第45話 魔法の蒼と凛の意思
俺は昔の記憶を少し取り戻した。
ほんの異世界に来る前までは俺の記憶は確かなものだと思っていた。でも、今は記憶にはおかしな点がいくつかある。
その真実の記憶を取り戻すことで俺は少し力が溢れて来た。
もしかして俺の力は記憶と共に封印されていた?
「‘魔法の蒼’...この能力でお前を倒す!」
「冬...紗。その髪は?」
凛は冬紗の髪の色が少しだけ変わっていることに気づいた。
「俺は...昔は白色の髪の毛をしていた。でも、学校行くために黒染めにしたんだ。それをさせたのは...まだわからない。でも、少しずつ俺の記憶は戻って来ている」
「お前に何が出来るの?僕の能力は最強だ。誰にも打ち破ることなんてできないよ」
確かにあいつの能力はヤバい。
でも、俺だって...気持ちはお前よりかある!
「うあああああああああああ!!!!!」
この街の地面が揺れている。
木々がざわめいている。
風が強く吹いて来た。
「何これ...自然が...話しているの?」
凛には冬紗の周りにある自然が冬紗と一体化しそうになっているように見えた。
そして、冬紗は...消えた。
「えっ...なにこれ?どこ行ったの?」
ソーラは突然のことに戸惑っていたが、自分の後ろに物凄いオーラを感じ、とっさに後ろを向いた。
そこには...
「隙だらけだ!!」
冬紗がいた。
「‘増強短減’!!」
ソーラはとっさに能力を発動させ、背中にオーラを集中した。
それは、冬紗が後ろにいて背中に攻撃を仕掛けて来ると思ったから。
「その能力には弱点がある。1つ目は...オーラを集中して、そこ以外を攻撃した場合は防御力が皆無に近いはずだから生身の状態で攻撃を受けるのと同じ。そして、2つ目はその集めたオーラの時間は1分も持たないことだ。」
そして、冬紗は前に回り込み、拳で腹をめがけて殴り飛ばした。
冬紗は‘魔法の蒼’の能力で、この街の自然全てと一体化した。
自然とは風、土、木、太陽、水と様々なものがあるが、今回は風と土と木だ。
そして、それは全て冬紗の目となり、その自然が理解したものは全て冬紗のものになる。
「まあ、ソーラにもわかりやすく説明してやるよ。俺の能力は風と土と木は今回使ったが、自然の物と一体化するものだ。そして、その風に当たったもの、土を踏んでいるもの、木が出した酸素を吸っているものの全ての情報が俺に入って来る能力だ。そして、その自然の場所へ瞬間移動もできる。だから、俺は消えたと思わせてお前の後ろについた」
「この僕が...やられるなんて...そんなの...あってたまるかああああああ!!!嫌だ!嫌だ!認めない!」
「お前の‘増強短減’は他の能力の効果を受けないが、俺の能力はお前の情報を受け取る能力だから、そんなものには関係ない」
「くそおおおおおおお!!!」
ソーラは倒れるが、すぐに意地で立ち上がった。でも、冬紗の一撃が体に大きく効いて、立つことなどほぼ無理な状況になった。
「冬紗...あなたの能力は...」
凛はいかに自分の持っている能力が弱いことがわかった。
私の能力は所詮冬紗の下位互換。
そんなの...嫌に決まってる。
あなたが羨ましい。たくさんの能力を持ち、コピーも出来る。
完璧すぎる能力。そんなあなたが妬ましい。欲しい。欲しい。
「何この感情...私は...私は...何を考えて...」
『お前はそういう人間だ。だから、私と共に一体化しているのではないのか?』
凛の頭に何かが話しかけてきた。
「あなたは...もしかして...」
『言わなくてもわかるだろう。さあ、冬紗を殺せ。お前は自分を超えるあいつが憎いんだろ?さあ、どうせお前はそういう性格なんだ。だから、俺にも選ばれた』
私は...別に好きでこの力を持っているわけじゃない!
『俺はお前にいくらでも力を貸す。だから、ほしくなったらいうんだ。その時は力になろう』
私は...冬紗とこのまま入れないかもしれない。
ひよりを助けるという目的は同じでも、このままじゃ冬紗を壊してしまう...
冬紗にこれ以上私を超えないで欲しい。
私は...多分その時あなたを壊してしまう。
「はあ...はあ...とどめだ」
凛が現実に戻ってきた時には、倒れているソーラに冬紗がトドメを刺そうとしていたところだった
「やめ...てくれ...」
ソーラは必死に命乞いしている。
自分より弱いはずの冬紗に負けるのだから...
「‘竜暗黒漆黒剣’」
凛咄嗟に能力を発動させた。
この能力は黒い色の幻覚の剣を作り出し、相手の腕を斬ったと幻覚させ、本当は斬っていないのに一定時間の間斬った場所の機能を封じさせる能力だ。
「冬紗...まだそいつを殺してはいけない」
「どうして...⁉︎」
「こいつから...南の国の情報を聞くのよ」
「でも、そんなことしている場合じゃない。もし、こいつは自力で逃げる力がまだ残っていたら...」
冬紗がそんな話をした途端、ソーラの姿は消えた。
多分南の国へ帰ったのだろう
「なんだこれ...凛さんに斬られた場所が動かない...それに、逃げられたじゃないか!どうするんだよ!」
冬紗は怒っている。
私は...何をしているのだろう。
私はいずれ冬紗に『本当の正体』を明かさなければならない。
でも、そんなことできない。
私は...冬紗をこれ以上強くさせたくない!
私は...冬紗より強くいたい
「ねえ、冬紗...竜の力諦めない?」
凛は冬紗に提案した。
凛と冬紗はどうなってしまうのか...




