黒い霧の街
大変お待たせしました。m(__)m
「別に、どうもしないが、ブラケミストに招待させていただくだけだ」
その答えに、私は首をかしげた。
「はい?」
「ああ、すまない。 この言い方だとおかしいな。 別に、あなたが魔族であろうとなかろうと、ブラケミストに招待するのだがな」
「えっと、なんで?」
「グリモワールを完成させるのだろう? ならばブラケミストにも行かねばなるまい」
あ、そういえばそうだ。
「それに、ミサが魔族だというなら、ブラケミストでなにか分かるかもしれないぞ? 魔王になれる力を持っている理由も」
魔王の生まれ変わりだからです。 とは言えない。
「まあこれはいづれのお話だ。 今は目の前に迫っている大会に備えよう」
そう言ってナランはステージを出ていった。
出ていく直前、ナランは一言だけ。
「あと、大会では私たち勇者以外の者はいないし、勇者のみんなはあなたが魔族であることは知っている」
だから、本気で戦おう。
そう続けるナランは、少しだけ笑っていた。
それからしばらく呆気にとられて立ち尽くしていると、ドーラが声をかけてくる。
「ミサ? もう日が暮れてきました。 お城に戻りましょう?」
「え? あぁ、帰ろっか」
そっか、バレてたんだ。
やっと戻った意識で、私はそんなことを心のなかで呟き、城に帰ることにした。
城に戻り部屋のベッドに倒れる。
なんかとっても疲れた気がする。
「ミサー、いるか?」
ハイルビンの声が扉の外から聞こえてきた。
「いるよー」
ベッドから扉に声をかける。
「入るぞー」
そう言って扉が開いてハイルビンが入ってくる。
「どうしたの?」
「もうすぐ大会だろ? ちょっとしたネタを教えようと思って」
「あー、悪いけどそれ今度でもいい? いまちょっと疲れてて」
「そうか、ってなんだその髪? 真っ黒じゃねぇか」
一瞬ドキっとした。
「まあ、髪の色がなんだって話だよな。 すまねぇ今日はゆっくり休みねぇ。 おやすみ」
「……おやすみ」
そして私は眠りについた。
見知っているその空間に、もはやなにも言うことはせず、その空間にいる女性に声をかける。
「なんで私ここにいるの? マリア」
「お久しぶりです。 あなたがなにか勘違いをしているみたいなので、お教えしようと思いまして」
「勘違い?」
「そうです。 魔族であったあなたがなぜその力を隠すのか。 答えは魔王になれるからです。 ですがこれは以前のあなたのお話。 今は勇者であるあなたは、なぜ魔族の力を隠す必要があるのでしょうか?」
「それは、また殺されるかも知れないし……」
「もう一つ、お教えしましょう。 この世界では魔族なんて種族、おとぎ話程度にしか思ってませんよ。 ブラケミストという都市には魔族の血を引く人は確かにいますが、それでもその人たちは暮らせるんです」
「つまり……」
「隠す必要もないものを、わざわざ隠していたあなたに、私からの贈り物です。 もうお行きなさい」
そして気がつくと、部屋のベッドにいた。
マリアの贈り物はなんだったんだろう。
とにかく、私は私にできることをしよう。
そう思い、今日もステージに向かうのであった。
たまたま読んでくださった皆さん有難うございます。
前回から引き続き読んでくださってる皆様感謝を。




