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知らなくていいこともある


 ラブエターナル〜あなたは誰を選びますか?〜


 それは乙女ゲームである。


 声優に人気アイドルグループを起用したこともあり、アイドルのファンからまず人気が増え、乙女ゲーム初心者向けであったことも奏功し、社会現象を起こした。


 主に人気アイドルグループのファン層である中学生、高校生あたりに爆発して人気が出て、人気アイドルグループの歌もそのゲーム限定で聴けるという隠しトラックもあったり、初回限定版は握手できるチケットが入っていた。


 まず主人公はミリー・スノー(イメージカラーゴールド)

名前を変更することも可能。

 彼女が学園に入学したことから物語は始まる。


 卒業までに人気アイドルグループ(4人グループ)がそれぞれ声を当てた攻略対象と仲良くなることを目指す。


 ・ラインハルト第一王子ルート(イメージカラーピンク)

→クローディア(イメージカラーシルバー)


 ・セオドア第二王子ルート(イメージカラーグリーン)

→クローディア


 ・オリヴァー・トンプソンルート(イメージカラーレッド)

→シャルロッテ(イメージカラーブロンズ)


 ・ジャスティン・ターナールート(イメージカラーブルー)

→シャルロッテ


 メンバーそれぞれにイメージカラーを持っており、更に彼らに寄せたビジュアルで作られているのでファンは疑似恋愛を楽しめるというファンのためのゲームてあると言っても過言ではない。


 悪役令嬢は二人おり、主人公は金、クローディアは銀、シャルロッテは銅のイメージカラーがある。


 ラインハルト、セオドアを選ぶとクローディアが、オリヴァーとジャスティンを選ぶとシャルロッテが出てくる。


 4人全員と仲良くなれた場合は、

 ・キース・フローレス

 ・宮廷魔導師マイロ

 が隠しキャラとして出てくる。




※※※




 「ミリーさん。まず、あなたはゲームのことをほとんどご存知ないようなので、私がわかる範囲でお話します」

 クローディア様は、私の目をしっかり見て口を開いた。


 クローディア様のいつものいい匂いがする。


 私はこの匂いが、キースの匂いに次いで好きだ。


 久しぶりにクローディア様の匂いにつつまれて、なんとなく安心してしまう。


 私は実は、その前に話された「お友達」というフレーズに感激しちゃってたのだけど、クローディア様の真剣な眼差しに身を正した。


 私は回復しているのか、少し長いこと座っていても大丈夫になってきた。


 驚くことに、クローディア様は、前世でそのアイドルグループと仕事上でも、プライベートでも親しい間柄にあり、そのゲームの彼ら4人と、隠しキャラである、キースとマイロの衣装デザインを考えたという。


 ゲームはプレイしておらず、仕事上で衣装を作る際にいただいた設定のみしかご存知ないようだが、キャラクターは把握している、らしい。


 すごい人だったんだ……クローディア様。


 もしかしてTVでみたことのある、とても可愛いと人気だったジェンダーレス男子って、前世のクローディア様だったのかも。


 そういえばその人気アイドルグループのリーダーと、いい雰囲気で週刊誌に取られていたけれど。


 たしか、リーダーはメイン攻略者のお声をあてられていたような? メイン攻略者はおそらく、ラインハルト様ではないかと推測される。


 「攻略者の婚約者になっているはずのシャルロッテ様が、どちらの婚約者にもなっておりません。おそらく、ミリーさんが、認識阻害魔法をかけられたことにより、シャルロッテ様の立場が変わったのか? もしくは、シャルロッテ様にも前世の記憶があるのか? 私はシャルロッテ様がかなり怪しいと踏んでいます」

 クローディア様、私のために調べてくださったんだ……。


 嬉しくなって、

「クローディア様。ありがとうございます!」

 って私は頭を下げた。


 「ミリーさん、ね、クローディア、って呼んでもらえません? 私もミリーって呼んでもよろしいですか?」

 クローディア様がようやくいつもの優しい顔になった。


 「クローディア。ありがとうございます」

 お言葉に甘えて。

 私はニマニマしてしまう。


 「お互い、敬語もなしでいい? ミリー。私ずっと本当は、ミリーと友達になりたかった。ライバルになるかもと知りつつ、つい声をかけてしまってたの。ラインハルトは譲る気なかったんだけど」

 ニコっと笑うクローディア。こんなクローディアも、可愛い。

 クローディアの本音、とっても嬉しい。


 「クローディア。本当にありがとう。王太子様はクローディアしか見てないと思うけど。キースも対象者なのね。私それにビックリ……」

 私、全員と仲良くなっていないのに、キースルートに入れたってことなのかな?


 というか、もう一人のマイロて誰?


 「私、ゲームの詳しい内容知らなかったのがよかったのかな。どんなイベントが起きて、どんな風になるって知ってたらきっと怖かったと思う。私にとって、この世界は、ゲームの中、ではなくてやっぱり現実だから……」

 怖いものみたさで知りたくもあるけど、きっと知らなくてよいことはある。


 知らなかったことに、感謝すら覚えるくらいだ。


 「クローディアは知ってたからきっと私より怖かったよね。大変だったよね……」

 1人で抱えてたクローディアの気持ちを思うと悲しくなってしまう。

 きっと一人で頑張っていたよね。


 「ミリー。大丈夫。私もこうなってしまって、なぜ衣装まで考えたのに、あのゲームをやらなかったのかと思うこともあったんだけど。本当に衣装のために必要なキャラクター設定くらいしかしらないの。内容を知っていたら、とても怖かったと思う。一人で抱えられなかったかも」

 そう言いながら、クローディアはハッとした。


 私も彼女の思ったことがわかる。


 「「シャルロッテ様は、ゲームをしていた?」」

 2人の声が重なる。


 シャルロッテ様がゲームの内容を知って1人で抱えてたとしたら、それはとても怖かったのではないだろうか。


 ゲームの進行内容によっては、シャルロッテ様が不利な状況に陥ることがあったのかもしれない。


 私が万が一邪魔しないように、シャルロッテ様が、私に認識阻害魔法をかけたとしたら?


 長い間座ってたからか、少し貧血みたいな感じになる。

 フウフウしてると、


 「ミリー、大丈夫? 顔色がすごく悪くなってるわよ。病み上がりに長居してしまってごめんなさいね。そろそろ帰るわね。こちらでももう少し調べてみる。あなたは無理をしないで早く元気になって!」

 そう言って颯爽と帰っていかれた。


 去り際も潔くて素敵だ。


 クローディアと、仲良くなれて嬉しい。


 早く元気になって学生生活をさらにエンジョイしたい。


 もういよいよ体を起こしているのが辛くなってきたので、私は体を横にする。


 エイミーがクローディア様が帰られたのをお見送りしてから、

 (クローディアの護衛さんたちとエイミーは外に控えてもらってた)

 室内まで戻ってきえくれたので、彼女に水差しで水を飲ませてもらう。


 そういえば全然ご飯食べてないけど、食べる気にもならない。

 こちらには点滴みたいなのはないんだろうか?


 明日サーム先生が来られたら早く元気になるために食事はどうしたらいいか聞こう。


 ……早く元気にならねば。


クローディアちゃん、前世すごい人でした!

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