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憧れの社内恋愛がしたい


 私は目を覚ました。


 どうやら、また2日ほど眠ってしまったようだ。


 そういえば、よく考えたら、全然お風呂にはいっていないが、私は臭くない。

寝ていたので髪の毛はぐしゃぐしゃだが、頭もベタベタしない。


 ベタベタしてたら、キースに抱きしめられたとき、臭いばっかり気にしてただろう。


 エイミーに聞くと、

 「魔導医師様が清浄魔法をかけていらっしゃいましたよ。湯浴みはかなり、体力を消耗されるからともう少し回復するまで通ってきてくださるとおっしゃってました」

 

 なにそれ、めっちゃいい!

 私が前世で入院したとき、お風呂全然入れなかったんだよね。


 エイミーがぐしゃぐしゃになってしまった髪の毛を整えてくれる。


 新しい寝巻きに着替えてスッキリする。

 ワンピースのような寝巻きで、いわゆるルームウェアみたいでなかなか可愛い。


 この寝巻き、なんとキースのお母様のフローレス夫人がプレゼントしてくれたんだとか。

 普通に、ベッドから出て過ごしたいのだが、ベッドに座ってるだけでもしんどくなってくるし、お手洗いもエイミーが付き添ってくれないとまだいけない。


 ヨボヨボって感じだ。


 なので、人が来てくれたときにも恥ずかしくない可愛いルームウェアでいられることは、なんだか嬉しくもあった。


 フローレス夫人、本当にセンスいいんだよね。

 さすがキースのお母様だわ。


 しかし魔導医師様、毎日通ってくださるとはなんとありがたいことか。


 魔導医師様は、渋めの雰囲気は纏っているが、かなりお若い男性である。


 お若い男性に世話をされていると思ったら気恥ずかしいが、彼の腕の良さで、キースのお父様のフローレス侯爵が直々に頼んで下さったようだ。ありがたい。


 緑がかった黒髪に、青い目もとても美しい。


 ザ、魔術師、ってイメージ。


 魔導医師様はダークな白衣をきている。いや、ダークなんだから白衣じゃないよね。黒衣?


 トントン、とドアをノックされ、魔導医師様がいらっしゃった。


 「訪問診療にきました」


 やはりイケメンさんだなぁ……。


 医者の診察とも似た感じで診察が行われる。


 「またさらに回復されてますね。もう少しベッドの上で起きていられる時間が増えると思います」

 ニッコリ笑われる。


 「しかし、正直何回ももうダメだと思いましたよ。生きていられて本当によかったですね。ご家族も本当に辛そうで見ていられませんでした。あまり無理をなさらないよう、早く回復して、そして調べさせてもらえると私も嬉しいです」

 なんておっしゃる。


 相当早く調べたいようだ。


 「もうお調べできるなら、すぐにでも協力いたしますが」

 と私がいうと、


 「いや、検査がかなり長時間に及ぶのでまださすがに体が耐えられないと思います。あなたのご家族やフローレス侯爵家に睨まれたくありませんので」

 なんてシレっという。


 「そういえば医師様、お名前お伺いしてもよろしいですか?」

 「私の名前ですか?」ビックリされる。

 「ええ、こんなに良くしてくださるのに、医師様ってなんだか失礼な気がしまして。きちんとお名前をお呼びしたいのです」


 「私の名前はサームです。よろしくお願いします」

 サーム先生は柔らかく微笑まれた。


 「こちらこそ、サーム先生。よろしくお願いいたします」

 私も笑った。


 「そういえば、認識阻害魔法なんですが、私自身も同世代の方たちのこと、数人を除いてきちんと認識できなかったんです。認識できた人と、認識できなかった人ってどういう違いがあるんでしょうか」


 サーム先生は、

 「……なるほど」とお話してくれた。


 どうやら、王宮で働く方たちは、認識阻害魔法に耐えれる訓練をするらしい。

 相当な使い手のものはともかく普通にかけられたもの程度なら簡単に破れるそうだ。


 なので、王宮で宰相見習いとして働き出したキースに、お妃候補のクローディア様、王太子様のピンク君は、はなからお互い認識阻害魔法がかけられていないような状況になっていた、ということだった。


 王宮、なんか凄い。私も王宮で働きたい!


 学園に戻ったら、将来王宮で働けるよう、進路を先生に相談しよう。

 クローディア様やピンク君の元で、働けて、なおかつキースもいる。


 これぞまさに憧れの社内恋愛。


 「では今日も清浄魔法をかけて終わりにしましょう。目を瞑ってください」


 不思議な感覚。すごくあったかくてきもちいい。

 「終わりましたよ」


 目を開けるとかなり自分が綺麗になったのがわかる。

 もし、キースが今日来てくれたとしたら、フローレス夫人にいただいたこのワンピースで、綺麗な状態で会えるな、と少し嬉しい。


 サーム先生と入れ違いにクローディア様がいらっしゃった。


 「ミリーさん、ご無事で安心しました。危ないとお聞きして心配していました」

 少し涙ぐまれて、色気すら感じる。

 美しさがとどまることを知らない。


 そのあと、クローディア様は私をぎゅっと抱きしめられ、

 「ミリーさんがご無事で、本当によかった…」

 と何度もおっしゃってくれた。


 そして、落ち着いたクローディア様が、

 「では、私のお友達をこんなにした犯人についてお話したいと思うのですが……」


 クローディア様は、悪役令嬢みたいに、すごい怖い顔をして言った。

ピンク君、

認識阻害魔法に対抗できたはずなのですが、いつも一緒にいるクローディアが可愛くて可愛くてお互い目に入らなかったという逸話があります。


クローディアとラインハルトのお話もかきたいな。

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