黒の系譜02-35-3『VSゴブリンピエロ』
というわけで今度はルーさん視点です。
転がるシェルから逃げるエミ、どうみてもおバカ対決。
すぐ調子に乗るから、ああなる。
……あとでお説教。
「クスクスクスクス。ミンナバカゴブネェ」
「ん、同感」
魔物と同じ考えというのは、いささか不本意。
でも、エミがバカなのは、疑いようのない真実。
「ジャア、ボクタチモ始メルゴブ?」
「んーん、すぐ終わる」
「ゴブゴブゴーブ♪ エー? ツマンナイゴブー♪ モットユックリタノシ楽シモウゴブー!」
「むり――紡ぐは〝緑〟、〝刃〟を作り、魔を〝切り裂け〟……[ウィンド・カッター]」
「ゴブッブー♪ ハッズレーゴブ♪」
わたしの風を、ヒョイとかわすピエロ。
むぅ、こしゃくな奴。
「紡ぐは〝緑〟、〝刃〟を作り、魔を〝切り裂け〟……[ウィンド・カッター]」
「アッマーイゴブ♪」
「紡ぐは〝緑〟、〝刃〟を作り、魔を〝切り裂け〟……[ウィンド・カッター]」
「ゼーンゼンゴブ♪」
「……紡ぐは〝黒〟、〝影〟で〝檻〟を為し、獲物を〝捕えよ〟……」
ちょこまか動く、動きを止めればいいだけ。
「[シャドウ・スフィア]」
「ゴブ?」
ピエロの足元から伸びた影が、ピエロを飲み込む。
ピエロが中で暴れている、でも逃げられない。
観念して動かなくなった。
「紡ぐは〝緑〟、〝突風〟の〝塊〟と為りて、魔を〝吹き飛ばせ〟……[エア・ブラス――」
「ザーンネン♪ アッチハ、ハズレゴブ♪」
「っ? ――ぐっ!?」
背後から、ナイフで切りつけられる。
危機一髪。
前に出なかったら、かすり傷じゃすまなかった。
「ゴブッブー! ドウシテ逃ゲルゴブー?」
背後にいたのは間違いなく、ピエロ。
わたしは影玉の消え去った所を見る。
ピエロ、跡形もない。
「ん、意味不明」
「ゴブゴブ♪ ボク、コーンナコトモデキルゴブ♪」
唐突に踊り始めるピエロ。
でも、可愛くない。
「ゴブガ?」
「ゴブデ?」
「ゴブハ?」
「ゴブゴブ♪」
「ん、ふえた?」
1匹のピエロが2匹にふえた。
まったくバラバラの動きをする2匹。
とても驚愕。
でも可愛くない。
「……聞いたことある」
東方大陸には、〝ニンニンジュツ〟という、独自の魔術がある。
火を吹く、水の上を走る、空を飛ぶ……いろいろある。
自分の姿、増やすのもあったはず。
「ん、理解。ピエロじゃない。ニンニンジャ!(ズビシ!)」
「「ニンニンゴブゴブ♪」」
指差すと、途端に変なポーズで踊り出すピエロあらためニンニンジャ。
やっぱり、可愛くない。
ニンニンジュツ、謎が多い。
……とても厄介な相手。
「「サ、遊ビノ続キゴブ♪」」
「んーん、めんどう」
とてもめんどう。
背中痛い。
可愛くない。
さっさと倒して、クロに褒めてもらう。
「決まり。――紡ぐは〝緑〟、〝暴風〟を〝乱れ吹かせ〟魔を〝呑みこむ〟〝壁〟を〝巻き起こせ〟……」
「ゴブ?」
「上級魔術ゴブ!」
「オネーサン、スゴイゴブ!」
そう、わたしのとっておき。
……疲れるから、あんま使いたくない魔術。
「[トルネード・ウォール]」
わたしの周りに、風が吹き乱れる。
円を描いて、周りの草や石も一緒に巻き上げる。
とうぜん、ニンニンジャも。
「ゴブブー?」
「浮イタゴブー!」
「イタタ! 石ガ当タルゴブー!」
かなりの高さまで吹き飛んだ。
あとは、この瓶で勝て……
「ん? ニンニンジャ、3匹……?」
おかしい。ニンニンジャ、2匹だったは――
「ゴブッブー! アレ、全部ハズレゴブー!」
「っぐぅ!?」
瓶を落としたせいで、中身が飛び散る。
ナイフで刺されたから、竜巻が血で赤く染まる。
考え、甘かった。
「全部で、4匹……!」
「チッチッチ! ダケド本物ハゴブダケゴブヨー♪」
集中が切れたから、魔術の風も止む。
風に飛ばされていた他のニンニンジャが、地面に落ちた。
……あまり高くないから、ダメージ少ない。
「ゴブ!?」
「イタイゴブ!」
「ヤルナラモット早クヤルゴブー!」
「分身ノクセニ、生意気ゴブヨー!」
案の定、他のニンニンジャもピンピンしてる。
……とても厄介。
わたしは薬を飲み干す。
「ん、にがい……」
「ポーションゴブ?」
「回復されたゴブー!?」
「マ、別ニ問題ナイゴブネ!」
「コレデモット遊ベルゴブー♪」
瓶を投げ捨てる。
可愛くないニンニンジャと遊ぶ気、ない。
「早く終わらせる。――紡ぐは〝緑〟ぼ……! ……! …………!?」
おかしい。
「………………! ……? ……! …………!」
「ゴブッブー! ヤット効イテキタゴブー!」
「ナニゴブナニゴブ!」
声が、出ない?
「…………! …………!」
呼吸、できる。
でも、声にならない。
……そうか。
さっきのナイフ。
「ジャジャーン! 声亡キ草ゴブー!」
間違いない。
声を封じる毒がある魔草〝声亡き草〟。
魔術師の天敵。
「ナイフニ塗ットイタゴブ!」
「用意周到ゴブ!」
「カッコイイゴブ!」
「出来ルゴブリンハ違ウゴブ!」
魔草の毒にやられる、錬金術師としてとても不覚……!
「トイウコトハー?」
「〝魔術師〟ノオネーサンハー?」
「モウ戦エナイゴブネー!?」
「ヤッタゴブ! コレデボクタチト遊ベルゴブ♪」
ニンニンジャたち、手にナイフとか棒とか、武器を取り出す。
とても遊ぶ雰囲気じゃない。
「オネーサン♪」
「マーズハ♪」
「ナニシテー♪」
「アソブゴブー♪」
「「「「ゴブゴブゴブゴブ♪」」」」
ん、とてもめんどうな展開。
早くクロをもふもふしたい。
しょうがないから本気出す!
………………もう少ししたら。
た、ただでさえ口数の少ないルーさんが黙ると……あれ、でもあんまり変わんないかな?
と、というか地の文が辛い! ちょっとルーさん!
もう少し言葉巧みにしゃべってくださいよー!
……全部そう言うキャラにした作者が悪いですね、そうですね。
じ、次話はついにリ……パピヨンマスクさんの出番です!
更新は明日の予定だよ! 現在進行形で頑張ってるよ!




