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お姫様抱っこは反則です

私は崖から滑り落ちた。


できれば落ちても怪我なく、

せめて軽症でと、

結構ずうずうしく神に祈りつつ、

私はくるはずの衝撃に身構えた。


その時、

「ミリー!ようやく見つけた!」と、

大好きなキースの声が聞こえたような気がした。


会いたいと思っていたので、

幻聴かな?と思う。


万が一これが最期だったら、

幻聴でもキースの声を聞けたのは嬉しいなぁ。

そう思った途端とても暖かいなにかに抱きしめられたような感覚に陥る。


あぁ、コレもしかしたら神の御加護かも。

ここ神社みたいな空気してるし。

痛くないようにしてくれてるのかも。

と神に感謝していたら。


「……ミリー!ミリー!大丈夫か?」

すっごい近くからキースの声が聞こえる。


「あれ?私おちてない?」

私はおそるおそる目を開けると、

キースの整った顔が、

すっごい至近距離にあった。


だ、ダメ……。これは反則です!

見る見るうちに自分の顔がほてってくるのを感じる。


しかも私、お、お姫様抱っことやらをしていただいてるではないですか!

憧れのキースに。

本当にダメ……コレは反則だ。


「キ、キース。どうして?」

相当照れてるのを誤魔化しながら

(真っ赤になってるので全然ごまかせてないのはわかってるけども!)

平静を装って、聞いた。(全然装えてなかった)


「ミリーが寝ていたベッドから目を離した隙にいなくなってしまって、屋敷中でみんなで慌てて探し回っていたら、急にシャルロッテ嬢が泣きながら現れてね。サラマンドラの森にミリーがいるんだ、何者かに連れ去られたんだって大泣きするんだ。半信半疑だったけど、いなくなってるのは本当だし、駆り出せた男手は、みんな今ここで、ミリーを探してるよ。でも、俺がミリーを一番に見つけられて、よかった……」


キースが私の服をチラチラ見やる。


私の着ている服はもともと着ていた、

例のキースのお母様にいただいた、

ルームウェアだ。

ワンピース型になっている。


しかも、小枝にひっかかったりして、

あちらこちらが破けていて、

特に太もものあたりと、胸の上が大きく破れていた。

自分でも胸元を見てみたら、ワォ、だった。

ミリーいいもん持ってるね!


いやしかし狙ったかのように……。なぜなのだ。

これがゲームのヒロインの力なのかしら。


あぁ、でも、私は悲しくなってしまう。

「キースのお母様にいただいたお洋服……ごめんなさい」

せっかくわざわざいただいたものなのに。こんなにボロボロにしてしまって、どう謝ろうか。


「大丈夫、また俺が母に頼んでおくから。無事だったんだからいいんだよ」

とキースの優しい緑色の瞳が柔らかく笑う。


そういってもらえたらとても安心する。

私、キースが、とても好きだなぁ。


しかし、体調が万全でなかったあの時は気づかなかったけど、際どいところが破れてるのに加えて、

この服、清純そうにみえて、

すごく体の線を拾って、

結構、エッチじゃない?


前世の幼児体型では気にせずそのままコンビニにでもいけそうな可愛いルームウェアだが、

ヒロインであるためか、そこそこいい感じに出るところは出て、引っ込んでるところは引っ込んだ体型を持つミリーなら、自分ながら想像に難くない。


ちょっと、キース以外の殿方には私が見せたくない。

キースはいいけど!


あ、そういえばなのだけど、

裸足だったはずなのだが、妖精の王様の計らいか、

すごく森を歩きやすいブーツを履かせてくれていた。


たくさん歩いても、痛くなかった。

優しい王様だ。


ふと、真っ暗だったのが、明るくなっていることに気づく。


「キース、そういえば光ってるね……」

私は呟く。


「ライトの魔法使ってるからね」キースが平然という。


キースのミルクティーブロンドの髪色が、ライトの魔法でキラキラ光って、

お姫様抱っこされている私はともかく、

キースは、本当にずっと夢見てた王子様みたいだ。


いや、王子様とかダメかな?

アラフォーでも、

やっぱり、夢見るよね?


「あーライトか!私もライト使えばよかった……」


私もライトの魔法は使えたのに、

なぜ思いつかなかったんだろう。


いや、本当はわかっている。

お腹が空いてるからだ。


私お腹が空いたら本当に頭が働かないのよね。


キースが自分の羽織っていたジャケットを私の肩にかけてくれる。

「これでちゃんと隠して」

私ははいと頷いて、ジャケットの肩を通しボタンを全部閉めた。


ブカブカなのに、まだギリギリ太ももの破れは見えてしまう。しかし、胸元はコレで隠れたから良しとしよう。


「しかしミリー、いつも敬語なのにね」とキースが私をお姫様抱っこしたままいう。


あ、本当だ。

シャルロッテにつられたかも。


「あ、本当だ。キース、ごめんなさい」そう謝る。


「ううん、そっちがいいって思ってた。

敬語、他人行儀みたいだから、二人きりのときはそのままにしてて」

なんていう。


いいのかな……。

でも、なんか嬉しいかも。

あ、でもキースのご両親の前では、きちんとしますからね!


私はお腹が空いてたはずなんだけど、

なんだか胸がいっぱいになってきて空腹感を忘れてしまう。


嬉しい気持ちで、胸がいっぱいだ。


さっきまでお腹がすいて泣いてた私なのだけど、

嬉しさにどんどん涙が溢れてきた。


「キース。迎えにきてくれてありがとう」


私のためにキースが迎えにきてくれるなんて思わなかったんだ。


私のために駆り出されたみなさんにも、

絶対いっぱいお礼言おう。


でも、今はキースが来てくれたことが一番嬉しいなんて、

悪い気持ちになっちゃう自分を許してほしい。


私、感極まったんだと思う。


お姫様だっこに慣れてない私は、

どこに捕まったらいいのかわからず、

胸の前でお祈りみたいにして組んでいた手を、

たまらずキースの肩の方に回して、キースの耳の横で、

「キース、大好き」って囁いた。


初めて言ったかもしれない。

でも、今、とても言いたかった。


あなたの婚約者になれて、本当によかった。


キースの耳が真っ赤になって、

「ミリーそれ反則」って言ったような気がした。


そしてそのまま、キースの顔がさらに近づいてきて。

キースがする、男の子の顔が愛しくて。


私たちは深くキスを交わしたのだった。

キースがようやく助けに来てくれました。

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