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授業①

言われた通りに支度を済ませて礼拝堂に向かう

シエナが凛として立っていた

「すまない、待たせたかな?」

「いいえ、思ったより早かったですね」

女の子を待たせるのも悪いと思ったので、ささっと洗顔を終わらしたのだ。

寝癖とかもっとちゃんと直しとけばよかったな


「そちらにお掛けになってください」

シエナの正面にある用意されていた椅子に座る

「自己紹介はもう済ませてましたね。

 それでは、率直に言うと貴方は業使いになりました。昨夜の件を思い出してください。

 自分の身体に異変が起きてたはずです。その異変が貴方の業の能力です」

異変といえば、あの鎧の事だろうか。

昔見た変身ヒーロー物を思い出す。

あれを出すときはなんか掛け声とか必要だったりするのだろうか。

「異変って……あの鎧が俺の業なのか」

「そうです。それで一応確認しときますが貴方の家は業使いの家系なのですか?」

「いいや、業なんていう能力なんか聞いた事もなかった」

「貴方は由美に会う前に何か変な事が起きなかったですか?」

起きた事?

仕事が終わって家に帰ろうとしてて――あぁ、あの事か

「あぁ、角の生えた目が七つある大きな動物に出会ったんだ。

 あれも君たちと関係してるのか?」

「羊にあったんですか!?」

急にシエナが大きな声を出す。

そんな大げさな事なのか、確かに珍しい動物だったのは確かだが

業なんて異能を使う連中なら大した事ないんじゃないか

「いや、あれは羊って感じの動物じゃなかったと思うんだけど」

「いえ、角の生やした目が七つある動物は羊しかありえません」

「なんなんだよ、その羊って」

「羊はこの世界の天秤、普通は見ることも触れることも出来ない獣の名です。

 それが姿を現した時、世界に天災が訪れると言われています」

「俺、普通に見れたんだけど……」

「それが異常なのです。羊は何を思ってあなたを純粋種としたのか……」

純粋種って由美も言っていた。

業使いは代々その能力を受け継いでいく血統種。

超自然的に業を発現した者が純粋種だったか。


俺の状況ってやっぱり相当やばいんじゃないんだろうか。

由美の言った通り、身体いじくり回されて標本にされるのか?

「なぁ、俺ってこれからどうなるんだ?」

「やっぱり、神父が来るまでは保護を……」

「俺ってこのままじゃ、結構やばいの?」

「この事はやはり、彼らの耳に入れない様にしなければ――」

おーい、シエナさん?一人で考えるのは結構ですが俺の話を聞いてくれませんかね?

「なぁ、シエナ!」

「はい!」

ちょっと強めに名を言ってみるとシエナがビクっと跳ねる。

ようやく、こっちの世界に戻ってきてくれた。

「俺ってこれからどうなるんだ?純粋種ってのは特別なんだろ?

 やっぱり、実験台か何かされるのか?」

「い、いえ!そんな事誰から聞いたんですか?この神谷教会にいる限り、非人道的な行為はありえません」

「由美って子がそんな事言っていたぞ。

 そもそも教団ってのはなんだ?昨日の人達は塔とか名乗ってたけど」

「あの子はもう……教団は表向きには信仰や布教を行ってますが

 業使い、それに関係する物を管理・保護する機関です。

 塔は業使いを統制し教育をする組織です」

そんな組織があったのか。

この二つの組織に俺は狙われたわけか。

訳も分からず追いかけられて、殺されかけている。

俺が彼らを拒絶した所で彼らが諦めるはずはない。

「ただ、この教会では人命の保護を最優先にしています。

 あなたが純粋種であろうと業使いである以上、あなたの権利は私が保護します」

「そう言ってもらえると助かる。そもそも業ってのはなんなんだ?」

「業については私もよく知りません。

 ただ業とは神が与えた奇跡、真理の欠片、心の具現化など様々な事が言われていますが

 全て証拠が失く憶測に過ぎません。確かにわかる事は人智を超越した異能って事は確かです」

なんとも大層な響きだ。あの羊は俺にそんな力を宿したのか。

それにしても、業を使ったって実感があまりにも希薄だ。

「業っていうのは使うと記憶がとぶものなのか?」

「いいえ、あなたのあの姿は業が暴走した状態にありました」

「暴走?」

「そうです。ですからしばらくは業の使用を禁止します。

 貴方はまだ未熟、純粋種は魔獣にはならないだけでなれないというわけではありませんので」

まぁ、扱い慣れてない危険物をそう易々使わせてはくれないよな

ていうかなんだ、また聞きなれない単語が出てきたぞ

「魔獣ってのは業が暴走するとなるのか?」

「はい、一度魔獣になった者は二度と人間には戻れません。

 ですが、あなたは特別です。

 だからこそ、貴方には指導者が来るまで控えてもらいたいのです」

純粋種は魔獣にならないって言ってたっけ。

指導者っていうのはやはり昨日の金髪のアルバートの事かな?

「その指導者ってのは?」

「この教会の神父です」

教会の神父って事はここの管理者ってことか

シエナがこんな堅物って事はその神父とやらは厳格な人格者なんだろう


「わかったよ、俺の能力っていうのは鎧出したり、人間を石に変えてしまうものなのか?」


「それは……その」

急に困った様な顔をして考え込むシエナ。

なぜ、急に黙る必要があるのだろうか。

彼女は何を隠している?


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