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恋愛短編集

恋からの卒業

作者: 雛葉

3月。

私は、中学校を卒業します__。


出会いは中2の時。

君と同じクラス、同じ班になって、気付けば皆で一緒にいるようになった。

初めて皆で遊んだのは2月だったね。

その頃はまだ意識すらしてなくて。

今思うと、恋は突然すぎる。


3年生になったある日。

私は、友達にある噂を聞いた。

〝あの人が、私のこと好きらしい〟

初めて知ったとき、信じられなくて、でもドキドキして。

噂だから気にしなければいいって自分に言い聞かせて。

それなのに、単純な私は気付けば目で追ってしまっていた。


帰り道は反対方向だし、皆で遊んでも話さないし。

もし、その噂を聞くことがなければ、きっとこんな思いをする事も無かったんだろう。


受験。

私は好きだという思いに気付かないふりをしながら、受験を迎えた。

勉強しなきゃいけないのに、君のことを考えちゃって。

〝もし噂が本当なら、受験が終わったあとに付き合えるかな?〟

そんな事考えて妄想したりして。


現実はそんなに甘くはなかった。

卒業式の日、私はもやもやした思いで卒業証書を受け取った。

卒業なんて実感がなくて、明日から皆に会うことがなくなるなんて受け入れられなくて。

友達と、大好きな君と、写真を撮ったよね。

その時から今まで、ずっと君のことが忘れられない。

連絡先すら知らないし、噂から始まった恋だったから、本当の恋じゃなかったのかな?って思った時もあったよ。

でも、こんなに苦しくて、自分から気持ちを伝えたい、振られちゃってもいいから好きって言いたい、っていう気持ちは初めてなの。


今はもう、伝える手段はないけど…

もし、好きって伝えたら、好きって言ってくれた?

2人で出かけたり、たくさん話したり、楽しい思い出を作れた?

高校離れちゃうね。それがこんなに不安なのは私だけ?


高校に入ったら、君に好きな人が出来て、その人と仲良くなって、私の知らない人になっちゃうの?


君ともっと話せばよかった。

あの時話しかけてくれた君。

優しいけど、それを隠そうとしてわざと冷たい言葉をかけてくる君。

部活に一生懸命な君。

全校の前で堂々と話す君。

わたしに、向けてくれた笑顔。


後悔しない方法なんて、無いのかもしれない。

告白しないで後悔するなら、して後悔した方が良かったのかもしれない。


もし、もしまた会えたら。

その時は逃げてばっかりだった私から卒業して、話しかけてみせるから。

聞きたかったことも、逃げずに聞いてみせるから。


だから、もう一度君に会いたい。

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