第10話 カズサの決意
暗い...動けない...
俺は仰向けでベッドの上に手足が縛られて、横たわっていた。
「くそっ...怪しいと思ってたんだ!」
2人の心はたまに黒くなっていたのが俺にはわかった。でも、まさかここまでするとは思わなかった。
下手したら俺はもう死んでいたかもしれない、今生きていることが奇跡のようなものだ。
今は怒りの矛先を2人にすることしか気持ちを保てなかった。
「...カズサ!目が覚めたの⁉︎」
隣のベッドからサヤカの声が聞こえた。
闇にも少しずつ目が慣れてきて、俺と同じ状況なのがわかった。
「これは...2人の仕業か?」
「えっ?なんで!カスミの能力を受けても平常心を保ってられるの?」
「なんだよ、お前もやっぱり俺の敵なのか」
サヤカは俺を騙そうとしている。
絶対にそうだ!
「いや、私もカスミにやられたわ。カズサが倒れた後、私も攻撃をくらった」
そんなことを言っているサヤカがいつものハイテンションとは違くて、少し悲しくなった。
サヤカは本当のことを言っているのか...?でも、俺を殺そうともした...
「私は、カズサを殺そうとしたことはあの時冷静じゃなかったの!」
「宝石を俺の中から取り出す方法はあるのか?」
「それは、その人が死ぬかその人の力が宝石に勝てば宝石は自動的に出てくるよ」
俺が死ぬか俺が宝石に勝つ...?
「だから、俺を殺そうとしたのか」
やっとサヤカが俺にしたことの意味わかった
「次はカズサのこと教えてよ!なんでカスミの能力をくらっても平気なの⁉︎」
サヤカが少しずつ元気になっていることがわかった。
言葉に弾みが出てきたからだ。
「それは俺もわからない。でも、もしかしたら...」
もしかしたら...いや、まさかな。
そんなことはないはずだ
「カスミはどこにいるんだ?」
「わからない。でも、私達を殺すと思うわ」
その言葉に俺は驚くしかなかった
「俺はともかく、どうしてサヤカまで!」
「私達仲の良い姉妹に見えるよね?でも、本当は仲がとても悪いんだよ」
「えっ?な、なんで!」
「私たちは母親が同じでも父親が違うイレギュラーな双子。まず私の父親が殺されたの。私の父親がお母さんの本当の夫」
そっからのサヤカの言葉は心が重くなっていった。
サヤカの父親が死んで、母親の愛人カスミの父親に父親として育てられるが虐待を受けていた。
やがて母親にも捨てられて家の中で孤独で過ごしていたと言った。
サヤカの父親を殺したのはカスミだとサヤカは疑っていた。
とある言葉をサヤカに言ったから
『今度からは私が本命よ』
この言葉はサヤカの父のお葬式の時に言ったそうだ。
実はサヤカの父が住む前はカスミがいらない子として扱われていた。
カスミの父親は違う場所に住んでいたが、母親の意見でカスミとサヤカは仕方なく住んでいた。
でも、カスミはほっとかれて育っていってしまった。
学校では虐められ、家でもいらない物として扱われる。
でも、それをサヤカが救っていた。
一応姉として...家族として。
それが逆にカスミを痛めつけた。
カスミは自分のプライドが折れてしまうと思い、サヤカの父親を殺し、本当の子供は私になるのよと...
「嫌なこと思い出させて悪かった」
「いいのよ...これが私達双子の真相なんだから」
「まずは、ここを出ないと命が危ないな」
「でも、縄で縛られているし...カズサは怪我もしているでしょ!」
サヤカに刺された腹は丁寧に治療されていた。
治癒魔法で殆ど痛みはなく、血も止まっている。
「でも、カスミはなんでカズサの傷を治したんだろう」
「わからない...あっ!サヤカの能力の剣の支配者...だっけ?それを使って縄を切るのは?」
「あっ、それなら...なんとかいけるかもしれない!」
サヤカは縛られた手に剣を出現させ、それで縄を切りカズサの縄も切った
「よし、解放されたな!とりあえず逃げよう!」
この部屋の唯一のドア...それが開いた。
「お姉ちゃん達何してんのかなぁ?それにカズサ先輩もなんで私の犬になってないの〜!」
ドアの前にカスミが立っていた。
「これは...腹をくくるしかないな」




