表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/107

良質なドッキリ

二章、開始です!

 王都ガルレナを出て半月で国境を抜けて、次の目的の国、メルヘイルの領土へと入った。

 メルヘイルとガルレナは友好国なので、検問はすぐに終わった。


 ここからメルヘイルの都市までは更に半月行く事となるが―――ここまでの旅路では、途中どこの村や街にも寄ることなく順調にやって来ることが出来たので、少し安心している。


 途中の道で戦闘などがなかったことから、国境を抜けて十日ほど、何のハプニングも無く旅する事が出来た。



「ここらで少し休憩しようか」


「ええ―――丁度良い頃合いですね、マスター」



 正午近くなり、昼食と馬を休める為に少しの休憩。

 馬車を下りて、馬を木に結んだらアリスが仕舞っていた乾草を出して、馬に食べさせる。


 川の音が聞こえたので、行って水を汲んで、馬に飲ませた。



 レイ達は持って来た薪に火に魔法で着火して焚き火を作り、そこで軽い昼食を作る。


 それを食べていると、少し遠くの森の中から、自然では不自然な音が聞こえた。


 本来森で聞くことの少ない、不規則な足音。

 苦痛に喘ぐ様な呼吸と、それに混じる嗚咽音。


 嗚咽の際に漏れる声を聞くに、明らかに少女の声だった。



「――――――アリス!」


「はい、マスター!」



 聞こえて、脳内で情報が纏まると同時に、レイは駆け出した。


 途中の道で甘味を買った商人から聞いた。

 ここいらでは魔物、魔獣が多く出ると。


 もし森に迷い込んで、襲われている子供が居るとすれば、少しの遅れが命取りとなる。



「居たっ!」



 狼の魔獣から逃げる少女を発見次第、その下へと転移、少女に噛みつこうとする狼の口に剣を突き刺して、片手で少女の目を押さえた。

 少女の年齢は見るからに未だ一桁。

 喉に剣が突き刺さって、ぽこぽこと血を吐く狼は、あまり精神衛生上よろしく無い。



「大丈夫、もう大丈夫だよ―――ゆっくり深呼吸して、落ち着けるかな?」



 優しく声をかけると、少女は頷く。

 吸って、吐いて―――肩を揺らしてしていた呼吸が、少しずつ落ち着いてゆくのを見て安心。

 辺りに別の魔獣が居ないことを確認してから、目隠しにしていた手を外して、少女の前へと回る。



「もう大丈夫だよ、怪我はして無いかい?」


「うん…………」


「そっか、よかった。あっちに俺の仲間のお姉さんが居るから、何があったか教えてくれるかな?」



 尋ねると、少女は小さく頷いた。

 我ながら誘拐犯の様だと思いながらも、少女をアリスの元に。


 アリスが女性の風貌だからか、少女の表情が少し安心した様に見えた。



「お母さんがね、迷子になったらこれを見せなさいって」



 少女がレイに見せたのは、一枚の紙。

 そこには住所と、少女の名前―――リュズ・アルニャードと書いてあった。



「マスター、マリッサムというと…………」


「ああ、俺達が目指してる街だ!」



 魔法史上国家メルヘイルの最大都市、マリッサム。

 この世界で魔法の頂を目指すものは、皆ここに集まるのだ。



「ここからマリッサムまでとなると、馬車でも五日はかかります。この子の足ならば、更に果てしない」


「あのね、怖い顔のおじさんがね、お外に遊び連れて行ってくれるって言ったの。でもお家に帰りたいって言ってもダメって言うからね、馬さんから逃げちゃったの」



 少女、リュズは自ら、アリスの疑問へと答えた。

 そして、レイは嫌な顔をした。


 これは間違いなく、誘拐だ。


 別の街へと売り捌くためか、魔法、或いは呪術的な儀式に使う為か。

 どちらにしろ、たちが悪い。




 ●●●●●●




 急いで、少しでも早くリュズを親元に返してやろうと急いだ。

 その結果、本来五日かかる道のりを三日で辿り着いたのだ。


 街の入り口ではリュズの母親がリュズを探しており、即座に無事再開を果たした。




「アリス、どうした?」


「えっ、その……」



 リュズとその母親を、ずっと見つめているアリスに声をかけた。

 すると、アリスは少し驚いた様な表情を見せた。



「親というものは…………凄いのだなと。娘が居なくなれば、日が過ぎようと諦めずに探し周り、見つけた際にはあれ程の感動を露わにして」


「そっか――――――」



 レイは思い出した。

 最近は初めて会った時よりも人間味が増したから忘れかけていたが、アリスは古代兵器。

 人ではなく機械であり、戦いに使われる兵器だったのだ。


 人の親の温もりというものを、知らないのだと。


 そんな事を考えていると、レイ達は門番の兵に声をかけられた。


 門の外から来て、街に入る列に並ぶわけでもない。

 怪しまれてしまった。



「失礼ですが、身分証などは…………」


「俺達レイングから来たんですけど、そこので良ければ」


「はい、レイングの国、ギルド発行の物ならば我が国でも使用可能です」


「なら、これですね」



 言って、カードを見せた。

 アリスの物も提示して、兵が見比べていると、門の側に居る兵と謎のアイコンタクトをとり、それから何故か、わらわらと兵が集まって、身分証を確認するのだ。



「貴方が、レイ・イグニス様で間違いないですね?」



 集まった兵の中でも、一段と大きな体で、豪華な鎧を纏った男が言った。

 レイが頷くと、ざわざわと騒いでいた兵達が一斉に静まり返り、只事ではない雰囲気を発する。


 男は兜を脱いで素顔を露にし、片膝をつくという最高級の儀礼の体制を取る。


 何が起きているのか理解出来ないレイとアリスを置き去りにする様に、男は言った。



「レイ・イグニス様―――我らメルヘイルの者等一同、貴方様をお待ちしておりましたッ!」

一般通過誘拐ロリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ