元魔王、チート生活四日目(ここまで前振り)
目が覚めると、テーブルに突っ伏していた。
反対側にはサエルもいて、テーブルの上には綺麗なアクセサリーと汚いアクセサリーが並んでいた。
ん?私の近くに汚いのが多いな。なんでだろ。
「ん…。ふぁあ。おはよう、ミサ」
「おはよう、サエル」
なにいまのおきかた!ちょーかわいい!
「ご飯食べに行こっか」
「そうだね」
サエルは立ち上がろうとしてテーブルに手を付き、テーブルにひろがっているアクセサリーに気づく。
そして私のところにある汚いのを見て叫ぶ。
「あ!成功したんだ!」
「え?」
汚いなかに、一際輝くアクセサリーがあった。
話は昨日の夜に遡る。
「_だから、そこはもっと弱めにして、そう。イメージを固めて」
「うーん…」
今は寮に帰ってきていて、サエルにアクセサリーを作る魔法を教えてもらっていた。
「ミサって、あんなに大きい手とか作れるのに、小さいものは苦手なんだね」
自分でも驚きです。私こまこました作業が苦手みたい。
「だめだー!!できない!」
「もー、貸して」
そう言うとサエルは、私の手にある塊をとる。
「…」
「はっ!」
「!?」
次の瞬間、サエルの手のひらには塊はなくなっていた。
代わりにウサギの形のアクセサリーがあった。
「すごい!」
「こんなことも出来るよ」
手のひらのウサギがピョンピョンし始める。
「すごい!!」
「ふふふ。これは簡単だよ。イメージは動物の動きを鮮明に作るの。私は魔力量が少ないからこれくらいのものしか動かせないけど。ほら!ミサが岩で作った手を動かしたのと同じだよ!」
なるほど。あのときのイメージは自分の手を動かす感じだった。
なら、出来るかも。
「それ、貸してもらってもいい?」
そう言ってサエルの作った蝶々のアクセサリーを指差す。
「いいよ。はい」
「ありがとう」
私は蝶々が空を飛ぶイメージを作る。
「えい!」
すると、手のひらの蝶々は、ふわり、ふわりと羽ばたいて空を飛んだ。
「できた」
「ミサ!すごいよ!私触ってないと物を動かせないもん!」
そうなの?
蝶々はイメージをやめても飛び続ける。
「ねぇサエル。私もう魔力流してないのにまだ動いてるんだけど」
「それって!?」
「?」
「それって、物に自分の魔力をたくわえさせてるんだよ!」
「へぇー。すごいことなの?」
「すごいなんてものじゃないよ!それって召喚獣を作れるってことだよ!」
サエルのテンションがうなぎ登りだ。
なんでだろ?
「えっと、召喚獣って?」
「!、はぁ…」
またため息つかれた!
「召喚獣は、自分の魔力を物に流して作る獣で、そして魔力をたくわえさせることが出来れば召喚獣が勝手に動いてくれるんだよ。だから一緒に戦ってくれたりもするとってもすごい魔法なの。わかった?」
「わかった!」
そんなことができるんだ!
なら、アクセサリーに魔力を流せば小さい召喚獣の出来上がりってことか!
そのとき、ピーンと頭にあるイメージが浮かぶ。
「ねえサエル」
「なに?」
「私作りたいアクセサリーがあるの。協力して!」
「最初から協力してるけど。なに作るの?」
「骨のペンダント!」
それから私は何回も失敗を繰り返しながら、ちゃくちゃくと形はできていった。
サエルは先に寝てしまったので、私一人で頑張る…。けど、なんか…もう眠い。
おやすみなさい。
私も眠ってしまた。
瞬間、瞼を閉じていてもわかるくらい強い光に目を開ける。
「あ、起きましたか」
気づくとまた白い空間にいた。
「マリア?」
「ちょっと忘れ物を届けに参りました。どうぞこれを。ふふふ、いなくて寂しかったでしょ?」
そう言ってマリアは骨を差し出してくる。
今日まで忘れてたとは言えなかった。
「魔力を流してあげてください」
言われるがままに魔力を流す。
「ギクッ!あ、あれ?ここは?」
目覚めた骨に、私は抱きつく。
「ベクーーーー!」
「魔王、様?魔王様!魔王様ーーーー!寂しかったんですよ!お菓子とって戻ってきたらいなくなってるんですもの!」
「ごめんねー!会いたかった!」
「私もです!」
二人で再開を感動していると、マリアがしゃべる。
「忘れ物は届けました。それじゃ、現実にお戻りなさい」
その一言で、私は目が覚める。
ここから冒頭に戻ります!
一際輝くアクセサリーをとってみてみる。
「綺麗だね」
サエルがうっとりした目でそれを見る。
「でも、なんで骨だったの?」
「ん?えっとね、これは私が忘れたくない思い出が入ってるの」
本当に大切な思い出が。性格に言えば前世の魔王のときの思い出が、とは言えない。
「そっか。魔力流してみれば?」
「ううん。まだいいよ。ごはんいこ?」
なんせこの骨魔物なんで、今召喚なんて出来ませんよー!
それから食堂に向かい、ごはんを食べる。
食べ終えてから、食堂をでると校長先生が立っていた。
「ミサ、まだ学校にいたのか?早くギルドに行きなさい」
「ギルド?」
「ああそうか。説明していなかったな。候補生だった者も、勇者になった者も、今日から冒険者だ。だから学校は昨日で卒業、だから、早く自分の使命を果たしてくるのだ」
え?もう出ていかないといけないの?
「サエル!」
サエルともお別れ?
「ミサ、私応援してるから!ずっと、ずっと応援してるから。だから、またこの学校に遊びに来てね」
「わかった。絶対また会おうね」
そうして私は学校を出ていった。
次回から本編開始ですよ!
それにしても、今更ながら主人公が幼すぎるので年齢弄りましたテヘペロ
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。