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キースに見せたい


 先程長く座っていた疲れで、また熱が上がってしまったようで、もう横になっているのに、体の関節の痛みと、吐き気や怠さに耐えきれず、グッタリしてしまう。


 いや、コレしんどい。

 前世からずっと健康体で生きてきてたから、こういうの私耐えられない。


 健康の、ありがたさを知れてよかったと思うべきか。


 本を持つのもしんどくて、寝てるだけだし、スマホがあればなーなんて思う。

 いや、画面見るのもしんどいかな。


 目を閉じて痛みや吐き気を、逃す。


 ヨガの呼吸って鼻から吸って口から出すんだよね。

 それで出産の痛みを逃せたって優子ちゃん言ってた。


 エイミーがキースを伴ってやってきた。

 我慢しても痛みで声が出ることがあって、なんか聞かれたくなくて、横についてくれるというエイミーに外に出ていてもらっていたのだ。

 「キース様がいらっしゃいましたよ」

 とエイミーが言う。


 キースが、せっかくきてくれたのに辛すぎて、無理やり笑顔をつくった。


 体を、起こそうとするもうまくいかない。

 身をよじってクッションを掴んで無理やり体を起こす。


 キースが、慌てて、

「ミリー! 無理に起きなくていいから寝てて!」

 と抱き寄せてくれて横にしてくれた。


 「ありがとうございます……なんか今日長いこと座れるようになったから……調子乗っちゃったみたいで……」

 なんだか、心配かけたくはないんだけどこうやって抱き寄せてもらえるのは嬉しい。


 でもめっちゃハァハァしちゃうんだけど。

 私変態みたい。

 しんどいからなんだけど、めっちゃ恥ずかしい!


 とはいえ、キースのいい匂いが近くにあって、癒されるような気がする。


 多少は痩せたと思うけどまだまだゴッツイはずの私を軽々と寝かせてくれるってキース力があるなぁ。


 私は、抱きしめてもらったまま、キースの肩に腕を回して、

 「キース……会いたかった……」

 とハァハァしながら言ってしまう。


 やってしまってから、あーちょっと恋人面しすぎちゃったかも、とヒヤヒヤしたが、キースが真っ赤になっていたので大丈夫だったかもしれない。


 キースって成長してからは格好良いところしか見てなかったけど、こういう可愛いところも残ってるんだな。

 私に可愛いキースを見せてくれて嬉しい。


 「ミリー……」

 とキースがまた男の子の顔をして、唇を重ねてくれた。


 と思ったら、キースの舌が口に入ってくれて、口内をかきまわすように動いてくる。


 「……んっ」

 変な声がでちゃう。


 キースやっぱり男性だった。

 というか、キース、チュウがめっちゃうまくない? さっきまで可愛いとか思ってしまったのを返してほしい。


 ようやくキースが唇を離してくれた。


 「ミリー、口の中、すごく熱いんだけど……今日無理したよな、何かあった?」

 キースが、怒ったような顔で言う。


 「あの……今日はサーム先生の診察と……クローディア様が来てくれて……」

 と私が言うと、


 「ラインハルト様は来てない?」

 と私をまっすぐ見て言った。


 「王太子様は……きてない……でっっ」

 と言う前にまた唇を塞がれて、舌が入ってくる。


 なんか今日キース変なんだけど。


 ようやくまた唇を離してくれたのだけどめっちゃ照れてしまう。


 恥ずかしがっていると、


 「ミリー、絶対他の男と会わないでね」

 と男の子の顔をして私に言った。


 男の子の顔、前世でみたことあるんだけどめっちゃ怖かったのを思い出す。


 少しいい雰囲気になってた男の子がその顔をしてめっちゃ怖くなって逃げた。

 アラフォーなのにね。


 でも、キースは全然怖くない。

 キースの男の子の顔で見つめられたら、ドキドキしちゃうけど。


 そういえば、サーム先生男の人だけど毎日会うけどいいかな、と思う。

 でもいいよね。清浄魔法かけてもらわないとキースに絶対会えない。

 ちょっと、クローディアと会っただけでこうなっちゃうので、当面お風呂も入れそうにないし。

 

 私、きっとこう言ってもらえるってことは、少なくとも、キースに嫌われてはないってことだよね?


 自覚してなんだか気恥ずかしい気持ちになった。


 「あ!キース。これフローレス夫人にいただいたルームウェアなんです……。可愛くて嬉しくて……。お礼いっておいていただけませんか?あと……可愛いからキースに見てもらいたかったんです……」

 もう私喋るたびに自分ハァハァうるさくて恥ずかしい。


 「なんかハァハァしてて恥ずかしい……」

 つい言ってしまう。

 変態じゃないので、と言い訳したい気持ちなのだ。


 「熱が高いんだからしょうがないよ。その服、すごく似合ってると思ってた。母の選んだ物だったのか。伝えておくね」

 キスが終わってからも優しく抱きしめてくれながら、キースが言う。


 私はもう上回るドキドキのおかげで、吐き気や痛みを誤魔化すことができたのだった。


 「明日休みもらったから朝から来るよ。昨日もきたけどずっと寝てて……大丈夫かと心配だった。今日も辛そうだけど起きていてくれてほっとした」

 キースが優しい顔で言ってくれる。


 キースの優しい顔、本当好きだな。


 それにキースにルームウェア、見せることができてすごく嬉しい。

 ずっと寝ててぼろぼろだから、少しでも可愛い自分を見てもらいたい。


 「ちょっと認識阻害魔法の犯人について進展があったんだけど、今日はあまりに辛そうだから明日話そう。本当に早く元気になってね。そうそう、ようやく書類が申請されて、

正式に婚約が結ばれたんだ。どうか、これからもよろしく、ミリー」


 帰る時間までキースがずっと抱きしめてくれた。

 横になるよりずっと楽で、幸せな心地だった。


 しかし、キースが帰ってから、あまりのドキドキで、

さらに高熱が出てしまい、慌てた両親にサーム先生が呼ばれてしまった。


 サーム先生は他の男に会わないでのカウントに入らないよね?

 と私は朦朧とした頭で思ったのだった。

エイミーはいつもキースが来るとシレっと抜けてくれます。

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