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八百年の呪い

すみません! 書くのに必死で、投稿を忘れておりました!

 草原を一人進んで行く。

 この道を通る為に、仲間達が敵を食い止めている。


 ならば、止まることは決して許されず―――一片の油断もあってはならない。



「思っていたより、早かったねえ」


「いや、遅くなった」



 最奥に、座すアステラと、その背後に立つロムニス。

 その表情は心無しか、どこか嬉しそうだ。


 レイは剣に魔力を通して炎を纏わせる。

 剣の炎はそれを握る右腕を通して肩まで伸びた。



 もはな、挫折も断念も許されない。

 ただ一つ許されているのは、勝利のみだ。



「僕は、この世を地獄にしたいだけなんだ。それには君は、邪魔なんだ」


「地獄…………理由によっては、見逃してやらない事もない」


「傲慢だねえ」



 アステラは見せつけるように、ヴァイオレットから奪った魔法で黄金の槍を作り出す。



「じゃあ、語って聞かせよう。可哀想な可哀想な、目の渇きそうな話を」




 ●●●●●●




 ある日、ただのゲーム付きの少年が、拉致された。

 街を超え、県を越え、国を越え、世界を超え。


 まるで別の、異世界まで。


 異世界は日夜戦争状態の、地獄であった―――道を歩けば人が死に、足を止めれば人が死に。


 少年が人の死になれるまでそう時間はかからず、誰に教えられるでもなく、自らの身を守る手段を身につけた。


 それが魔法である。

 世界同士の間を移動する際吸収した、世界と世界の間に溜まる魔力の八割を存分に振るい、使用した魔法の数は両の手の指では足りず。


 それもその筈だ―――何せ、少年が最初に身につけた魔法は、魔法の創造であったのだから。


 創造する魔法にはいくつも制限があったものの、他人の魔法を奪う魔法や、自身の怪我が全て一瞬で治癒する魔法など、様々な魔法は一つ一つが強力で、この世界での少年の立場を確固たる物と至らしめた。


 人類間の戦争は、少年の振るう力によって僅か七日で終結。

 わずか短期間で、歴史上初の天下統一が成された。



 少年はそれらの王となる為に、今までの名を捨て、この世界に馴染みやすいような、自分が好んでやっていたゲームのキャラクター名、アステラという名を自らに授けた。



 アステラはリーンや影法師、その他大勢の配下を従え、世界の技術を発展させた。


 病気などに対する意識改善、食事に対する栄養面の見直しや、世界中のインフラ整備などなど。


 漫画などに憧れて作ってしまった物を除けば、武器以外の技術を次々と進化させていった。



 自分が一人でこの世界を発展させるのは簡単だが、やり過ぎはこの世界に良くないと世界規模の暗示を掛けた。

 それは、自身が関わらない技術の進歩が、通常の千分の一となるという物。

 自身の絶命と同時にそれが解けるようにと、強力は暗示を掛けてしまったのだ。


 そのおかげと言うべきか、せいと言うべきか、現在でも世界の生活水準は千年前とそう変わらない。

 それは千年前の住民であるアリスが、すぐにこの時代の生活に適応出来たことで明らかだろう。



 アステラの世界王政は順調を極めた。

 人類の進化を目障りと思ったのか突如として現れたドラゴンとの戦いの最中でもそれは変わらず、アステラ自ら戦場に立ち、世界の団結をより強固な物と仕上げた。


 しかし、それを良く思わない者がいたものまた事実。


 それはアステラが現れる前の各国の王であり、その者らは神竜の骨で五つの槍を作り出し、存分に油断し切ったアステラを貫いた。


 再生の魔法を警戒して、槍は抜かずにアステラを地中深くに埋める。

 アステラは激怒したが、再生と同時に槍によって絶命するを繰り返し、八百年間死に続ける事となった。


 その八百年は、アステラの憎悪を育てるに充分であった。

 世界を育てたにも関わらず、己を裏切った王達を、それらを慕う民を憎み呪った。


 少しずつ槍が劣化して、竜王の骨が地中に溶けた頃、その怒りは解き放たれた。



 神竜の骨を長年体内にとどめ、概念的な神へと至ったアステラは、その無限にある寿命を使い存分に準備を。

 仲間を集め、作り、昔は敵であったドラゴン、魔物を従えた。


 そして誓う―――己の味わった八百年分の地獄を、世界にも分けてやろうと。


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