勇者、ふと気づく
遅くなりました~
「ハイルビン、ちょっといい?」
「あん?」
ギルドを後にして城に戻る途中、ふとあることを思い出した。
「ここに来る途中に取っ捕まえたあいつはどこにいるの?」
取っ捕まえたあいつとは、私たちがこの街に来る途中に助けた西の島国のあいつだ。
「あー、モンテスタのところのやつか。 それなら地下に閉じ込めてると思うけど、どうしたんだ急に?」
「いや、ふと思っただけだから気にしなくていいよ」
思い出しついでに、思い付く。
セキは知ってるのかな?
二人を会わせてみたいと、そう思い付いたのだ。
ギルドに行ってから一日たち、太陽が新しく登り始めた頃に目が覚めた。
同室のドーラを起こして、外出する。
向かう場所は最寄のステージである。
「ミサ、また戦うんですか?」
「今日は戦わないよ」
ステージに向かう理由を話していなかったドーラからは、そういった声が聞こえてきた。
「セキっていう人にお話があるの。 だからステージにいてくれると助かるんだけど……」
そして見えてきたステージには、遠目からみると誰もいなかった。
さらに近づき、中に入る。
が、誰もいない。
「おや、ミサじゃないか」
その声は、惜しくも会いたい人物の声ではなかったが、手がかりにはなりそうだった。
「ピーカス」
「僕との戦いを受ける気になったのかい!? それは嬉しいなぁ!」
勝手に盛り上がるピーカスはさておいて、本題を話してみる。
「セキを知らない? ちょっと用事があったんだけど」
まあ思い付きを用事と言えるなら間違ったことは言っていないだろう。
「セキかい? 彼は一度国に帰ると言っていたよ」
「セキの国ってそんなに近くにあるの? だってあと数日もしたら大会なのに……」
と、そこでピーカスが手をだし指をふる。
「そこが、彼の一番の特権さ。 彼の服の特殊スキルを忘れたのかい?」
ピーカスの言おうとしていることが、なんとなく伝わってきた。
「セキの特殊スキルって、遠距離でも使えるの?」
「遠距離でも近距離でも関係ないさ。 彼は自らの魔力ならなんだって交換できるからね。 世界中を回れば、それこそどこへだって行けるようになってしまうよ」
確か、隠れ見の術、だっけ?
それってそんにすごいんだ。
「ところで、彼になんのようなんだい?」
「ああ、じつは私たちこの街にくるまえなんか襲われてさ、逆に取っ捕まえてあげたらセキと同じ国から来てるっていうから、会わせてみたいなーって」
「きっとそれはモンテスタの手先かな? まあ、セキに会わせるのはやめたほうがいい。 きっと殺しちゃうから」
ええ!? 殺しちゃうの!!?
「彼の国、ミスランテはいま二分割されていて、国王側と大臣側に別れているんだ。 セキは国王側で、きっとその襲撃してきたやつは大臣、モンテスタの刺客だろう。 だから、セキには会わせないほうが懸命だな。 もっとも、ミスランテの二分割はもうすぐ収まってしまうだろうけど、ね」
「そのモンテスタって、この国も狙っているの?」
「それはどうかな。 島国が他国を侵略した結末、知ってるかい?」
「?」
「まあ、知らなくていい。 多分モンテスタはこの国じたいは狙っていない」
「でも、あいつはこの国が一番の国って言ってたよ?」
「そう、一番の国ではあるが、何が一番かわかるかい?」
たしか、大きさが一番って、シャシャは言っていたような。
「いや、違うんだよミサ。 そこじゃない、焦点を合わせるのはそこじゃないんだよ。 一番の国というのは、この国の大きさじゃない。 ミサ、君はなにかを集めるようにいわれているはずだ」
それは、魔導書のページのことだろう。
「それを集めるための基盤は、つまりそれらを持っている国からは一番大きいパーツなんじゃないかな?」
なるほど。 ピーカスはお国柄とか詳しいんだね。
「戦う気がないなってことだし、そろそろ帰るとするよ。 バイバーイ」
最後の投げキッスを風魔法で壁を作って塞いでから、ピーカスが出ていった入り口を見て、ふと思う。
あれ? 私国が大きいとか喋ったっけ?
たまたま読んでいただいたのであればありがとうございますm(__)m




