勇者になって4日目
いきなり4日目から始まったことにたいして言い訳すると、次のようになります。
学校を出て言われた通りギルドに向かう。
はずだったんだけど。
今は学校をでて4日が過ぎてしまいました。
「ギルド…、遠すぎでしょ」
こんなに遠いとか聞いてないんですけどー!!
はぁ…。もう疲れた。
ここに来る途中には宿もないし、お金もないし、そもそも人がいないし。
と、そんな感じになっていました。
歩き始めて4日目、いまだにギルドにつけないでいました。
「ああもう!めんどくさくなってきた!」
「まあまあ、そんなにきっきなさらず」
すると、胸に付けていたアクセサリーから声が聞こえる。
「ベク、なんかいい方法ない?」
「それでしたら、やはり魔法を使えばよいのでは?」
「どうやって?」
「ですから、空を飛ぶとか、瞬間移動とか」
それが出来たら苦労しないよ。
「なんか勇者は魔法使いじゃないから飛べないんだって」
「あー、確かに。勇者は空を飛びませんね。でもあれ?私がやっていたゲームでは、勇者は天空の城とやらに飛んでいきましたよ?」
「へぇー。どうやって飛んでたの?」
「大砲で」
「…」
「…まあ!大砲は無理でも、召喚獣なら飛べるかも知れませんよ?」
「召喚獣?」
「思い出してください。あなたが蝶々のアクセサリーに魔力を流して流したときの反応を」
「あー!確かに空飛んでた!」
「そうです!なら、大きい蝶々でも作れれば飛んで行けますよ!」
「おおー!ところで、なんで私が蝶々飛ばしてるの知ってるの?」
あのときまだベクはいなかったのに。
「あー、マリアさんと一緒に見てました。あの人、めちゃくちゃ魔王様のこと笑ってましたよ。多分今も笑ってるんじゃないですか?」
仲がよろしいことで!!
話をもどす。
「でも、大きい蝶々を作るってちょっとダサくない?」
「それもそうですね」
「ドラゴンとか作ろっか」
「お!魔王様久しぶりに魔物作るんですか!」
「ううん。作らないよ?だって、魔物を作るのには対価が必要だからね」
人の魂とか。憎しみや嫉妬とか。
「だから、土で作るよ」
そう言って頭のなかにドラゴンの形をイメージして魔力を流す。
「はっ!」
地面の土が盛り上がっていき、ドラゴンの形になっていく。
「おお!すごい!」
「ここに、魔族の魔力を流せば…。っは!」
「グァァァァア!」
土で出来たドラゴンは吠える。
「ドラゴンもどきの完成!」
土で出来たドラゴンはこちらのほうに向き直り、頭をおろす。
「よしよし、いいこだね」
「グガ!」
ドラゴンが顔を舐めてくる。
「あはは!土だからざらざらしてる!」
そうしてじゃれあっていると、ドラゴンは後ろを向き、腰をおとす。
「もしかして、乗れっていってるんじゃないですか?」
ベクに言われて、ドラゴンにまたがってみる。
「よし!いけー!!」
「ガァァァァァア!」
バサッ、バサッ、と音をたてながら翼が動く。
すると、徐々に目線が上がっていき、辺りの林よりも高くなっていく。
「うおー!!飛んだー!」
すっご!え、まって、すっご!!
ドラゴンすげー!
「よぉーし!行けぇ、ドーラ!」
「ドーラ?」
「この子の名前!ドーラにしたんだ!」
「可愛らしい名前ですね」
「グガァ!」
私たちはそのまま、空を飛んでいった。
しばらくすると、大きな町が見えてきた。
あそこかな?
とりあえず、降りてみることにした。
もちろん、いきなりドラゴンが降りてきたら町の人を驚かせてしまうかもだから、近くの森に降りる。
ちょっと歩くと、すぐに町の門があった。
門の前には人がいた。
「すみませーん」
「何者だ?」
「勇者です」
「は?」
「だから、勇者です」
「はぁ…。君な、冗談もほどほどにしとけよ?君みたいな子供が勇者になんて慣れっこないだろうが」
信じてないらしい。
「じゃ、信じなくてもいいので、ここを通してもらえますか?」
「だめだ。役職がないものを通すわけにはいかない」
「だから勇者だって!」
「信じると思うか?」
「どうやったら信用してくれるの?」
「そうだな、剣術で俺に勝てたらな」
は?そんなことでいいの?
「それって…」
「こう見えても2年前まで冒険者だったんだ。候補生にも選ばれたこともあるぞ」
「そうなんだ。わかった!いいよやろう!」
「本気で言っているのか?」
「本気だけど?」
「わかった。相手してやる」
「その前に、剣の指定とかはないよね?」
「まあ、自分で剣を持っているならそれでいい」
「わかった」
にやり。
「それじゃ、始めるぞ」
「いいよー」
「って、剣を持ってないじゃないか」
「ん?大丈夫。ちゃんと持ってるよ」
「(からかっているのか?少し説教してやるか)」
相手の男の人が、剣を取り出す。
そして、こちらにむかって…!?
瞬間だった。私のすぐ真横を、剣が通る。
風圧で少しだけ剣先を変えたから、当たりはしなかったものの、動き早すぎ!
「ほう、風魔法か。剣術じゃないがいいだろう。その分じゃお前の剣ってのもそれだな」
ギクリ。エアーカッターを使うのばれた。
「ほらどうした?かかってこい」
「ああもう!どうなっても知らないからね!」
地面に手をつく。
イメージで私の手から男の足のしたまで長い剣を魔力を流して作る。
そして、一気に上に引く!
「なに!?地面から剣が!!?」
男は間一髪で交わす。
「ちっ」
「今度は土魔法かよ」
「いっけぇ!」
今度は地面から岩をとりだし、男を囲うようにイメージする。
「ぐわっ!」
男はそんな声とともに岩に埋もれていった。
まあでも、岩は直前で男には当たらないようにイメージしたから大丈夫なんだよ!
などと心のなかで説明していると、岩が崩れていく。
「まったく。なめた真似しやがって」
「どお?これでわかったでしょ?私が勇者だって!」
「いや、それくらいならAランクの冒険者でもできる」
強情だな。
もういっそ、脅すか。
「ドーラ!おいでー!」
私が呼ぶと、ドーラはすぐに駆けつけてきた。
「な、なんだ!?」
「私の召喚獣。ドーラっていうんだ!」
「召喚獣?こんなにでかいのがか!?嘘だろ!?お前どんな魔力量してんだよ!」
「勇者ですから!」
えっへん!
「…わかった。認めてやるよ。お前が…、オホン。君が勇者ってな。ほら、通れ」
「わーい!」
やっと通れる!
「と、その前に1つ。名前を教えてくれないか?」
「ミサだけど」
「ミサか。ギルドに行くんだろ?」
「そうだけど、なんでわかったの?」
ギルドの話したっけ?
「言ったろ。俺も候補生だったんだよ。あそこの学校の卒業生。ここまで遠かったろ」
「めちゃんこ遠かった!!」
「はっはっはっ!ギルドいったら声かけてくれ。いい宿紹介してやるよ!俺はハイルビン。ハイルでもビンでも、好きな風に読んでくれ。ここにいるから、終わったら声かけてくれ」
「わかった!ハイル、ありがとう!」
そうして私は、無事に町に入れました。
ベク「物語に再登場できましたー!作者ありがとう!」
作者「あーそうだねー」
ベク「なんでそんなに棒読みなんですか!」
作者「…(ちょっとしたフラグなんだけどな)」
ベク「あっ、(察し)」
後で登場人物表みたいなの作っておきますね(今とはいっていない)
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。