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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第一章〝黒の目覚め〟
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黒の系譜01-06『よくわかる異世界教室〝経済〟』

 経済とか偉そうにいっていますが、やっていることは小学生の社会科レベルです。

 むしろ低学年の生活科? 算数? くらいの事です。

 ただの説明話なので面倒な人はあとがきに要点だけまとめてありますので、そこを見てください。

※12/11誤字脱字を修正いたしました!

 ミラの家でお世話になることが決まって、オレはまず真っ先に一般常識を教わることにした。

 それだけ聞くとまるでオレが常識がないみたいに聞こえるが、それは誤解だ。

 この世界での常識、それも500年前の〝古い知識〟ではなく、〝最新版〟を教わるのだ。


「では、授業を始めます♪」

「ノリノリ、だね」


 オレの座る机の前にはメガネをかけたミラが立っている。

 初めは誰か使用人さんあたりに教わろうと思っていたのだが、本人が頑として教師役を買うと言って譲らず、必要のないメガネまで取り出してやる気十分だったため断ることができなかったのだ。


「それで、クロ様は何をお知りになりたいのですか?」


 ちなみに〝クローディア様〟といちいち呼ぶのは大変だと思い、〝クロ〟と呼んでもらうように頼んだ。

 オレ自身、クローディアと呼ばれて反応できない事もあるし、〝クロ〟なら昔あだ名でそう呼ばれていたこともあるので、そちらの方が馴染み深いのだ。


「そうだなぁ……」


 奇しくも読み書きは問題なく行るようだ。

 今まで見たことも聞いたこともない文字なのに、自然と読んだり書いたりできる。

 そういえば問題なく会話も行えるし、おそらく女神的な力が働いたのだろう。

 そればかりは感謝である。

 あと数学的な知識もそのまま使えるし、そういった最低限の事は大丈夫なのだが。 


「うーん……」


 正直何がわからないかわからない。

 うんうんと、オレが唸っていると、ミラが助け舟を出してくれた。


「では生活に関する事はどうでしょう? 例えば通貨、お金に関する事などは覚えてらっしゃいますか?」

「…………えと、覚えてない、かも?」


というか知りませんです、はい。


「ではちょうどいいのでお金の事から参りましょう♪」

「よろしくお願いします」


 一時限目は〝経済〟に決まった。


「それではまず、お金の単位については覚えてらっしゃいましたよね?」

「うん」

 

 と言っても先ほど[アナライズ]でも知っただけなのだが。

 オレが『メニエニ?』と答えるとミラは満足げに頷いた。

 そして大体の感覚だが、およそ1メニエニ=100円、というのは先ほど聞いた通りである。


「それで、こちらが1メニエニ。銀貨1枚を指します」


 ミラがそう言って取り出した物は、表に天秤と杖、裏には1という数字と竜が描かれている綺麗な銀貨だった。 

 

「そしてこちらが100メニエニに値する金貨です」


 次にミラがならべたものは金貨である。

 裏には100という数字が描かれ、銀貨よりも若干大きいようだ。

 1メニエ=100円くらいだから100メニエニは……だいたい1万円かな?

 

「なるほどなるほど」

「ここまでは大丈夫そうですわね? それから銅貨というものもあります」


 次にミラが取り出したのは銅貨である。

 これは〝ケーナ銅貨〟と言い、メニエニよりも安い金額となっているらしい。

 1メニエニ=100ケーナということなので、つまり1ケーナ=1円と言ったところだろう。

『だったら単位をケーナに統一すればいいのに』とお思いの事と思うが、そもそもケーナというのが低所得者向けとして後に生まれた単位なのだそうだ。

 オレとしてもケーナの方が分かりやすいのだが、ミラに銅貨を大量に持ち歩くのは大変だからと言われ納得した。

 まぁ、だいたいの物の値段設定が銀貨基準で付けられているとの事だから、使う機会も少ないらしい。

 そして最後にミラは1枚のコインを取り出す。

 

「あと一応こちらが白銀貨です。ですがあまりに金額が大きすぎるので日常生活で使われることはほとんどないですわね」


 ちなみに白銀貨1枚で1万メニエニだそうだ。

 えっと1メニエニが100円だから、ぶっ!? ひゃ、100万円!?


「ほわぁー……」


 これたった1枚で途方もない金額だ。

 主に商人の取引や、国家間のやりとり、貴族たちの間で使われるような物で一般人に流通することはほとんどないと言う。

 まして下手に小さな町や村では金額が大きすぎて使うどころか、換金すらできないのがほとんどだという。


「オーケー。〝白銀貨鬼すごい〟理解した」

「そうですか? では確認してみましょう。さっそくこちらをどうぞ」


 ミラが取り出したのは金貨と銀貨が入った皮袋である。


「えっと、金額をあてればいいのかな? 金貨8枚と銀貨22枚だから……822メニエニ?」

「はい、正解です♪」


 大体8万2千円くらい、ということになるかな?


「正解されたクロ様には、そちらの皮袋を差し上げます」

「え!?」


 驚いたオレにミラは『冗談です』といって笑う。

 なんだ、冗談か。

 危うく本気にするところだった。


「そちらはもともとお父様かクロ様に渡すよう預かったものですので、外れても差し上げるつもりでしたわ」


 そっちかーい! オレは心の中でツッコんだ。


 記憶が戻るまで面倒を見るというのとは別に、どうしても感謝の気持ちを送りたかったらしい。

 金額も平均的な家庭の収入分程度らしいし(充分多い金額ではあるが)、感謝の気持ちだというので感謝を伝えて受け取っておくことにした。

 まぁ先立つ物がないと何かと困るだろうし、自分の食い扶持くらい自分で稼げるようになるまでは大切に使わせて貰おう。


「では、お金についてはこんな所でしょうか? 何か質問はございますか?」

「んー。今の所ない、かな?」

「では、一度休憩にしましょうか」

「きりーつ、れい、ありがとうございましたー!」


 オレは首をかしげるミラを他所に、在りし日の学び舎を思い出していた。

クローディアのノート


※お金の基本単位は〝メニエニ〟

 およそ1メニエニ=100円になり、低所得者向けに〝ケーナ〟という単位があり100ケーナ=1メニエニ。

 使われている貨幣は

 銅貨1枚→1ケーナ=1円:低所得層向け?

 銀貨1枚→1メニエニ=100円:一般的な値、パン1個くらいの値段

 金貨1枚→100メニエニ=1万円:ちょっと高い。

 白銀貨→10000メニエニ100万円:鬼すごい!

 822メニエニは8万2000円くらい、謝礼として貰った←大事に使おう!


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