運命の人
少し短いです。
すいません。
「あの…………本当にこんな格好で…………」
「問題ありません。王が、貴方の身格好で気を悪くする事など、あり得はしないのです」
レイとアリスは、あの後、訳も分からないまま街へ連れられ、貴族街へ連れられ、王城へと連れられた。
半場無理矢理、王との面会をさせられるのだ。
緊張から来る胃の痛みに耐えながら、煌びやかな道を進む。
廊下というには広すぎて、もはや部屋と部屋を繋ぐ部屋である。
部屋の最奥にある扉を開くと、そこには厳かな空間が広がっていた。
真っ赤なカーペットの一本道と、玉座に座る初老の男。
レイはこの男の名を知っている。
世界最高の魔術師と呼ばれ、魔導王の名を冠する男。
――――――アルブレヒト・フリード。
「――――――ッ」
思わず身震いをする。
纏う雰囲気が並ではない。
そんな男が今、ゆっくりと玉座より立ち上がる。
レイは緊張に拳を固めた。
アルブレヒトは玉座を高くするためと作られた階段をゆっくりと降りて、レイの元へと近づく。
レイの緊張は最高潮に達して、今にでも逃げ出したい。
アリスは、今の時代の王はこの様なのだなとだけ考えていた。
アルブレヒトがレイに手の届く距離まで近づいた途端、不思議な事が起きた。
突然レイに向かい―――跪いたのだ。
「なっ! えっ―――え!?」
思わず、言葉にならない声が漏れる。
この衝撃は、数分前にも味わった。
しかし、今度は相手が違う。
「お会いしとうございました、神よ」
「神っ?! 俺は人です!」
突然のアルブレヒトの言葉に衝撃のあまり、レイは叫ぶ。
そして、俺は人ですなどと、当然の台詞を吐いた。
「戦場にて猛々しく燃え盛る炎を纏い、全てを灰燼に帰す姿、遠目ながら確かに拝見致しました。貴方様こそ、我らが魔術師の神であるのです」
「違います! 俺は魔術師の人だから、神じゃないんです! てゆうか、何で見てたんですか!」
「我等メルヘイルは、あの戦にて弱ったレイング王国に攻め込もうなどと浅ましいるひ企みをしておりました」
「な、なんと…………」
「今はその様な考え、毛頭ございません! 寧ろ、交友関係を築き、戦後の復興に尽力させていただいております」
「知ってます…………」
当時、戦後のレイング王国はいつ別国に攻め込まれてもおかしくない程に弱っていた。
それにも関わらず、今完全に景気を回復させているのは、この男、魔導王アルブレヒト・フリードの鶴の一声があったからである。
突然世界に向けて―――レイングに牙を向ける者は、我が国が総力を賭して全滅すると宣言したのだ。
「それもこれも、貴方様のあの魔法を見てからというもの。幸か不幸か、貴方様がいらした今、この国は未曾有危機に瀕しております。どうか、かの姿にて我々をお救いください!」
その声は、玉座の間全体へと響き渡った。
「俺、無理ですよ…………あの戦争で負傷して、前の様な威力が出なくなったんです。出て二割―――二つの魔法の兼用でなんとかやっていますが、この国が危機に瀕する程の問題となると、協力どころか足手まといになります」
それを聞いたアルブレヒトの表情は、絶望に染まっていた。
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マリッサム、庶民の居住スペースには一人、有能な医者が居る。
十七歳のうら若き乙女でありながら一人で病院を切り盛りして、近所の者から多大な信頼を得ている。
彼女の名はアルス・モイノ―――時には貴族や王族の診療もする、世界指折りの医者である。
そんな彼女の元に、至急の用事だと魔導王からの遣いが来た。
急いで城へと向かうと、アルスは出会ってしまった。
十七という思春期真っ盛りの彼女にはお似合いの、運命の人に。
「や…………やばいです」
王と自分と客が居る王城の診療室で、アルスは呟いた。
運命の人を見つけてしまった衝撃に、ついポロッと。
すらっとしたスレンダーな体つきに、手に収まる程度の慎ましやかな胸部装甲。
細く長い指と、無駄の無い、完璧な黄金比の顔に、全身色白どころか、髪の毛は真っ白と来た。
一目惚れ。
アルスはアリスに、一目惚れしてしまったのだ。
「王の御前、突然の失礼をお許しいただきたい。もし良ければ、貴方の名を、教えていただきたい!」
突然アルスは、頭を下げて、右手を差し出して、アリスに言った。
アリスは、国一の医者だという事前紹介から突然飛び出したアルスに少し困惑しながらも、差し出された手を握り、応える。
「―――私はリーン・アリスワールド。アリスとお呼びください、アルスさま」
次の瞬間、アルスは気絶した。
運命と、呟きながら。
この国の人達濃いよ




