神父②
「こ、こちらこそ、初めまして」
差し伸べられた手を握りしめ、握手を交わす。
グローブ越しに伝わる感触は骨の様に固くはなく、人の手の感触そのものだ。
それではあの顔はなんなんだ?
素顔を隠したいから、骸骨のマスクでも被っているののだろうか。
「神父、それよりも由美の事です。昨夜から由美の様子がおかしいのです」
「あぁ、見せてくれ」
2人は教会へ向かって歩みを進める。
俺もまたそれに着いていく。
★
「これなんですが」
シエナは神父に白い石を渡す。
すると骸骨男もとい神父はそれをいぶかしげに覗き込む。
「それは俺の持っていた石か?」
あの石は初めてシエナに出会った時に何故か握り締めてたものだ
だが、おかしい。
揺らめいていた白い炎が弱々しく揺らめいている。
「竜也、お前は由美に何をした?」
静かに確かな敵意を持ちながら俺に神父は問いかける。
「何をしたって何も覚えてないんだ、ただ、気づいたらそれを握っていた」
ふむ」と神父は何か釈然としないまま相槌をうった。
黙って俺と石を交互に見ている。
「竜也、これを持て」
神父は俺に石を手渡す
手の中にある石は鈍く光りながら今にも消えようとしている。
だが、ぼっと音を立てそうなぐらい急に炎が大きくなった。
「うわっ」と思わず声があがる
「神父!これは……」
シエナが神父にあわてて問いかける。
「竜也!なんであんたが私を持ってるのよ!」
石から元気な由美の声が響き渡る。
「由美、大丈夫ですか?」
シエナは心配そうに石に語りかける。
「大丈夫じゃないわよ、段々、視界が暗くなって意識が消えかけて死ぬかと思ったわ。
あっ、神父!お帰りになられたんですか!?」
「うむ」と神父は石を覗き込む
「やはりな、これは竜也とリンクしている」
えっ?どういうことだ?
この石と俺がリンク?繋がっているということか?
「シエナ、竜也から由美が離れて何日目だ?」
「え、えぇと、三日目です」
シエルも意味が分からず困惑しているようだ。
「この炎は由美の魂だ。これを維持するには竜也が必要なのだろう。
そばから離せばリンクが切れ、期限が立つと由美は死ぬ」
おそらく、その期限は三日だろうと神父は語る。
つまり、俺はこの石を持ち続けなければならないのか?
「えぇ!嫌よ、そんなの!」
由美は全力で拒否をする。
<俺だって嫌だわ!>と心の中でツッこむ
「なんとか元に戻せないのですか?」
シエルも由美が心配で、すがるように問いかける。
確かに、このままにしとくわけにもいかない。
「不可能だ、由美の魂を入れる肉体を作り出さなければならない」
「それに」と神父が続ける。
「魂の操作は禁忌中の禁忌、これがある事そのものがありえないのだ」
「つまり、俺にこれを一生持ち続けろと?」
「いや、そうではない」
「?」
「お前がそれを作ったのなら、なおす術も身につけれるはずだ」
「つまり?」
「明日からお前を鍛錬する」




