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お魚天国

「マスター、無事だったのですね!」


「うん…………心配させたなら、ごめん」


「謝る必要など!」



 二人が感動の再会を果たしていると、緑色の髪の男が、やれやれとでも言いたげに首を振った。



「先程から気になっていたのですが、マスター、あちらの方は?」


「ああ、あのね…………少し驚くかも知らないけど、嘘じゃ無いから、信じて欲しいんだ」


「どの様な事でも信じますよ」


「分かった、じゃあ紹介しようか」



 そう言うと、レイは男の元へと言行き、両の腕で誇張する様に男を示す。



「えーっと、こちら神様のイルマーニさんです」


「イルマーニ…………さん?」


「あ、固まっちゃったか」



 活動を停止したアリスの元へと戻って、目の前で手を振る。



「アリス、生きてる〜?」


「はっ! イルマーニさんですか! 私最近、似たような魚を見ました!」


「うん、その魚がこのイルマーニさんだから、お願い、魚呼ばわりしないであげて」



 魚とは似ても似つかない。

 控えめに言って美男なその男を、レイはイルマーニと呼んだ。



「まあ理由は話すし、一回どこか休めるところ行こうか」




 ●●●●●●




 街には戻れないので、道の途中で緑髪の男、イルマーニに着いて行き道の傍の森へと入る。



「まずアリス、イルマーニが何かってのは分かってる?」


「一応、街にあった本の内容でしたら」


「その本って、どんな?」


「省略してしまえば、兄のアルマーニが、悪事を働くイルマーニを罰として魚に変えてしまうという話しだったと記憶してます」



 すると、レイとイルマーニは、やっぱりとでも言うような様子で顔を合わせた。



「それは逆でさ、悪事をやってたのは、アルマーニなんだよ。国中に麻薬を広めて、洗脳して、それを止めようとしたイルマーニに、杭を刺して力を封印。弱ったところに魔法をかけて、魚の完成ってわけだ」


「その杭というのは―――」


「俺が抜いた。戦いの途中に気づいてね、丁度いいからもっと奥まで差し込んで内臓貫いてやろうかと思って触ったら、昔の記憶がバーっと」


「バーっと?」


「うん、頭の中にバーっとなだれ込んで、記憶が少し混じった。馬車を降りて一日は休まず戦ってたんだけど、杭に触って即抜いてからは、少しの間自分をイルマーニだと思い込むぐらいの重症だったんだよ」


「それは怖いですね」


「うん、怖かった」



 話しながら森の中を進むと、少し開けた場所へと出た。


 遺跡のような、ひび割れて苔の生えた円状の石床と、一部残っている柱数本。


 どこか神聖な空気が漂う中、イルマーニは石床へと足を踏み入れて、姿を消した。



「マスター! イルマーニ様がお消えに!」


「大丈夫だよ、俺達も行こう」



 レイも足を踏み入れて、姿を消す。

 アリスとアルスもそれに続いて石床に入ると、見えていた景色が切り替わる。



「ここは…………城ですか?」


「正解、急に別の場所に来たのに、落ち着いてるねアリス」


「マスターの魔法で何度か体験していますので」


「そっか、じゃあそれを体験してないアルスは…………」



 腰を抜かして、座り込んでいた。

 それを見て、イルマーニが高笑いをしている。



「ここは我が神域、永遠の空席(アルスレギナン)! (しば )し待て」


「アルスレギナン! 私の名前と似てますね」


「似てるというより、冒頭三文字ですね。なんだか幸がありそうです」



 神域とは、神が各々所有する己の空間。

 世界に点々と存在する物では無く、乖離(かいり)された別空間であり、言ってしまえば別世界。

 異世界だ。


 イルマーニの神域であるこの城は、メルヘイルの城よりも広く、豪華だった。


 メルヘイルは魔法至上国家であり、外交などで他国に見栄を張るための城の見た目よりも、魔法の探究に金をかけているのだ。


 しあし、この城は違う。

 神域は所有する神の考えた形に形成され、そこに消費される金はない。

 それどころか、何のコストも消費しない。


 いくらでも作り放題、やりたい放題。

 自由自在だ。


 突然自分達が移動した広間で待っていると、イルマーニが小さな紙切れを持って帰ってくる。



「普段は大事がないように、こうして隠しているのだ。これは嘗て名を馳せた画家が描いた絵の切れ端。我が力を振るえばっ!」



 そう言って、紙切れ、切れ端を勢いよく振るった。

 すると、破れた先から絵が生えるように再生する。



「機械娘、何だその顔は」


「いえ、なんだか見覚えがあるなと…………」


「そうか、お前はもう一枚を見たのか」



 絵には、炎と、海、根と森が描かれていた。

 根はアリスがイグニールの被害者を弔う場で見た絵の大樹と繋がるような、絵全体に広がる巨大な根だ。



「この絵は上下に分かれていてな、それぞれに我の力が封じられている。こちらはずっと所持していたが、杭のせいで力を取り戻す力もなかった」



 しかし今は、もう違う。

 レイが杭を抜いたからだ。



「イグニールが多少自由に動け回れる今、俺達はもう片方の絵を回収する手伝いをする」



 何故かアルマーニの兵に追われて緊急事態の今、突然レイから放たれた宣言に、流石のアリスも意見を言おうとした。



「マスター、流石に今は――――――」


「報酬は千年前の情報」


すみません、今回一時の投稿はお休みさせていただきます。

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