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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第一章〝黒の目覚め〟
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黒の系譜01-08『魔術をつかってみよう!〝とりあえずぶっぱしてみた〟』

〝己を知れば百戦危うからず〟という事でどの程度戦えるか、まずは魔術を試してみることに。

やっと、チートの本領発揮ですね。

※12/11誤字脱字などを修正しました!

 昼食後、午後からは中庭のスペースで少し魔術を練習させて貰える事になった。

 一応、そんなに危険な魔術は使わないつもりだが、さっきの暴発の件もあるので念のため人払いはしてある。

 さらに安全策として剣士としても高レベルだと言うラムダさんが脇に控え、もしもの際に備えてもらう。


「じゃあ行きます!」


 オレはゆっくり構えると、目の前の巻き藁の目標へ意識を集中する。


「まずは[アクア・ジェット]」


 オレがスペルワードを唱えると手の平から水が吹き出し、目の前の目標を根元からぽっきりと吹き飛ばす。

 壮絶な水圧で的を粉々に粉砕、後に残ったのはただの藁と木くずだけである。。

  

「うわわわわっ!」


 あまりの勢いに驚き、誤って手を地面に向けてしまう。

 水は勢いそのままに地面をえぐるように巻き上げていく。

 しかもその反動でオレの小さな体は空中へと飛び上がっていく。


「あわわわわわっ!?」


 集中が途切れたことで魔術は止まったが、空中へ10メートル近く投げ出されたオレはそのまま地面へと真っ逆さまに落ちていく。


「ノーウェイ様!」


 下でラムダさんが受け止めようとしてくれているが、このままの勢いではどちらも無事では済まないだろう。

 咄嗟に頭をよぎった魔術を唱える。


「え、[エア・フローター]!」


 ブワっと風が巻き上がり、オレの身体を包み込んでいく。


[エア・フローター:風を吹き上げて、わずかな浮力を得る]


 落下速度軽減の魔術によって、シャボン玉よりもゆっくりと降りていくオレの身体はラムダさんに優しく受け止められた。

 そう、いわゆるお姫様抱っこ状態で。


「お怪我はありませんかな?」

「泣きそうです」


 的と一緒に男としての尊厳も打ち砕かれました。

 やたら心配するラムダさんに、体は問題ないと告げてさっさと地面に降ろしてもらう。

 そこでオレは改めて一つ確信した。


「威力、高過ぎませんかね?」


 さっきの[フェアリー・ライト]も明かり、なんて生易しい物じゃなかった。

 今使った[エア・フローター]だって、あそこまで浮力を得るのはおかしい。

 全体的に威力が高すぎるのだ。

 オレの記憶が確かなら[アクア・ジェット]は一番下級の攻撃魔術だったはず。

 せいぜい相手を仰け反らせるか、よくて吹っ飛ばすか程度の威力。

 それが的を粉々に吹っ飛ばしてミンチにしたあげく、地面えぐって反動で上空へ射出とか、マジ意味わかんない。


「魔術は門外漢なのではっきりとは申せませんが、恐らく魔力を注ぎ込みているのではないかと」


 うんうんう唸っているオレにラムダさんはそうアドバイスをくれた。

 なんでも昔、彼と一緒に冒険をしていた魔術師が、魔術の威力は単純に魔力量に比例すると教えてくれたらしい。

 下級な魔術でもたくさん魔力を込めれば大きな威力を生み出すし、逆に上級な魔術でも魔力量を押さえれば威力を押さえることが可能だとか。

 で、ここからは推論だが。

 オレはチートによって魔力が無尽蔵になっている。

 そのため意識せずとも大量の魔力を注ぎ込んでしまっているのではないか、と言う事だ。

 でも魔力を押さえるってどうすればいいんだろうか?

 


「おさえろー、魔術おさえろー」


 とりあえずアホみたいに繰り返しながら、[ファイア・ボール:火炎の弾を作って相手を攻撃する]を唱えてみる。

 オレの手から放たれた3つの火の玉はそれぞれ経っている的に当り、若干の焦げ跡を残して消える。


「お見事ですな」

 

 うん上手くいったようだ。


「教えたばかりなのにすぐ使いこなして見せるとは。感服いたしました」

「ラムダさん教え方がいいんですよ! 他にも試して良いですか?」


 調子に乗ったオレは他の魔術も試してみようと、庭の中心に意識を向ける。


「おさえろー、魔術おさえろー」


 あと使っても問題なさそうな初級魔術っていうと……


「そうだ[アース・ニードル]」


 ドォン! 

 オレが唱えた瞬間、その轟音が鳴り響いた。

 周囲の土を集めて作ったためか周囲はクレーターの用になっている。

 その中心部に軽く2、3メートルはありそうな円錐状の物体が、天を突くようにそびえ立っている。

 はたしてこれのどこが初級魔術なのだろうか?

 直撃したらまず助からない初級魔術とか鬼過ぎるだろう。


「これは、またなんと」

「す、すごく大きいです……」


 近づいて軽く叩いてみるが、恐ろしく固い。

 ラムダさんが剣を振るうが、若干傷をつけただけでびくともしなかった。


「あはは、どうしましょう、コレ?」

「ふむ、練習の的にはちょうど良いのではないですかな?」

「な、なるほどー」


 ラムダさんからのありがたい提案(というかフォロー?)を受けたオレはとりあえず手当たり次第に魔術を使って、土塊を削りにかかった。

 風の刃で対象を切り裂く[ウィンド・カッター]でやすやすと土塊を切り裂き、

 抑え目で使ったつもりの[アクア・ジェット]が何故か範囲だけ抑え目で、結果圧縮されたレーザーのようになり土塊を貫く。

 もはや練習ではない、ただの殲滅だ。

 初級魔術(致死)の波状攻撃で、数秒後に巨大な土塊は元の地面にならされていた。


「いやはや、お役にたてず申し訳ない」

「いえ、ラムダさんのせいではないですよ」


 ラムダさんが魔力に詳しくない事を申し訳なさそうに謝ってくれるが、

 そういう問題ではない。

 もっとこう、根幹の部分が原因な気がする。


(でも、確かにこれは誰かに教えを乞う必要がありそうだ)


 唯一コントロールできたのは[ファイア・ボール]のみ。

 チートすぎて魔術が使えないって本末転倒過ぎる。

 その後も、幾つかの攻撃魔術を試し(結果、庭の地面が魔力を帯びたのかキラキラしている)、ある〝便利魔術〟を思い出して使ってみたところで、制限時間となった。

 ラムダさんが仕事に戻らないといけないとの事であった。

 敏腕執事ともなれば、暇なオレと違ってとても忙しいのだ。


「ありがとうございました」

「いやいやこちらこそ。久しぶりに面白い物が見れましたな。長生きはするものです」


 あの地形変動を面白い物で済ませてくれたラムダさんの寛容さに感謝する。

 特訓(実験?)のせいで体が汚れてしまったオレは、一足早くお風呂を使わせてもらえることになった。

 ホントならさっき思い出した〝便利魔術〟を確認したいところなのだが、それは夕食後にでもゆっくりすればいいだろう。

 オレはのんびり考えながらお風呂場へ入っていった。

あれ、思った以上に説明文がはいって……?

ご、ごほん! 彼(彼女?)が魔術を上手に使えるのはもう少し先のお話になります! ←誤魔化した!


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