木葉くん
紅葉ちゃんが想像以上に暴走した
僕の名前は咲馬木葉。
現役高校生だ。
目立つところもあまりない。
強いて言えば運が良いぐらいだが。
僕は昨日二度も死にかけている。
一度目は車に轢かれそうになって。
二度目は鉄柱が落ちてきた。
流石に偶然だろうと思っていた。
けど僕は今、鎌持った女性に襲われてます
タスケテ。
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夏休みが始まった。
課題を終わらせてから遊んだほうがいいことは知っているし分かっている。
しかし学生の本能なのか、そんなことはできない。
少なくとも最初の一週間は遊びたい。
「だからさ紅葉、離してくんない?」
「………ヤダ」
確かに離したくない気持ちは分からなくない。
この夏の間両親とは仕事の都合でほとんど会わない。
寂しい気持ちもわかる。
さらに昨日の出来事もある。
仕方がないことだ。
だが、
「トイレに行くことぐらい別に良いでしょ」
そう。トイレにすら行かしてくれないのだ。
過保護。超過保護。
「………お兄、私と一緒に入ってくれるなら別にいい。………けどお兄嫌がる」
「そりゃそうだろ。最愛の妹であるお前とて流石にトイレと風呂に一緒に入るのはアウトだろ」
「………私は気にしない。むしろ嬉しい」
……………。
いつからこの子はブラコンになったんだ?
しかしながらむしろ嬉しい、とくるか。
流石にそれは度し難い。
風呂ならまだ一応分からなくない。
だがトイレ?
はっ、理解できんな(※個人の意見です)。
しかしながらこのままでは膠着状態だ。
仕方がない妥協するしかないか。
「紅葉よ。僕は流石に妹に見られながら用をたす気はさらさらない」
「………私、気にしないよ」
「少なくともお兄は気にする。しかしながら妹よ。引く気はないんだな」
「………ないよ」
「なら仕方がない。僕が用をたしている間ドアの前で待ってるにしてくれ。流石にそれが限界だ」
「………それよりもオムツ付けた方がいいと思う」
「………妹よ。お前に膝の上に乗られて動けない状態でそれを言うか…」
「………言う、ごめん間違えた。言った」
「可愛らしい奴め。しかしながらどう履けというのだ、この状態で」
「………お兄がこの状態で私が下着まで脱がせて、どうにかしてオムツを履かせる」
「そうかそうか、僕はこのまま動かずに妹に下半身全裸になれと」
「………いえす」
「嫌に決まってんだろ。考えればわかるだろ。というかオムツあんの?」
「………ない」
「計画そのものの基盤からダメじゃねぇか」
「………駅前の薬局で買えばいい」
「どうやって?どこぞの怠惰な司教でも流石にそこまで腕伸ばせないと思うよ」
「………モブを使う」
「パシリにされてるよ…」
『ピーンポーン』
「………お兄、誰か来た」
「んぁ、ああ。俺が出るよ」
「………ごめん」
「いいってことよ」
誰か来ると素直にどいてくれる。
俺なんかには勿体ないほど出来た妹だなんだ
ちなみに謝ったのはいつものことだ。
紅葉は中3という割には背が低すぎて未だに遊園地で身長制限に引っ掛かることがあるくらい低い。
ついでに言えば体力もないから、重い荷物だった場合に備えて僕が行く決まりになってる。
本人曰く不本意らしいが。
ドアを開けてみるとそこにいたのは身長がそこそこ高く綺麗な黒い髪を腰辺りまで伸ばした女性だった。
しかしどこか儚く目を晒してしまったらすぐに忘れてしまいそうだ。
そして妙にでかいものと両手で持てるぐらいのダンボールの箱を持っている。
「えぇっと、どちら様で?」
「少し用があってこちらのほうに来た者でして、『オムツ』がどうちゃらこうちゃら言っていたので良ければ、と思いまして」
まさか外に聞こえてたとは。
恥ずかしい。
というか
「なんでオムツがあるんですか?」
「…祖父が使用してた者で、余ってしまった物を何処かに寄付しようかなと思ってたんで」
「そうなんですか。けど結構です」
「あらそうなんですか。じゃあ妹さんかなぁ。もう1人の方にに聞いてみます?」
「声でそこまで分かります?」
「分かりますよ、意外と」
「そんなもんですかねぇ。あと結構です」
「………お兄、呼んだ?」
読んでもないのに紅葉が来た。
エスパーか、エスパーなのか?
「あらあら可愛らしい妹さんですこと」
バタッ
黒髪のお姉さんがそう言った途端、お姉さんは目の前から消え去って何が倒れる音がした。
振り返ってみるとお姉さんにお姫様抱っこされた状態の紅葉がいた。
「ちょっ、何してるんですか!?」
「『冥府神の配下たる私が命ずる。この場を他者の目から切り離し、彼の者に死練を与えたまえ』」
お姉さんがそう言った途端大きい方のダンボールから黒い煙のようなものが吹き出して僕を飲み込んだ。
なかなか上手く書けないもんですね。