第39話 凍った命と2人の両親
「‘氷結なる命’」
ヘタリアがそう言った瞬間この街は凍った。
凍ったというより、時が止まったの方が表現としてはあっている。
この力は氷の竜アストダイアの能力によるもので、ここにいる全員はこの能力を防ぐほどの力を持っていなかった。
ただ、1人を除いては...
「‘魔法の盾...今度はちゃんと発動してくれた...」
カズサだけは氷になることはなく、カズサの半径30センチまでは凍っていないが、それ以降は凍っているという不思議な感覚に襲われていた。
だが、この感覚は他の2人も味わっていた。
「動けない...なんだこれは...これが氷結というものか。寒いし息もし辛い...これがあの竜の最強の能力か」
「なにこれ...私が能力を発動しようとしても何もできない。動けないし、寒いし、このままじゃ...凍結で死んでしまうわ」
凛とユーイスは2人して謎の感覚に襲われていた。
カズサは周りが氷のため、そこから動けず、10数メートルほど先にいるヘタリアの元に辿り着くのは無理だった。
「これは...ヘタリアが出した能力か?でも、ヘタリアはこんなことする娘じゃないはずだ。ということは...ヘタリアの中にいるまだ生きているアストダイアがユーイスに抵抗するために防御に出た?」
カズサは必死でこの状況を考えていた。
このままじゃ、凛さんはどうなってしまうのか...それに、俺もこの氷から脱出できず、死んでしまうのかもしれない。
「まて、この能力の範囲はどこまで続いているんだ?もし、この国ごと凍らされていたら...」
カズサは恐ろしくて、考えることができなかった。カズサみたいな能力を防ぐ能力以外の人間は凍っていることになる。
もしそうなっていたら...北の国は崩壊してしまうかもしれない。
でも、カズサにはそんな確かめる能力や力などなく、ここで嘆くことしかできなかった。
何時間たっただろうか...カズサの体温も下がっていき、考える力も残っていなかった。
凛とユーイスは生きているのかどうかもカズサには分からない状況だ。
このままじゃ...ダメなんだろうけど、俺には何もできない。
俺じゃ...凛さんやヘタリアを助けることなんてできない...
俺はいつだって口先だけかもな。
『あの時』だってそうだ...上手く騙せたから今のあいつがいる...。
いや、今はこんなこと考えている場合じゃない。
でも、ひよりは何処に今いるんだろう...
あれ以来俺はなるべくひよりを避けるように生きてきた。学校もわざと違うところに行った。
さらに、あいつは彼氏もできた。でも、俺には分からない。
あいつはなぜ俺を構う?
今カズサは頭の中で様々な記憶が駆け巡っている。幼い時のひよりとの記憶、そして...ちゃんとお別れをすることができたスミレ。父さんと母さんと死んでから育ててくれたお義父さんとお義母さん...え?」
何だ今の記憶。
誰だよ...俺には父親と母親は1人しかいないはずだ!
何で...2人も両親がいるんだよ。
この時、カズサは元の世界の学校に入学した時のことを思い出した。
冬紗の過去は謎だらけ...?




