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モデル・ガンナー

苦しがり始める奴がいたら、人によっては気持ち悪いなってシーンがあるので、気持ち悪いものが苦手な方はそこだけ読み飛ばしていただけると幸いです。

 狼煙は上がった。

 これを合図に、レイも詠唱を開始する手筈だ。



「アリス、もう起きたかな…………」



 一言だけ、呟いた。

 昨晩泣きつかれたのか、アリスはレイの布団に抱きついて、むしり取って、自分の快適な空間を作って寝てしまった。


 今朝起こそうとはしたが何をしても起きないので、白の従者に起こすのを任せて出て来てしまった。


 一つ息を大きく吸って、頭の中を戦いへと切り替える。



「炎とは再生の( きざ)し。炎とは繁栄の証。炎とは希望の(とも )し」



 足元からふつふつと、炎が湧く。

 レイの近くに兵は寄らず、もし敵が近づいた場合には討伐ではなく守護する為に―――皆、盾を装備している。



(くら )がり暴くは我が( はて)御手( みて)! 聖火( せいか)百景( ひゃっけい)獄炎(ごくえん )―――千の伊吹( いぶき)()いては身を焦がし、(れん )の合間に静閉ざす!」



 足元の炎は次第に大きくなり、レイの体に纏うように燃え上がる。

 そのあまりの熱気にレイの体は宙へと浮き上がり、輝かしいその様は太陽の如く。



(さい )は投じられた―――我が身投じ、熱筋(ねっすじ )を導こう!」



 右腕を天へと(かざ)す。

 腕の炎が天に登る太陽へと伸びる様に、巨大な炎の塊を作り出す。

 まるで小さな、二つ目の太陽の様に。


 眩く輝き、大地を焼き、炎を見る魔物の目を焼き、世を焼いた。


 しかし今度は、レイは焼けない。


 前回の使用は戦争の魔力切れ直前。

 いわばガス欠寸前に、無闇矢鱈(むやみやたら)に吐き出した絞りカスだったのだ。


 しかし今は―――本日一度目の魔法行使であるからして魔力は満タンであり、更には魔力回路に魔導王のものまで混じっていると来た。

 自分を焼かない炎の操作など、火力を増やしながら片手間で充分だ。


 熱気の混じった息を吐いて、腕をゆっくりと振り下ろしながらレイは言った。



「超級魔法――――――天天羅蘇(アマテラス )!」



 瞬間―――レイの手から、小さな太陽は放たれた。


 炎の尾を引きながら伸びてゆき、飛んでゆき、地面に激突した瞬間、一瞬にして爆炎と変わった。


 爆風で身に纏う炎を揺らしながらも、再度腕を天へと(かざ)して、二撃目の準備をする。


 天天羅蘇(アマテラス )とは、炎を放つ魔法ではなく、炎を放つ、魔力のタンクへとなる魔法だ。



(ことごと)く――――――何度見ても、いい気分にはならないな」



 魔物とて、命はある。

 敵として戦って殺したとして、悪い気はしない。

 しかし―――上空から一方的に、蹂躙して、逃げ惑う敵に追撃を仕掛ける。


 この行為に快感は決して湧かず、勝利とは呼ばず始末と呼び、作業として熟し、淡々と行い。

 気が滅入ってしまうのだ。


 だからこそ――――――。



「――――――!」



 だからこそ、抵抗し、反撃してくる者には、気が高揚するのだ。



「ドラゴン!」



 新たに用意した小さな太陽へと正体不明の、アリスのレーザーに似た攻撃を放ち破壊したドラゴンへと向かい、レイは新たに用意した太陽を二つ放った。


 咆哮か、砲口か、ドラゴンの発する太いレーザーの様な攻撃を宙を舞う様に回避しながら、新たに太陽を作り出し、放ち続ける。



「ダメだな―――この魔法を使うと、楽しくなる」



 互いに攻撃を撃ち合う。

 ドラゴンの攻撃はレイのいる上空へと放たれるので、地上に対する被害は無い。



獄炎球( ごくえんきゅう)―――|後光六道輪連華《 ごこうろくどうりんれんか》!」



 レイの背後に後光の様な輪と、線で結んで六角形の位置に小さな太陽が六つ。

 その内二つがレイの手元へと移動して、剣と盾になる。


 そして意を決して、ドラゴンも元へと飛んだ。


 ドラゴンの攻撃を盾で防ぎ、流し、盾が欠損すれば新たな炎で再生する。



「この程度、なんとそのッ!」



 少し大きな攻撃を防ぎ、それを放ったドラゴンにほんの僅かな隙ができた瞬間、レイが斬り掛かった。



「これで――――――あっ、油断した」



 ドラゴンの尾の一振りを受けて、レイは軽々と弾き飛ばされた。


 今までドラゴンが使っていたのは、単純な口からの砲撃のみ。

 手も足も尾も、何一つ使っていなかったのだ。



「あー嫌だ! 痛ったい! クソ、辞めたい」



 剣での防御がギリギリ間に合ったのと、ドラゴンの懐に入り込んでいたことから尾に勢いがあまりついていなかった事の二点があり、重傷は免れた。

 また、地面に激突する前には、森の木の枝がクッションとなって、衝撃が大分吸収された。


 しかし―――地面に胸を強く激突させたので呼吸が苦しく、視界もハッキリとしない。

 なんとも言えぬ吐き気も沸いており、これは即座に直せそうだと判断。

 喉に指を突っ込み、無理やり吐き気の元を絞り出した。


 全て吐き出したから呼吸も少し楽になり、酸素をいち早く取り込んでから、改めて大きく深呼吸する。



「よしっ、ぶっ殺す」



 普段使わない様な荒々しい言葉で無理にでも士気を上げてから、剣と盾を球へと直して、背後の円へと戻す。


 レイの激突でへし折れた木に座ったら、握り拳から人差し指と親指のみを立てて、それでドラゴンへと狙いを定める。


 六つ円に習って並ぶ炎の球から細い筋が生えて、ドラゴンに向かい先端を作る様に複雑な模様を作り出す。



「六道―――モデル・ガンナー」



 背後の球六つが、模様となった細い筋を通って先端に集い、一つの(かたまり)となった。


 それを更に引き絞り、細く、硬く、鋭く、もはや炎ではなく、必勝の弾丸へと作り替えた。



「――――――っばん」



 呟くと同時、放たれる。


 弾丸は火の粉を散らしながら進み、ドラゴンの頭に侵入して、停止した。


 爪先程度の小さな弾丸がドラゴンの脳内に侵入したとて、本来ならば何ら影響を及ばさない。

 しかし、これは炎の弾丸。


 脳を熱し、煮詰め、沸騰させて、着弾後六秒で、ドラゴンを死に至らしめた。



「もうダメだ…………ガス欠」



 ドラゴンの巨体が倒れるのを視認してから、レイも同じ様に倒れ、意識を失った。

PV1000を突破しました!

ありがとうございます!

これからも、よろしくお願いしますm(_ _)m

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