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温めのお風呂

 温い、でも晩春から初夏に向けて暑くなり始める朝にはそのくらいの方がゆっくりはいれていいかもしれない。

 私は贅沢にもネルの身体を水布団の替わりにしてもらっているのだ!

 ……まぁそれができるだけの体格差が私とネルの間にあるということなのだけど。


「うあー、ネルおっきいねー」

「そうですか?自分じゃわからにゃいです」

「だってこんな楽々湯船に入りながらとはいえ私の身体を全部乗せできるなんで、男の人と女の人くらいの体格差があるんじゃないかな?」

「そうですねぇ……特にここなんかは二回り位違うかも」


 そんなことを言いながらネルが私の胸を触ってくる。

 ぐぐぐ、良いもん。

 元から小さかったもん。

 若返ってちょっと萎んだだけだもん。


「く、悔しくなんかないですじょ」

「私は可愛くて好きですよ。ちっちゃい胸」


 そういってネルは肉球と毛皮に包まれた手でぽふんぽふんと私の慎ましいふくらみを宥める様にたたく。

 むぐー、悔しくないといった手前私にはなにもできない……。

 いや、太くてがっちりした前腕部をてしてしするくらいなら許されるだろう。

 えいえい。


「にゃー、ご主人様は可愛いですね?」

「そうかな?今だってネルのお胸に嫉妬して、ぺしぺししてる意地悪さんですよー」

「そうやって拗ねるのが可愛いにゃ」


 不意な耳元に吐息が掛かるような言葉。

 裸で触れ合っていて、そんなことをされれば背中がゾクリと総毛立つ。

 それは、決して嫌な感覚じゃなくて……。

 でも私はご主人様として威厳をみせなければならないのだ。


「そんなに可愛いならこの後髪を洗わせて進ぜよう」

「本当ですかにゃ?喜んでご奉仕させていただきます」


 必死に考えた反撃の一手はあらぬ方向に飛んだようで。

 胸に当てられていた手が浴槽に浮かぶ私の髪をなぞる様に動き始める。

 そして、ネルがちょっと申し訳なさそうな声色で言った。


「私の手、こんなだから巧くできるか分からないけど頑張りますです」

「あ、そうか。猫の手だもんね。でも大丈夫、優しくしてくれればきっと巧くいくよ」

「そうですかにゃー」

「そうだよ……ネルなら大丈夫。私信じてるから」


 そう、ネルなら私に悪いようにはしないって信じてる。

 あ、信頼が重いーとか言った!

 仕方ないでしょ、私の全部を賭けて貴女と一緒に居る事を選んだんだからね。

 ちょっとくらい重くても、持ち上げてよね?

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