元魔王、チート生活三日目 パート2
今度こそミサに当たるのを確認した。
辺りの砂が地面に落ちる。
やった、倒したぞ!
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ミサ視点
エアーカッターが正面から直撃した。
衝撃で一瞬意識がもうろうとする。
だが、当たったはずの体には傷がなかった。
その代わり、サエルからもらったネックレスが切れてしまっていた。
遠くから撃ちすぎたから、威力が弱まって、ネックレスに当たって消えてしまったのだろう。
でも、これではっきりしたことは、この人たちグルなんだ。
なら、もう本気だしていいよね?
本当に今はムカついてるんだ。
まずは目の前のゴーレムから。
「うおおぉー!!」
また突進してくる。
頭のなかで、大きな手を想像する。
砂が集まり、巨大な手になる。大きさ的には、グリムのからだを包めるくらいの大きさだ。
その手で、突進してくるグリムを掴む。
「そんなもので止められるとでも思ってるのか?」
だが、掴んだ手がグリムの力に圧され、崩れかける。
その崩れた砂をグリムの鎧の隙間から侵入させる。
「その程度か!?」
「もういい。うるさい」
「!?」
瞬間、グリムの鎧が粉々になる。
鎧がなくなったグリムを、また砂の手で掴む。
「ぐっ!?」
更にもう1つ手を作る。今度はグリム全体が入るように握る。
更にもう1つ。もう1つ。
よし、これでグリムはだいじょうぶ。
「次は、アルフ以外の全員」
魔眼を頼りに、アルフ以外の候補生のいる地面に落とし穴を作る。
全員が落とし穴に入ったのを確認して、後は水で埋める。
「あとは」
アルフを直視する。
目の前に巨大な風圧を発生させる。
エアーカッターが飛んでくるが、その風圧の前にはただのそよ風にすぎない。
私は本気でエアーカッターを放つ。
アルフには当たらなかったが、遠くでとんでもなく大きな音が聞こえた。
もっと狙いやすいようにアルフのほうへ近づく。
「他のみんなは?」
アルフがきいてくる。
「もう倒したよ」
「!?」
「だって、邪魔だったから」
「はっ!冗談だろ?」
冗談?なにそれおいしーのー?
「まあいい、正々堂々と勝負しようぜ」
「いいよ」
すぐに楽にしてあげる。
「エアーカッター!」
「そんなの無意味」
私はエアーカッターを風圧で消す。
更に、私は砂で手を作る。
砂の手をグーにし、思いっきりぶん殴った。
するとアルフは、竜巻を自分と拳の間に発生させる。
砂の手は風に巻き込まれて崩れていく。
「どうだ!」
どうだ!って言われても、まあ、普通にできるよね。としか思わないし。
「そろそろ、決めさせてもらうね」
さっきのグリムの真似で、岩を集めて岩の拳を作る。
それをグーにして、またぶん殴った。
するとまた竜巻を発生させるが、びくともしない。
そのまま拳はアルフに命中する。
アルフは吹っ飛んでいく。
すると、放送がなる。
『勝敗がつきました。勝者は、ミサです。おめでとうございます』
終わったの?
なんか、あっけなかったような。
グリムを包んでいた手を戻し、落とし穴に落とした人たちも地上に戻す。
実は中に空洞を作ってあげてたから、水で蓋してたってだいじょうぶなのです!
アルフは、知らん。
バトルが終わり、今は表彰式。
校長先生が話を終え、賞状をもらう。
「実に可憐な戦いだった。この戦いで犠牲者がいなかったのは初めてだ。本当におめでおう」
「有難うございます」
「他の冒険者の諸君も、がんばって討伐をしなさい。話は以上で終わりにする」
はぁ…。やっと終わったー!
「ミサ!やったね!」
「サエル!うん!やったよ!あ!」
私はネックレスが壊れたことを謝る。
「ごめん、サエル。ネックレス壊しちゃった」
「気にしないでいい。ちょっと貸して」
そう言って、真っ二つになったネックレスをサエルは握りしめる。
手を開くと、真っ二つだったネックレスは髪飾りになった。
「わあ!すごい!サエル、今のどうやったの?」
キレイだ。
「はい、これミサの。おそろいっこね」
「ありがとー!」
私は無邪気に喜ぶ。
「でも、なんで握っただけでできるの?」
「なら、旅立つ前に教えてあげまょうか、勇者様」
「お願いします!」
そうして私たちは寮の部屋にむかったのであった。
ベク「さすが魔王様!」
作者「…」
ベク「どうしたんですか?」
作者「次話、考えてない…」
ベク「!?」
と、いうことで次のお話は未定です!
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。