表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/107

司教

一日の更新回数を一度にしようか悩んでいます。

もう少しゆっくりの方が良いや、今のままで良いなどあったら、教えていただけると幸いです。

「仲間がイルマーニに。かの邪神に襲われたならば、お気の毒ではありますが…………奥の建物でイルマーニの被害者を弔っております。ぜひ、御参列ください」



 仲間が犠牲になったというのにニコニコと笑顔のまま喋る門番へと腹が立ち、アリスとアルスは無言のまま何も答えずに街へと入る。


 街の者は皆、真っ白な宗教服を着ていたので、旅人との見分けは一瞬でついた。


 常に上空へとレーザーの発射口を一つ待機させて、街を散策。


 少し歩くと、街の奥に建つ大きな建物の中に続く、長い列が存在した。



「失礼ですが、これは何の列でしょうか?」


「ああ、これはイルマーニの犠牲者を弔う有難いお言葉を聞きに皆集まってるんだよ。アンタは旅人さんかな? 運がいい、今は大きな街の方から司教様がいらっしゃってるんだ!」



 これが門番の言ってた物かと納得しながらも、アリスは質問に答えた旅人の男に、胡散臭さを感じる。



「アルス様、しばらく一人で、どこかでお茶でもしていてください」


「は、はい!」



 何かあったらアルスを守り切れないかもしれないという理由で一人になってから、アリスは列に並ぶ。

 列は十分( ごと)に進み、次第に建物の中へとアリスは入っていく。


 建物に入ってからも列は続くが、小さく奥の司教のものであろう声が聞こえて来た。


 脳に直接響く様な声が少し嫌だったが、門番はイルマーニを邪神と呼んだ。


 司教ということは宗教、宗教ということは神。

 ならば邪神とも何か関係あるかもしれないと簡単な推理から、何か分かるならば背に腹は変えられないと、仕方なく並び続け、進んだ。


 ようやく列が終わると、辿り着いたのは、いくつもの椅子が並び、その真正面にはふくよかな体の男と、謎の大きな木の絵があった。

 男は建物に入る前に聞いた話から、司教だろうと判断する。


 部屋に居る、宗教服を着た女達に促されるがまま椅子へと座り、席が埋まると、真正面の司教が軽く会釈をしてから、アリス達、椅子に座った者達へと背を向けて、体の正面を絵に向け、唸る様に小さな声で、何かを唱える。


 声が小さすぎて内容は分からないが、声は妙な程脳へと響き、アリスは気が滅入る。


 五分程聞き続けると、頭が朦朧(もうろう)とし始める。

 部屋を出ようかとも思ったが、せっかくここまで並んだのに勿体無いとも考える。


 そして気づいた。

 耳を、使わなければ良いのだと。


 アリスは人間では無く機械。

 だから出来るのだ、聴覚の、オンオフが自由自在に。



「――――――――――――――――――」



 長い沈黙が流れる。

 司教が何か喋っているのは分かるが、声は全く聞こえない。


 意識がはっきりし始め、しばらく退屈なので奥の絵を見る。


 大きな木、下にはうっすら水色、海か川だ。

 小さ過ぎてしばらく気付かなかったが、木の枝には一人、釣竿を持った人物が座っている。


 その人物は何か気味が悪く、ドラゴンにも負けないアリスも、少し目を逸らしたくなった。


 時間が経って司教の男が再度会釈をしてから、アリスは聴覚を起動する。



「――――――!?」



 周りの者らが立ち上がり始めたのでアリスも立ち上がらうとすると、全く足に力が入らない。


 司教や他の宗教服を着た女達が、アリスを不審な目で見る。


 立ち上がりたいが、全く力が入らない。

 女達がアリスへと近づく。

 早く立ち上がりたいが、やはり力は入らず、とうとう女達がアリスへと、声をかけた。



「どうしましたか? なにか、()()()()()()()()()()()()()()?」



 女の声は、脳へと響いた。

 続々と女達が集まり、いよいよ司教までもがアリスの元へと歩を進め始める。



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――――――」


「いえ、結構です。長旅で疲れていおり、やっと座れたものですから、もう立てます」



 アリスは極小のレーザーの発射口を二つ出現させて、それを握る。


 立ち上がるのでは無く、その二つを握った状態で浮かせることで、無理にでも体を立ち上がらせた。



「ご心配ありがとうございます、失礼します」



 無理矢理立ち上がった途端、足に力が戻り、アリスは自分で歩いて、部屋を出た。

 外の空気は澄んでおり、徐々に積もったのであろう、気づきもしなかった息苦しさから解放される。



「お待たせしました―――すいません、思ったより長くなってしまいましたね」


「いえいえ! アリス様を待っているという事実だけで、待ち時間も至福です!」



 近くのカフェのテラスでコーヒーを飲みながら待っていたアルスと合流して、宿を取る。


 食事は外で買わず食べず、室内で持参の物を。

 水すらもだ。


 これはレイから教わったこと―――もし食べ物に何か混入していた場合、攻撃は体内から。

 体外からの攻撃に強くとも、どうなるか分からないのだ。

 そのため、自分以外は信頼しない、全て自分でやるのだ。



「明日は図書館へと向かいます。私はイルマーニについて調べますが、アルス様はどういたしますか?」


「付いて行っても良いですか?」


「了解しました。では、明日朝一で向かいましょう。私は宿主に、図書館の開く時間を聞いて来ますので、今の内に着替えを」



 そう言って、アリスは部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ