第44話 記憶輪廻
「そんな目で見ないでくれないか?僕は別に好きでこんなことしているわけじゃないんだ」
なだめるように戦闘態勢に入った俺と凛さんにソーラがそう言った。
トップレイってことはこのソーラってやつも中々の実力者ということか...
「お前たちは、竜の力が目的なんだろ?」
「そうだよ。僕たちトップレイにはその任務が課せられている。でもね、君達2人には止めることなんてできないよ」
待て...俺には手紙に最強の力を手に入れてから南の国へ来いときた。仮定だけど、俺たちはそれを竜の力だと思っている。
でも、トップレイ達は竜の力を手に入れることが任務となっている。
これ...矛盾してないか?
「凛さん、これって...」
「大丈夫よ。私も気付いているから」
凛さんもこの事態に気づいているのか。
でも、あくまでも竜の力は仮説でしかないから俺たちには矛盾かどうかなんて分からない。
でも、竜の力を得るにはソーラを倒し、風の竜の力をウイスに戻さないといけない
「あれ、僕と戦おうって言うの?いいの?後悔しない?」
「望むところよ。‘能力解析’...冬紗、こいつの能力は...識別不能⁉︎」
「え...どう言うこと?」
凛さんの相手の能力を解析する能力が効かなかった。どういうことだ?
「あはは、そんな雑魚能力なんか僕には効くわけないだろ。あくまでも君の能力を知る能力は低脳な能力のみだ。僕のような、選ばれた人間の最強な者が授かった能力何て君たちに理解できるわけがない」
凛さんの能力が通用しないとなると、あいつの能力が何か気をつけながら戦わないといけないな
「‘解き放たれし力’!!!」
俺は全力でソーラの方へ走った。
そして、そのままユーイスを倒した時のように、右の拳に‘魔法の盾’を発動したまま、殴りかかろうとした。
だが...
「‘増強短減’!」
俺の拳はたしかにソーラのお腹に当たった。
当たったはずなのに...ソーラは何のダメージをくらっていないように見えた
「これが僕の能力だ。君が今使ったみたいに、オーラを1つに集中させダメージを減らす能力。そして、今君が纏っているオーラにもさらに能力がかかっているのかな?」
俺の‘魔法の盾’も見破っていたのか!
さらに、俺と戦い方が少し似ている。
「まだあるよ、僕のこの能力は他の能力に干渉されない。だから、君の無効化する能力も発動されないわけさ」
他の能力に干渉されない能力...
それじゃ、いかなる防御も無効化されるのか...?
「よって、こうやって僕の君みたいに拳にオーラを集め、相手の防御する能力も無効化するってわけさ」
それは、俺のさっきの拳に力を集めた能力以上のオーラが拳に溜まっていた。
実際、俺の‘解き放たれし力’は部分的に集め強化するわけじゃなく、ただ単に力全体が上がる能力だ。
そして、右の拳に集めることによって能力の消費を抑えていた。
ソーラのように、完全に1部分に集める能力じゃないため、俺なんかとは比べ物にならない力が出ている
「君は...弱い。そんなんじゃ、誰も守ることなんて出来ないよ...」
そして、俺はただのパンチで吹き飛ばされた。
能力に干渉されないため、‘魔法の盾’は発動されず、ただ防御できず無惨に俺は数メートルほど吹き飛ばされた。
格が違う...俺は今までトップレイ2人を倒した。だから、余裕だと思っていた。
でも、こんなの勝てるわけがない...あいつの能力の体の一部部を強化する能力は他の能力の効果を受けない。だから、攻撃した部位に能力で強化されたら能力でその攻撃が無効化される。
こんな鉄壁...俺の‘魔法の盾’なんかとは比べ物にならない。
魔法の盾は相手の魔法、能力を無効化できるが、相手も同じ無効化できる能力だとこっちには干渉されない能力なんてないからこっちが負ける。
ダメだ、何か考えろ!
このまま気絶したら凛さん1人を置いていくことになる。多分凛さんでも、あいつには勝てない気がする。
凛さんを守るために俺は...立て!
立つんだよ!俺の足は何のためにある!俺の腕は何のためにある!
誰かを守るため...大切な人を守るため...敵を倒すため!
『君のことは守りたいと思っている...無事君がここにきたら、君のことは諦めるよ。もし無理なら、君はそこで死んでもらう。君は...恐ろしい人間...いや、恐ろしい生き物だから』
何だ今の...誰の声だ?
俺の頭の中で記憶が混乱している。誰の声だよ...聞いても誰も答えない。そんなの俺の頭の中で起きていることだから
「うああああ!」
凛さんの悲鳴が聞こえる。
助けに行かないと...でも動けない。
『約束して...また会うって』
『約束だよ...シ...それ...と...守...俺は...絶...』
『うん!』
幼い女の子と男の子の声。
俺の昔の記憶なのか?
映画のように、俺は記憶の映像を見ている。
なんだこれ...でも、俺の話している相手の顔は見えない。
『もう時間だよ。さようなら...カズサ!』
何だよ...誰だよ...俺の昔の記憶はどうなってんだ?
全然思い出せない。いつもこうだ。ひよりとも本当に昔から遊んでいたのかもわからない。
まず、俺は...今生きているのか?
こんな映像を俺自身に見せられて、体も自由に動かない。
でも、聴覚だけは残っている。
...凛さんの悲鳴が聞こえる。
助けないと...助けないと...タスケナイト
約束したから...絶対に大切な人は助けるって...
「うあああああああああああああああ」
冬紗の咆哮が戦っている凛とソーラの耳に唐突に入ってきた。
「あれ、まだ死んでなかったんだ。おお...少しはマシになってるね」
「冬...紗」
「‘記憶輪廻’...」
その瞬間冬紗の後ろ髪が黒色から白いに変わった。
冬紗の目にはソーラの横でボロボロになっている凛が映った。
凛さんを...大切な人をよくも。
少しだけ昔のことを思い出した。
俺は昔...異世界に住んでいた。
そして、その時身につけていた能力は...
「‘魔法の蒼’...この能力でお前を倒す!」
冬紗の昔の能力は...




