勇者との模擬試合です!
え?戦闘シーンが下手すぎるって?
やだなー、いまに始まったことじゃないでしょうに。
「さぁて、お手並み拝見だぜ。 ミサ」
私はとっさに風魔法を作り、手を入れる。
中に入っていた魔溶刀をとるためだ。
「準備はいいか?」
魔法から魔溶刀を取り出した私をみて、そう声をかけてくる。
「もういいよ」
「じゃあ、こっちからいくぜ?」
そう言うとシライは私のところに一歩できた。
「!!?」
私はとっさにしゃがみこむ。
シライの剣は立っていた私の頭を狙っていたらしく、しゃがんだ私には当たらなかった。
だが、空を斬っているその剣がいつまでもそこにはない。
私は素早く左によける。
するとその剣は下に振り下ろされ、またも私には当たらなかった。
「すばしっこいじゃあねぇの。 なら、ちょいと本気めでいくぜ」
そういうとシライは剣を地面に突き刺す。
「俺のこの刀はよ、そんじゃそこらの刀とは違うんだわ。 何が違うかっていうとよ、刀じたいが魔法を使えるんだわ」
シライは自分の剣の説明をしながら、突き刺した剣を抜く。
「直斬活は風魔法、乱撃は雷を魔法にして使えるんだわ。 本当は使いたくなかったけどよ、勇者ならかわせるよなぁ!」
シライはそう言うと、乱撃を空に掲げる。
「放電花火!」
それはまるで花火のようにキラキラと輝きながらステージを黒く焦がしていく。
「そして、直斬活の特殊スキル発動! 魔法を活かしたまま誘導できる! これぞ俺の奥義、『風神雷神』だぜ!」
その花火は一直線に私をめがけとんでくる。
私は後ろにジャンプし、それをかわそうとした。
瞬間だった。
ジャンプして下がった私の着地点には、すでに一直線に向かってきていたスパークがあった。
まずい! そう思って風魔法で強引に自分の着地点を変える。
そのときに少しバランスを崩して着地するときに両手をついてしまった。
顔をあげ、シライの次の攻撃に備える。
だが、シライは攻撃をしてこない。
「よく交わしたな! 誉めるぜ」
もしかして……。
私は素早くシライの後ろに回り込む。
「なっ!?」
「えい」
「ぐはっ!!?」
やっぱり。
この人両手使って奥義とかやってるからすきだらけだね。
ちなみに、私がえい、とやったのは脇腹を指でつついただけだよ。
「勝負ありじゃないかなー、シライ」
外野からの声が聞こえてくる。
「くっそー、俺としたことが……。 まあいい! 楽しかったぜ、ミサ。 大会では超奥義も見せてやるぜ!」
「あはは、お手柔らかにお願いね」
「では、次は僕がお相手させてもらいますね」
シライと入れ違いに入ってきたのはセキだった。
「ミサ、さん? いや、ちゃん? えーと、殿? も、おかしいか……」
どうやら私の呼び方で迷っているみたい。
「あの、ミサでいいですよ」
「本当ですか? ありがとうミサ。 僕もセキと呼んでください」
うーん、今まで見なかったタイプの男の子だな。
「それじゃあ、始めましょうか」
「そうだね」
私たちはお互いに向かい合う。
……。
……。
……。
いつまで経ってもセキは仕掛けてこないので、こっちが仕掛けにいく。
まず、風魔法でセキを上にあげた。
そしてエアースラッシュを打ち込む。
しかし、エアースラッシュはセキには当たらなかった。
なぜなら、そこにはもうセキはいなかったから。
「危なかったです」
「!?」
声が聞こえてきた方を見ると、そこにはセキがいた。
「なんで!?」
「これが僕の服の特殊スキルです。 名付けるなら、『身代わりの術』ですかね」
照れながらにんにんとしているセキにちょっとだけ腹が立った。
「特別に仕組みを教えましょう。 ミサ、いまから僕は君にファイアボールを投げます。 でも、ガードとかはしなくていいですので、安心して見ててください」
炎の玉は私のもとへノロノロとやってきた。
あと少しで当たるというところで、それはセキに変わった。
「!?」
「この服は持ち主の魔力と持ち主の場所を交換してくれる服なんです。 さっきも上にあげられたときに事前に作っておいた魔法と交換したんですよ」
ふむ、その服欲しい。
魔溶刀にも特殊スキルってあるのかな?
「それでは、僕からも仕掛けさせてもらいますね」
瞬間、セキの太刀が私の頬をかすめる。
はやっ!?
「勝負ありですね。 大会楽しみです」
そう言ってセキはステージを出ていく。
ははっ、これが勇者の実力なのね。
おもしろい。 絶対に大会じゃ優勝してやる。
「小猫ちゃんの闘争心に火がついたところで、今度はお姉さんの相手してくれる?」
次にきたのはティーチアだった。
「さて。 さっそくで悪いけど、小猫ちゃんの悲痛の顔を見せて?」
瞬間、細い鞭が私の足を弾く。
体制を崩して倒れてしまう。
「さて、小猫ちゃんはどんな泣き声をあげてくれるかしら?」
さらに鞭で叩いてくる。
私はそれを魔溶刀で切る。
「私の鞭が切れた? いや、切られたのかしら」
ティーチアはくすっと笑うと、鞭を両手で持ち始めた。
「この鞭は私の魔力を使って作っているの。 だから、私の魔力が無くならない限り切れたりはしないはずなのよ。 でも、その剣とても興味深いわね」
鞭は元通りの長さに戻っており、切れた部分も見当たらない。
「特殊スキル、自己再生。 この鞭は自らが魔力を複製し、己の傷を癒すの。 多分だけど、あなたのその剣は魔力を絶たせるのかしら? それとも魔法を壊すのかしら? いずれにせよ特殊スキルを壊されなくてよかったわ。 また今度戦いましょう。 大会は今日じゃないわけだし」
そう言うとティーチアはあっけなくステージを後にしていった。
みんな戦ったというより、ただ自分たちの使う技とかを説明しただけにも見えた。
なんのためだろう?
と、そこにピーカスがステージに入ってくる。
「今度は僕の番だね」
「ピーカスはいいや」
「え」
「今日は帰ってそれぞれの対処法を考えるよ。 勇者ってやっぱり強いんだね」
「僕も勇者だけど……」
「また今度ね」
「あ、うん、また今度……」
そして私たちは城へと帰っていった。
ふと一人戦わなかった人がいたと思い、声をかけてみる。
「私はいい」
と、断られてしまったけど、顔には戦いたいとはっきり書いてあった。
分かりづらい点などは感想などで言ってもらえれば改善させていただきます。
m(__)m
たまたま読んでいただいたのであればありがとうございます!!




