小龍包とお茶の屋台
「はふ、はふっ……ご主人様の小龍包美味しいにゃふ、はふ、はふっ」
「ふふふ、まだまだいっぱい作れるからね。遠慮なく食べていいよ」
「うにゃー!やったにゃー!」
尻尾フリフリ耳ぴくぴく、とっても嬉しそうなネルだけど私は残酷な現実を伝えなければならない。
「地上に出てからも食べられるか分からないし、ね」
「に゛ゃ!?」
私の言葉に、小龍包を咥えたまま飛び上がるネル。
瞳孔が縦に長いネコ目をまん丸に開いてプルプル震えている。
あ、小龍包落とした。
「そ、そんにゃー!ご主人様!小龍包を作る魔法の荷台を作るにゃ!それがいいにゃ!どこでも小龍包食べ放題にゃ!屋台も開けるにゃ!」
魔法の荷台、と言われてネルの居たゲームでホムンクルスを作れる職業はカートを改造してひいていたのを思い出す。
実をいうと地上に出てからの生計をどう立てるかいい案が思い浮かばなかったのだけれど、ネルのお陰で思いついた。
あ、落した小龍包きちんと落とさずキャッチしたね。
偉い偉い。
「うん。その機能の付いたカートを今のうちに作っちゃおう。それでね、ネル。カートに紅茶の茶葉を生み出す機能も付けるの」
「茶葉?お茶ですか?」
「うん。ポーションっていう割って飲む紅茶の製品が前の世界であったんだけど、そのつながりでね。この世界じゃポーションっていったらお薬だろうけど、私はポットショーって名前で桃のお茶を売ろうかなって」
「うにゃ、良く分からないけど良い案だと思うにゃ」
「そう?ふふ、どうやって暮らしていくかなんとなく決まっちゃったねぇ」
「にゃー。それよりも小龍包作成機能ですよ!私の小龍包!」
「はいはい。うーん。ウーロン茶を作る機能も付けた方が良いかな……?」
「いっその事どんなお茶でも作れる機能にしちゃえばいいにゃ。ピーチティーもレモンティーも思いのままで良いと思うです。むぐ」
「そっか、それもありだねぇ」
小龍包を食べながら意見してくれるネルのお陰で大体構想が固まってきた。
私はいろんなお茶を売るお茶っ葉屋さん兼、小龍包屋さん。
人の生死にかかわるような仕事はしない。
私は世界の核だから、故に穏やかに暮らすのだ。
私にはネルとの時間があればいい、と言いたいけれど。
たぶんそれは寂しいことだから、外界に出る。
でも優先順位は間違えない、間違えないのだ。
一番はネル。
ごろごろ頬っぺたを寄せて新しい小龍包をねだる可愛い子猫。
それだけは変わらない。
「ご主人様ー小龍包もちょっと欲しいです」
「じゃあもう少しだけね……せっかくだから小龍包を作るんじゃなくて、さっき言ったカートを作っちゃいましょうか」
「うにゃ!それいいですね!」
「うーん、原理とかは考えなくていい感じかな……アバウトにHBの鉛筆をぺきっと折れるくらい当然の心持で……」
念じているとぺかーという気の抜ける効果音と光と共にカートが現れる。
世界の根源という場所は凄いものだなぁと改めて思いながら、カート(というかこれは屋台では)に乗り込み小龍包が出てくるスイッチを押す。
「はい、小龍包。ついでにこれも。ウーロン茶ね」
「にゃにゃー!ご主人様は最高ですー!にゃっふー!」
屋台の台越しに猫がうちゅーっとするようにキスされる。
うふ、うふふ。
なんだか食べ物で釣ってるようだけど、こんな小さなことがとっても嬉しいわ。
ネル。
大好き。




