夢の物語
プロローグ 「夢の世界」
僕は夢を見ていた。
夏の学校。
ある教室で僕1人で窓の外を眺めていた。部活をして汗だくの生徒
。花に水を上げている委員。バイトに行く生徒。普通に帰宅する生徒。
でもあるものが無かった。
それは、
「音」
が無かった。
部活の掛け声。蝉の声。空の声。
無音の世界。
音がないというものは嫌なもんだ。
思ったことがあるだろうか、音がない世界。
歩いた時の足音や心臓の音などが聞こえないということ。
音というのは物が動き、こすれ、また、ぶつかって出る空気の震えが耳に届いて聞こえるもの。
耳の聞こえない人はこうゆう事になるんだと体験していた。
自分は音のない世界は嫌だ。
生きている実感がない、耳に聞こえるもの。聴覚に対する刺激がないのは不便だ。
だがこの夢が覚めればいつもの生活に戻れる。
部活の掛け声も蝉の声も空の音も全部聞こえるようになる。
でも覚めるのがいつなのかは自分には分からない。
分からない以上ただ無音の世界で待つだけで、退屈の時間でもある。
もう外は暗くなっていき夕日が出てきた。遅く帰ると母親が心配するので早めに帰らなければ。でも夢だからあまり関係がない。
そろそろ帰ろうとした時、一瞬にして世界が変わってしまった。
ある公園でベンチに座っていた。
その公園には花が一面に咲いておりとても綺麗だった。
なぜ世界が変わったか、簡単な話である。
ここは夢の中、世界が変わる事など当たり前のこと。
夢は、眠っている間に、種々の物事を見聞きすると感ずる現象であり、現実にない事象の感覚を起こすことである。
当然自分が物事を見聞きし感じたら世界が変わる。
僕は早めに夢が覚めてほしいと思っていた時ある人が急に現れた。
ある人は、花一面のど真ん中で立っていて、何かをしていた。
この世界では音が聞こえた為分かりやすかった。
ある人は歌を歌っていた。
僕にはとても心に染み渡る歌だった。
この歌はどこかで聞いたことがある。
いつの頃だっただろうか、とても懐かしく感じた。
この歌の正体を聞くためにある人の方へ走っていった。
その時ある人はこっちに振り向きこう言った。
「やっと会えたね。この日をずっと待ってよ、たっちゃん」
そう言って世界が壊れていく。
ある人の顔はハッキリと見えず確認することが出来なかった。
世界は段々と壊れていき黒く染まっていく。
夢は終わり新たな1日が始まる。
さぁ、夢を現実に。