私の日常
感情がないわけじゃない。
ただ、あまりそういのが好きではないだけ。
親友が恋してるのは言われなくても知ってるし、鈍いわけでもない。
そんなことをするくらいなら、美しい夜空を探したい。
それが夢なのかもしれない。
私は、平穏な日々が崩れないことを祈っているだけ。
もちろん、日々異常事態は起こる。けど、それは「常識的な範囲で考えられる異常事態」であって、決して、現実にあり得ないようなことではない。
そんな、私の願う平穏な日々には
恋愛をする
そんな項目は含まれない
あるだけ無駄だから。
「ふぁ……ぁぅ……」
朝。少し、風が強いような音がする。
小鳥の鳴き声は聞こえない。たまに聞こえる日もある。
「んぁ………ん…」
まだ寝てて良いと本能が告げる。
もう少し寝ていよう。
「…………ふあ〜あ……ん?」
なんだろう。何か危険な予感がする。
なんだろう?何かを忘れている気がする。
今日は何曜日?何日?何がある日?
…………
「…きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
奇跡的に出た女の子らしい声が絶望から出た声だなんて辛すぎる。
が。
今はそれどころではない。
時間。時間は?
「7:45…まだ、いけるっ」
かなり寝坊をしてしまった。
そう言えば、今日は親が出張に行っていてるから1週間は起こせないよと寝る前に言われたのに!
わかってるよとか言いながらアラーム何一つかけてない私アホなの!!?
ゆっくりなんてしてられない。
幸いにして、私は外見に気を使う方じゃないので髪の毛は適当に通すだけ。
顔を洗って、着替えて、持って行くものを最終チェック。
お弁当箱も入れた。
時間確認。
「7:53…持ってって向こうで食べるしかっ」
普段はあまり使わないのだけれど、今日はそんなこと言ってられない。
このまま歩いて学校まで行ったら確実に遅刻コースだ。走って行ってもそんな感じなのに。
仕方ない、自転車にしよう。
鍵持った。閉めた。ダッシュ!!!!
歩いている道には人がいない道を選んでいる。朝から、静かな時間を邪魔されるのが嫌だし。他の人が使っているような道を使えば40分で着くのだけれど、私はその道を使いたくないから、1時間半は歩いている。なんて無駄なことを、とは思う。最初の頃は嫌がっていたけれど最近はむしろ好きだ。
なんと言うか、この無駄な時間のおかげで、朝学校に着くと頭が目覚めている。
それに、無駄に早く起きれば、何かあったときに対処がしやすいしね。
なのに。なのに。
「遅刻だけは嫌だーーーー!!!!!!!」
なんでこんな全力疾走をして、叫んでいるんだろう。
今日、一つ学んだことがある。
アラームは絶対かける。自分は信じない方が良い。
「ま、間に合ったぁ………」
もう疲れた。無理。寝たい。今すぐ寝たい。
けど、あともう少しすればHRが始まっちゃう。仕方ない。今日はお昼に寝よう。うん。
「珍しいね、愛菜がギリギリに来るなんて」
「美結…おはよう」
「はよーん。今日、何かあったの?Gでも出た?」
「それならどんなに良かったことか…」
「違うんだね」
「親がどっちもいないの忘れててさ…アラームかけてないし、二度寝して起きたら遅刻しそうだった」
「ははぁ、なるほど。朝、信者達が悲しがってたよ。占いがーーーって、ね」
「残念ながら今日は臨時休業したい…」
「できると思ってる?」
「思ってない」
「がんばって。あ、そうだ、今日一緒に帰れる?」
「うん?良いけど、部活は?」
「……待ってもらっても良い?」
「………」
この子、完全に忘れてたな。
「……いーよ。どうせ、暇だしね。放課後も占いしてれば良いし」
「やったぁ!!あーりがとっ!」
「どーいたしまして。代わりに占い」
「やらない」
「早い!まだ何も言ってないのに!」
「言いたいこと目に見えてるし」
「ひっどいなぁ…」
っと、もう先生来てたのね。まあ、そろそろ時間だからか。
今日の日直は…良かった、私じゃない。
そこまで運がない日でもないのかな?
今日は、バタバタしてたから運勢占えてないからわからない。
「美結、日直ファイト」
「嘘でしょ!!?」
忘れてたんだ。言っといて良かった。
<キーンコーンカーンコーン>
チャイムが鳴る。朝、8:30を告げるチャイムが。
そして始まる。
私たちの一日が。
<キーンコーンカーンコーン>
「………つ、つかれたぁー!!!!!」
「お疲れ、美結」
「やっぱり、伊東先生おかしいよね!?なんで、毎回あたしにばっか集中攻撃するの!?宿題忘れて来るの、私はたまにしかないし!いつも忘れてる子だっていたのに!なんで、私が1人怒られてるの!?」
「落ち着いてよ、私は静かに昼食を頂きたいの」
「愛菜はよく疲れないね。先生とかも、愛菜をアテにして当ててるのいるし」
「問題ないわ。あんなの、簡単だし」
「それは愛菜が天才だからだよ〜」
「天才なんかじゃないわ。そもそも、天才になんてなりたくないもの」
「どーだかね〜。少なくとも、頭の良さは異常だと思うよ」
「勉強してればあれくらい簡単よ。私は、あんな事よりも分からないことがあるから、そっちの方が大事」
「何々!?恋でもしたの!!?」
は?何言ってるの?恋?
「恋ってこの世で最も不要なものと言っても過言ではないもののこと?」
「そんな言い方をされるのは生まれて初めてだけど、まあたぶんそれかな」
「恋なんて誰がするのよ」
「愛菜」
「本気で言ってる?」
「うん」
「なら、神経科にでも行ってきたら?以上よ、美結」
「なんでさ!!愛菜だって、少しぐらい恋しないの!?」
「二次元にならしているわ!!いいえ、あれを恋なんていう低俗なものと一緒にしてはいけない…そう、あれは愛よ!いいえ、こんなものじゃない。神よ!尊い存在なのよ!!全人類が、跪いて崇めるべき存在!それこそが、二次元の全てよ!」
「…………」
「どうかした?美結」
「……なんでもないよ?」
「そう?まあ、二次元の素晴らしさは後で語るとして」
「嘘っ」
「どした?」
「な、んでも、ない、よ?」
「?まあ、良いけど。そう言う美結にはないの?恋のお話」
「あたし?あたしはー」
「美結ー!木崎先輩呼んでるよー!」
「あ、はーい!ごめん、愛菜、ちょっと」
「わかった」
美結が走っていく。
木崎先輩とは、美結の部活の先輩。そして…
「今日の部活なんだけど……」
「あっはい……え?うふふ…」
「……ってなったから」
「わかりました!あの、先輩…」
美結の想い人。本人から話されたわけじゃないけれど、知っている。
これでも、人間観察とかは好きな方だから、よく見てるとわかりやすい。
美結は照れている時に、後ろで指を組む。
そして、今もそれをしている。
顔も少し赤い。少し走ったくらいじゃ、ああはならない(教室の端から端くらいだし)。
何より、いつもより言葉遣い少し丁寧になるし。
私は、そもそも恋なんてどうでも良い。
恋するくらいならどうして人間は本能が生きなければならないとしているのか、とかを自分で理解したら証明したいし。
そもそも、ときめきがないし。
私がときめくのは、二次元。
そして、月と星が美しく輝く夜。
この二つに勝るものがあるのなら、ぜひ知りたい。
ないに決まっているけれど。
そんな事を考えながら、お弁当に残っていた最後の人参を、口の中に運び、食べた。
まともな日常系を初めて書かせていただきます…!
至らぬ所が多くあると思いますが、温かい目で見守っていただければ幸いです。
これよりも前に投稿している作品は、事情によりもう一度作り直そうと思います。
作り直している間、この小説を楽しんでいただきたいと思います。