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シャルロッテ参上!

私は、よく知らない男子生徒に腕を掴まれている。


「可愛いね本当人形みたいだなんでこの僕が今まで気づかなかったんだろう」

ニヤニヤブツブツ呟いているのも怖い。


見た目ヒョロっとしてるのに腕を全然引き剥がすことができない。

怖い、怖い。もう怖いしか、ない。


校舎の壁まで追いやられて、

背中を壁に押しつけられる。

ザラザラした壁に乱雑に打ち付けられたので、

制服のブラウス越しに肌が擦りむく。

「……痛い。やめてください!」

必死で抵抗する。


「ふ、ファイヤー!」

大した威力もない火魔法だが、魔法もつかってみる。


「相殺」

ニヤニヤしながら言う。


「ミリーさんはあんまり魔法が得意じゃないみたいだね?残念だけどいとも簡単に相殺できるよ」

彼は魔法が得意みたいだ。


もう、ダメかもしれない……。


そう思った時、

「テーイ!」

というちょっと、間抜けだけど、

可愛い声が聞こえたと同時に、私の両腕を掴んだ男子生徒の頭に蹴りが入った。


そのまま少女は華麗に着地し、

「ミリー!あんた何やってんの!」

と言った。

そう、シャルロッテが回し蹴りを決めてくれたのだった。


「シャルロッテー!会いたかったよー」

まだ恐怖で、足がもつれそうになるが、

どうにかシャルロッテの後ろに隠れる。


頭を蹴られたはずだが、

すぐ起きあがった男子生徒が怒った顔で、

「何してくれてるんだ!」と言いながらこっちへ向かってくる。


いや、こっちが何してくれてるんだ、だからね!


と思いつつ、大ピンチ?


と思ったら、余裕の顔をしたシャルロッテの体が、

めっちゃ光ったと思ったら、

男子生徒をかなりの衝撃で吹き飛ばした。


キラーン。

本当にそんな効果音が聞こえたかと思うほど、

綺麗にどこかへ消えていった。


「ミリー、もう大丈夫よ」

シャルロッテがツインテールを揺らして可愛くこっちへ振り向いた。


きゅん!きゅんです!


可愛い格好いい!!!

惚れます姉さん!


「シャルロッテめっちゃ格好いい!なにそれ!どうしたのー!回し蹴りも格好良かったー本当ありがとう!」


「まぁ、いいってことよ」

シャルロッテが照れながら男前に答える。


しかし、シャルロッテって全体的に能力が高いなー。

身軽だし、魔法力も強いときた。


毎回問いたい、特筆したところが特段ない、

私は本当にヒロインなんでしょうか?


いや、そんなことはいいだろう、

私はシャルロッテに会いたかったのだ。


「シャルロッテ!会いたかった」

私は細く小柄なその肩を抱きしめる。


「会わない間、大丈夫だった?」

「ミリーがフォローしてくれたんでしょ?私はお陰でなんの罰も受けずに、しかも父の爵位の話もなくならずに済んだの。色々や人が動いてくれたって聞いたわ。ありがとう。

両親にもすごく怒られちゃった」

そういうシャルロッテは嬉しそうだ。


「よかった……悪いようにならなかったのね。ずっと心配してて」嬉しくなる。

「あ、サーム先生に話してくれたんでしょ?私今サーム先生の元で勉強してるの!」

そう言い、シャルロッテは私をキラキラ見る。


サーム先生には、護身術(さっきの回し蹴りとか)から魔法のきちんとした使い方も基礎から教え込まれ、楽しい日々を過ごしてるそうだ。


「ミリーにお礼を言おうと思って探しまくってたのに会えなかったの。見つけられてよかった。あなたなにしてたの?」


「いや、シャルロッテに会いたくてずっと探してたんだけど?」


2人して笑ってしまう。

お互い探し合ってたらしい。

そりゃ会えないはずだ。


しかし護身術か。

身を守る護身術くらいは私も覚えてた方が良さそうだ。


「ミリー、なんか可愛さが増してない?そりゃあの男子も襲いたくなるわ」

シャルロッテが珍しく褒めてくれる。


「シャルロッテの方がめっちゃ可愛いけど。私男なら今絶対恋してたわ」

さっきのは本当に可愛くて格好良かった。


両ツインテールを両手の甲で払い、

「まぁね!シャルロッテ様だからね!」

ニコニコキラキラ言う。


あーシャルロッテ可愛い。


心配したシャルロッテが私を魔法陣まで送ってくれる。

「サーム先生によろしくね!」っていうと、

「うん!このまま王城のサーム先生のところへ馬車で行くから言っておくね!」

にっこりして、ツインテールをゆらゆらして去っていった。


あぁ、好きだなぁ。


※※※


帰って、

エイミーに背中の擦り傷に手当てをしてもらって、

コーヒーをいただいてたら、

「ミリー!大丈夫だったか?」


どこから聞きつけたのかキースがやってきた。


エイミーが、キースの分もコーヒーを淹れてくれる。


「大丈夫。シャルロッテさんが助けてくれたの」

「同級生じゃないのが悔やまれるよ。そしたらずっとついててあげるのにね?」

「えっいいよいいよ!その気持ちだけで十分!あ、そうだ、私、護身術教えてほしいの……今日自分の弱さに正直がっかりだったの」

たしかキースは宰相候補とはいえ、格闘術も教え込まれていたはず。

狙われることがおおいもんね。


「あ、そうだミリー。ようやくできたんだ」


キースが、前世の私の憧れを知ってるかのように、

パカっと例の箱を開けてくれる。


前回いただいていたのより数段立派な婚約の指輪が光っていた。

真ん中の目が眩むかと思うほどの光を放った宝石に、

魔法石を細かくあしらったデザインであった。


「かなりヴァネッサにわがままいって、すごい丁寧に仕上げてもらったんだ」


「か、可愛い……嬉しい!」

「これはお守りにもなるからずっとつけておいてね」


キースが優しく抱きしめてくれ、

優しく唇を重ねてくれた。

舌がまた入ってくるかなと少し期待してしまったその時、


「あ、ミリーその腕」

気づかれてしまったか。

先程男子生徒に掴まれていた部分が、

真っ赤な跡がついていた。


当分とれそうもないとのことで、

もう暑いのに半袖ではなく当面長袖を着ないといけないと思うとげんなりする。


「可哀想に……これは然るべき対応をしないといけないようだね」


「キース大丈夫よ。これから私護身術も習って強くなるから」

これからも通うのだから、キースに心配かけたくない。


そのあと怒ったキースとキースの両親と、私の両親が結託して彼を退学に追い込んだ、らしい。


というのは私がシャルロッテから聞いて、

キースや両親は頑なに隠していたからだ。

過保護すぎやしないかな?


シャルロッテに、

「やりすぎじゃない?」というと、

「いや完全に性犯罪でしょ」と至極もっともな意見をいただくことになった。


そして、

私はキースにもらった指輪をネックレスにしてもらい、

いつも肌身離さず身につけている。


とても守られているようで安心する。


例の事件の話を、噂にきいた他の学生たちは恐怖でなのか?

もう動物園の動物を見るように見られることはなくなった。


おかげで。私は平凡に学園生活を謳歌できている。


そして、私は課題に追われたまま、

ようやく夏休みに入ったのだった。

シャルロッテさんおっとこまえです!

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