表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

元気出していこう!

 ウトウトとした眠りから覚めると目の前には暗闇が広がっていた。

 頬にはちくちくとした毛並みの感触もあって、ああネルに抱っこされて寝ちゃったんだという事を思い出す。

 それにしても今何時なんだろう。

 密着しているネルの肌も見えないのは時間のせいなのか、密着具合のせいなのか……。


「ネル、ネル今何時?」


 私が問いかけるとすぐにネルに動きがあった。

 もぞもぞと私の背中に廻した腕を外すと私を胸元から解放してくれた。

 するとうっすらと外の明かりが視界に入ってきて、目の前に褐色の肌が見えてくる。


「しばらく前に六つの鐘がなったから朝六時くらいですね。大丈夫ですかにゃ?ご飯食べずに寝てしまったですが」

「ん……今はご飯よりお風呂入りたい……」


 そういえば今の季節は晩春で、そろそろ暑くなり始める季節。

 ネルに抱っこされて寝ると、その寝汗が気になるというか……。


「お風呂なら共同浴場が開くまで間がありますから朝ごはん食べてしまいましょう」

「あ、そういえばこの宿って食事つきだったっけ?全部ネルにやってもらっちゃったから覚えてない……」

「朝夕は出るみたいですから食堂にいきましょうか」

「え、お風呂無いの」

「何言ってるんですかご主人様。公衆浴場があるだけましな部類ですよ。この大陸で水は貴重なんです」

「もしかして……そのあたりも考えてこの街に出してくれた?」

「それは偶然ですけど。その様子だとご主人様ってお風呂大好きですかにゃ?」

「この位汗かくなら毎日入らないと気になる程度には……」

「ふにゃ、それは頑張って稼がないとですね。この国、今後の時代は解りませんけど今の時代はお風呂なんて三日に一回入れればいい方ですよ」

「そ、そんなぁ……」


 思わずへたりとネルの胸元に寄りかかってしまう。

 するとこう言っては何だけど結構な獣臭さが……。


「ねぇネル。これ言ったら貴女は傷つくかもしれないけど」

「なんですかご主人様」

「貴女獣!って匂いがするから頑張って毎日お風呂に入れるように……」

「獣、がどうしましたかにゃ?」

「ほぷっ」


 思いっきり頭を抱え込まれてネルの胸元に顔を押し付けられる。

 けものくさっ……けも……けも……うん……そんなに悪い匂いじゃないかも……。


「なんですかご主人様」


 解放された私はぼうっとしてしまって、なんでもない……と返すのが精いっぱいだったり。

 うん、ネルの香りって感じで悪くないかも。

 でも自分の臭いは気になるからお風呂には入れるように頑張らないとね。


「とりあえず、朝ごはん行こうか」

「そうですねご主人様。朝ごはん食べて、体のエンジン廻して今日も元気にいきましょう!」


 私を放してえいえいおーという具合に腕を振り上げるネルを見てると、本当に頑張らなきゃって気持ちになってくる。

 よーし、朝ごはん、食べるぞー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ