逃がさす、オスカーにまで直撃して肺を焼いて、叫び声すら出させなかった。
「この魔法は雷の純粋な熱だけを撃ち出す物。あの男炎には届かなくも、鎧を溶接する程度の熱はあろうよ」
鎧同士がくっつき、身動きの取れなくなった聖騎士を見下しながら言う。
鎧が溶けてくっつくまで、本来ならば時間がかかるが、倒れる聖騎士を抑えようとオスカーが放った風が鎧を即座に冷まして、完全な溶接を完了させた。
ヒューヒューとか細い息を吐きながらも、辛うじて生き長らえたオスカーの元へとロムニスは歩み寄る。
「老人を殺すには熱が足りなかったか…………ならば最後に、己が手ずから幕を切り落とすとしよう」
電気の剣を作り出して、振り上げる。
「おのれ…………おのれえッ!」
「さらばだ、羽虫よ」
ここまでの話を、一部修正しました。
ストーリーには関わらない内容です。




