ミサ、鍛冶屋にいく。
あの事件から二週間が経った。
街の人も完全に戻って、いつもどおりの日々が帰ってきた。
唯一違うとすれば、現国王がシャシャになり、その秘書にハイルビンがつくことになったくらいだろう。
そして、大会の日は延長され、1週間後になった。
参加する勇者は全員で八人。
ただ、勇者になる方法は国によってバラバラで、私みたいに学校で決まった人もいれば、普通に成人してる人も勇者だったりする。
例としてあげるならピーカスとドーカスだろう。
「さて、出掛けようかな」
そう言って私は開いていた摩導書を閉じる。
摩導書はあのあとシャシャに返してもらった。
一刻もはやくページを完成させてくれと言われた。
部屋を出て、とりあえず外にむかう。
すると、ハイルビンが向こうからやってくる。
「おー、ミサここにいたか」
「どうしたの?」
「お前は大会に参加するだろ? でも、大会には必ず武器を持っていかなくちゃいけないのよ。 そこで俺に使ったような魔法じゃ、絶対に負けるぜ」
「はあ」
「腕利きの鍛冶屋を知っているんだ。 だから、そこで剣を買ってきな」
別に魔族の力が無くても余裕で勝てると思うんだけどな。
とは言わず、言われた通りに鍛冶屋にいくことにした。
「でも、私そんなにお金ないよ?」
収入とかゼロだし。
「心配すんな。 お前が本当に力があるなら、剣がお前を選ぶさ。 そして、それはただでくれる」
なんだって!
そんなに気前のいい人がいるのか!
これはいくしかない!
そして私は、一人でその鍛冶屋に行くことにした。
ドーラは寝てたのを起こしたくなかったから今日はお留守番。
屋台を抜けて人気の無い道に到着する。
というか、家と家の隙間にひっそりとそれはあった。
扉に『セメスの鍛冶屋』と書いてあって、それだけがあった。
これ、ハイルビンに騙された? 鍛冶屋とっくに潰れちゃってますよー。 どーするんですかこれ?
ここまできてこんな仕打ちはやるせないので、その扉を開けてみることにした。
すると、扉の中はこことは違う空間に繋がっていた。
「あはは」
もしかして、鍛冶屋ってここかな?
私は恐る恐るなかに入る。
「お邪魔しまーす」
中はランプと熱された金属の灯りだけがまわりを照らしており、それ以外は殺風景だ。
カウンターはあるが、人はいない。
とりあえずカウンターにいってみる。
やはり人はいない。
「すみませーん」
声をかける。
それでも人はいない。
「……」
「ここだ」
「!?」
その声は後ろから聞こえてきた。
「小娘が何しに来た? うちに果物用ナイフはないぞ」
「えっと、お店のかたですか?」
「見りゃわかるだろ」
急に背後に現れた人をいきなり店員とは普通思わないよ。
「剣がほしいんですけど」
「ふんっ、悪いがうちは護身用の短剣もおいていない」
「そうじゃなくて、私ハイルビンって人の紹介できたんですけど」
「ビンの? ……そうか。 お前さんが国の勇者か。 なら、剣士の試練を受けるか?」
「剣士の試練?」
「そう、お前さんに使われたい剣を選ぶ試練じゃ。 まあ、聞くよりやるのがはやいだろう。 ついてこい」
そういうとその店員さんは、カウンターの中に通してくれる。
カウンターの奥は細く一本道が下へと延びていた。
それを下り終えると、土俵のような場所が見えてきた。
「ここが試練の場だ」
「それで、どうやって私が使う剣を選ぶの?」
すると、その土俵の回りの壁が縦に開く。
そして完全に開いた壁の中には、無数の剣があった。
多分千や二千ではないだろう。
下手したら万いっちゃうよこれ。
「お前さん、さっきもいったがお前さんが使う剣を選ぶんじゃない。 剣が使われたいと思う人を決めるんだ。 わかったら土俵の真ん中に立て」
私は言われるがままに土俵にあげられる。
「今からこの剣がお前さんめがけて飛んでいく。 お前さんはそれを交わしながら、この剣のどれか一本を捕まえることができたら、その剣はお前さんのものだ。 では始め!」
瞬間、その万の剣は一斉に私をめがけて飛んできた。
新しい章です!
たまたま読んでいただいたのであればありがとうございます!!




