勇者になって10日目part3
次の次で一段落です!
「これは魔導書。 かつての大魔導師が自らを何かしらの形で残したいと願い出来たもの」
その声はナナの声だった。
「でも、悲劇は起きた。 大魔導師は自らを形あるもので残し、それが壊れぬよう魔法をかけていた。 大魔導師はそれを一人の王様に献上した。 王様はその魔導書を使い、国を豊かにしていった。 だけどそれを、回りの国はよく思わなかったの。 そして、ある日の夜、他の国の人が魔導書を渡すようにその国にきたの。 もちろん王様は断った。 すると他の国の人たちは戦争をすると言ってきたの。 そして、その戦争の果てにその国は亡くなった」
ナナは、いつもの笑っている顔ではなく、まるで別の誰かのようだった。
「魔導書はバラバラにされ、各国に分配されていった。 そして、今目の前にあるその魔導書は、大魔導師が壊れぬようにという魔法の言うことを聞いて、再生しようとしているの。 具体的には、魔力を回りから集めて欠けているページを埋めようとしているの。 だからこの国の王様は、強力な魔力、純血の魔族の魔力をこの本に宿したの」
そして、その魔力の根源は私。
「前に先代の国王が使ったとき、その魔力は無くなったと思っていた。 でも、ある日を堺に魔力がまた戻った。 ミサ、あなたなら、わかるよね?」
私が死んだとき、あの勇者は魔導書に空いたページを私の魔力で埋めた。
そして、先代の王はそれを使った。
破ることが出来たのだ。 その魔力を使うことも出来る。
魔力はほぼほぼ使われ、魔導書はまた空になった。
そこに私は転生、ありのまま復活した。
ここでさっき言ったけど、ほぼほぼ使われたというのは、ほんの少しだけ残っていたのだ。
私の力が。 純血の魔族の魔力が。
「だとしても変だよ。 私には今その力はない」
「ミサ?」
シャシャの声を聞き流すほど、私は冷静じゃなかった。
「あなたに今その力は無くとも、一定条件で発動すると言ってたはずです」
それはマリアの言葉だ。
確か、私自身が魔族の魔力を使いこなせるようになったときか。
「私の命が危険になったとき」
「そのとおり。 破られ傷ついてる魔導書は、人で言うなら今はどんなときかな? 」
人で言うならそれは、死にそうな状態だろう。
「そう、だからその微かに残っている魔力は魔導書を治している。 あなたが今力を使えないが関係ないの」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
私とナナの会話に、シャシャは大声でそれを遮った。
「いったいなんの話をしているんだ! 僕にはさっぱりわからないぞ!」
「わからなくて当然なの。 あなたはなにも知らないんだから」
「だから教えてほしい。 つまりどうすればいいんだ?」
「つまり、この魔導書に魔力を戻すのはできる。 回りから集めてしまうのだから。 問題はそこじゃないの。 その先なの。 魔力を魔導書に戻しても意味がない。 なぜなら、魔力が戻っても治りはしないから、魔導書は完全にはならないから」
そういうことか。
「させようとしてることがわかってきた。 つまりあなたはその破れたページを探して持ってこいって言ってるのね」
「よくおわかりで」
「今のこの状況を一時的に納めることはできるんだよね?」
「できます」
「なら、その魔導書貸してもらっていいかな? 大魔導師様」
私のその言葉に、ナナは少しだけ笑った。
「いつから気づいていたのです?」
「最初から。 名前がわからなかったから、ナナって呼んじゃってたけど」
「ふふっ。 やはりマリアに聞いていた通り、面白い人。 いいでしょう、魔導書を貸します。 でも、ひとつ条件があります」
「わかってる。 ページを集めろって言うんでしょ? 一枚残らず、そうすれば魔力は出ていく」
「そのとおりなの! それでは、私はこれで失礼するわね。 ああ、それとその魔導書はあなたが持ってていいわ。 ページがそろったら、マリアに渡して」
その言葉と同時に、ナナは光を帯びる。
そしてそのまま床に倒れこみ、光だけが上へと昇っていった。
「ナナ! 大丈夫?」
私とシャシャはナナに駆け寄っていく。
「んん……。 あれ? ここどこ~?」
「無事で良かった」
ナナの無事を確認してから、私は魔導書を手に取る。
べ「あれ? ここはどこ? 私はだれ?」
?「ここは無間。 出番のないものたちがくる場所よ」
べ「嘘だ!」
?「なら、確認してみなさい」
べ「こ、これは!?」
たまたま読んでいただいたのであればありがとうございます。




